「画狂老人@北斎」
ゲキシビジョン Vol.3「画狂老人@北斎~シルバー人材センターでくすぶっていた老マンガ家がフランスで火がつき『21世紀の北斎』と呼ばれ世界から称賛されるようになった理由について。」
日時:2022年5月4日(祝)11:00開演
会場:北九州市立美術館本館 アネックス棟レクチャールーム
北九州市立美術館と北九州芸術劇場がタッグを組んで、北九州市立美術館が所蔵する美術作品をモチーフにした演劇を上演し、学芸員の解説とともに美術作品を鑑賞するシリーズ。2019年より「ゲキシビジョン」シリーズと銘打ち、会場も本館に移して、復活上演がスタート。
分館で上演されていた時は毎回観に行っていたのだけれど、会場が本館になってからはゴールデンウィーク期間中ということもあって、見に行けていなかった(仕事か、でなければ帰省していたので)。
私は、就職して北九州に住むようになった時、美術館から歩いて15分ほどの場所に住んでいた。住み始めてすぐに、同僚が「ここのレストランは千種ホテルがやっているからおいしいのよ」といって、カフェ・ミュゼに連れてきてくれた。でも、住んでいるときに美術館に来たことはほとんどなかった。もったいなかったなぁ…。天気が良くて、景色は最高。今回の会場はアネックス棟にあるレクチャールーム。アネックス棟に入るのは初めて、だと思う。用がなかったので…というより、用がなければあそこまで行くのもはばかられる。
2015年に上演された作品を、1名を除いてほぼ同じキャストで再演。すごく好きな作品だったので、楽しみにしていた。
江戸時代、天才絵師として齢90まで生き抜いた葛飾北斎。酒もたばこもやらず画業一筋の人生を送り、晩年は自らを「画狂老人」と称しました。演劇と美術のコラボ企画「ゲキシビジョン」Vol.3は、現代に生きる老マンガ家の物語。北斎を心の師匠と仰ぐ彼は、ヒット作に巡り合えないまま地道に創作を続けていましたが、ある時を境に世界の称賛を浴びる人気作家になります。老いてもなお衰えない創作意欲、その一方で押し寄せる病の影。老マンガ家の生きざまを通じて、北斎の偉業と世界に及ぼした影響に迫ります。
(当日パンフより)
やっぱり面白かった。鉄蔵以外の4人の役者さんが、衣装を変えて複数の役を演じるのも面白い。達者な役者さんばかりで、見ごたえがある。皆さん、声の使い方がうまいんだなぁと思いました。たった5人(+1=テレビのカメラクルー)でやっているとは思えない!
初演で鉄蔵を演じていた渡辺明男さんが、今回のために書き下ろしたカラーの絵が数点あり、それがまた素晴らしかった!
終演後に学芸員さんによる作品解説。コレクション展に展示されている4点の北斎の浮世絵について、丁寧な解説。私は、開演前に少し時間があったので、先にコレクション展を見ていたのだけれど、終わってからまた見に行きました。やっぱり解説されないと、どこを観ればよいのかわからない。知識大事。
作・演出の泊さんが学芸員さんたちに、好きなせりふは?と聞いていたけど、私の好きなせりふは鉄蔵の妻・ケメ子さんの「この人は絵を描くしかないから、好きなだけ絵を描いてほしいから、だから出て行ったのよ」みたいなせりふ。ディレクターさん同様泣けました。かっこいい…。ケメ子さんは本当に鉄蔵を愛していたのだと思うし、息子も実は父親のことを嫌いではなかっただろうし、孫娘のA-coちゃんにとっても、鉄蔵は自慢のじいちゃんだった。そう考えると、シルバー人材センターで多くの仲間に慕われ、好きな絵を好きなだけ描き、最終的にはそれが評価され、家族に囲まれて死を迎えた鉄蔵は決して孤独ではなかったし、なんだかんだ言って幸せに人生を終えたのだなと思う。
あと、アート作品を世に出すには、やっぱり優秀なプロデューサーが必要なんだろうなと思いました。
それにしても、芝居見て、学芸員さんの解説を聞いて、コレクション展見て、たったの500円って、北九州市太っ腹すぎ!「来年以降も続けたいんだけど、予算とかいろいろあってね…」と泊さんはおっしゃっていたけれど、とりあえずチケット代を1000円にすればよいのではないでしょうか?それでも安いと思いますけど。
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