「科学と学習」
最近旧型機クロックアップ・サイリックス22nd「科学と学習」
日時:2021年8月7日(土)18:30開演
会場:博多湾岸劇場扇貝
”科学と学習”と言えば、学研のおばさんが家に配達してくれる学習雑誌。私は圧倒的に科学のふろくに憧れていて、だけど親は「両方は買えない。あなたは女の子だから学習」という意味不明な理由で学習だけを取ってくれた(「女の子だから」と言ったのは親ではなく学研のおばさんだったかもしれない)。おかげで立派な文型人間に成長した。数学が全くできなかったからなのだけれど、理科はすごく好きで、今でも本屋で”大人の科学”とか見ると買いたくなってしまう。
昨年にひきつづき、今年も新型コロナのために公演が延期になってしまったクロサイ。直前に緊急事態宣言の要請とか台風が2個もやってくるとか、いろいろありつつも無事に開幕。よかった!
”動くな”
エレベーターの中、距離を取って立つ人たち。
早押しクイズショー
次々に繰り出される難問
虹のいちばん外側の色は何色?(聖子ちゃん歌うよね)
クイズ番組攻略マニュアル
壁一面の早押しボタンランプ
白地に赤のあなたは、いつも”正しい”答えを、”早押しで”求められる
新劇団員の森くんと、迷える“コヒツジ”池田景くんがなかなかいい。上瀧さんは本当にクイズ番組の司会者っぽい。メガネの立石さんはとても知的で、リアルクイズ王になりそう。
クイズショーの場面には、音や装置を含めて、様々なクイズ番組へのリスペクトが感じられました。
帰宅してから改めて読むごあいさつにしみじみする。
”視聴者参加型のクイズ番組はテレビから姿を消”すことは、”知識を競うことそのものに意味がなくなったというひとつの象徴”。
日々、若い人に知識を詰め込んで暮らしているわけですが、スマホに聞けば一瞬で答えが分かることを詰め込んでどうなるんだという気がしないでもない。
世の中は、〇×や一問一答では簡単に答えられない問いにあふれていて、その多様な答えを求められる問いを、科学的な認識と論理的思考力によって解決していくことが求められている。今やAIによる未来予測までもがあふれる中で、たった一つの正しい答えがあるわけじゃない問いの答えを導き出し、解決に向けて行動する力を、私たちは子どもたちにつけてあげられているのだろうかと考える。いったいどうすればそんな力をつけてあげられるのだろうかと思う。
個人的にはやっぱり、やってて楽しいことからしか学べないんじゃないかなと思う。クイズ番組を見ながら知識を競うことが楽しかったから、いろんな知識を身につけた。今はもう、そんなことは楽しいことじゃない。だったら今、楽しいことって何だ?
コロナ下にあって、子どもたちが直接会って顔を見て、体をぶつけ合って何かをする機会がどんどん奪われている。家庭においても”楽しいこと”はゲームぐらいしかなくて、学校においても部活動とか文化祭とか体育祭といった”楽しいこと”はどんどん中止されたり今まで通り自由にできなくなったりしている。そういう経験が失われてしまっているというのは、長い目で見たときにたぶん本当に大きな問題になると思う。
演劇をつくるということは、そりゃもう文化祭と体育祭をいっぺんにやっているようなもので、だからきっと楽しくて楽しくてやめられないのだと思う。コロナ下においても、どんなに仕事が忙しくても、みんなで集まって何かをつくったり、頭使って覚えたり、大声出して体張ったり、決まった時間と予算内でいろいろ工夫してどうにかしたり…正しい答えなんかなく、多様な答えにあふれた世界だ。
だから楽しいし、そこから学ぶことも多い。だからやめられないし、今だからこそやめちゃいけないと思う。
こんな”楽しいこと”を、いかに持続可能にするか。それこそが答えのない問い。いま、私たちもその答えを求められている。
| 固定リンク
「演劇」カテゴリの記事
- 「画狂老人@北斎」(2022.05.04)
- 「かえりにち」(2022.05.03)
- 「エンドレスサラヴァー2022」(2022.04.29)
- 「甘い手」(2022.04.24)
コメント