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「見えない/見えることについての考察」

「見えない/見えることについての考察」

 日時:2020年11月3日(祝)15:00開演

 会場:スカラエスパシオ

 

 twitterで公演情報を見つけた。未來くんが福岡に来る!!!ということで、速攻チケットゲット。

 初・スカラエスパシオ。感染症対策のため、建物内にも入れず、外で待つように指示される。しばらくして外に並んでいた順に建物内に案内されるが、建物内で到着順に一列に並び、10名ずつ整理券番号が呼ばれると会場内に入る仕組み。なぜ整理券番号順に建物に入れて、建物内で整理券番号順に並ばせないのか?ちょっとイラっとする。

 会場内に入ると、客席はほぼ埋まっていて、入り口から遠い下手最前列に陣取る。隣は私と同世代の女性で、開演までずーっとおしゃべりされていた。聞くともなく聞いていると「なかなか情報が出なくて困っちゃうよね!」「でも、インスタに情報が上がるから、それでやっとわかるよね!」おっしゃっていた。!!未來くんのインスタあるのか!というわけで、さっそく登録した。

 開演直前、場内放送で入場時に配られていたイヤホンガイドの音声チェックがあった。場内に入ったときから耳に当てていたけど、時折ざーっとようなものが聞こえてくるだけで何も聞こえず。場内放送がかかっても、時々場内放送と同じものが切れ切れに聞こえるだけだ。最後の最後に「聞こえない方は場内のスタッフに申し出てください」というので、手を挙げてスタッフを呼んだ。音声が途切れことを伝えると、「電波の関係で、時々途切れます。基本的に聞こえていれば問題ありません。」と言われる。基本的に聞こえないんですけど!!というわけで、交換してもらった。基本的に聞こえるようになったけれど、イヤホンを右につけるか左につけるかを説明してくれていたらしい未來くんの声はもう聞こえなくなっていた(泣)。

 

 舞台エリア奥に椅子、譜面台、マイク。

 それに向けて撮影用の照明器具(白い傘みたいなやつ)が2台。舞台手前のセンターにデジカメ。

 未來くんが登場し、いすに座る。譜面台からiPadを手に取り、朗読を始める。交差点で車が立ち往生。運転手は突然目が見えなくなった、と言う。

 

 朗読の声、スピーカーから聞こえる録音の声、イヤホンから聞こえる音声が重なり合ったり、交互に聞こえたりする。

 カメラのフラッシュ、シャッターを切る音、ダンス。

 様々なものが雑多に飛び込んでくるけれど、全く頭に入らない。たぶん個人的に調子が悪かったせいもあるだろう。

 ことばも音も、光も、踊る身体も、全部が全部ただの情報として流れ込み、流れ出し、通り過ぎていくような感覚。

 

 スカラエスパシオに向かう途中、白杖をついて歩く男性を見た。20年ぐらい前に視覚障がい者の方々と一緒に働いていたのだが、たぶんその時の知り合いだった。声はかけなかったけれど、きっとそうだと思う。

 ”見えない”と”見える”の間を、その時にたくさん勉強した。勉強したけど、わからないことばかりだった。”見えない”ことを完全には理解できなかったし、”見えない”人たちはそれぞれ皆、いろいろなものをいろいろなやり方で”見て”いた。それは”見えている”人も同じだろう。そもそも世の中見えているつもりでも見えないことだらけだ。現に今、私たちは目に見えないウィルスに怯え、振り回されている。”見えていない”つもりが、見えている人には見えているものだってきっとたくさんある。 

 

 森山未來というひとは、その生々しい存在感がすごいと思っている。強さとしなやかさ。提示されているパフォーマンスを見ても、何を考えているのか全く分からない。けれども、未來くんがただそこにいることを感じたいと思うし、その手やからだに触れてみたいと思う。

 何度かのカーテンコール。未來くんは最後の最後までにこりとも笑わずに、軽やかに舞台を去っていった。

 

 ELLEのインタビュー記事を見つけて読んだ。これ、2017年に東京藝術大学で上演されたものの再演だったんですね。言ってることは、まぁわかるようなわからないような…。

 ただ、記事の最後の部分にあった「舞台芸術やライブなど、表現する側とそれを享受する側が生でそれを共有するという形式を採ることが難しくなってしまったからこそ、共通の目的のために人がそこにある“場”に集うことの美しさ、神聖さを強く感じるようになりました。作品内容も勿論ですが、まずはその力強さを観客の皆さんと再確認したいですね」という言葉が一番しっくり来た。日本各地に直接出向いて、その時の空気を感じること。そこでライブの公演をすること。そこに観客がいて、一緒に時間と空間を共有すること。それらの意味を体感したくて、行動し続けているのかなと思う。

 未來くんは、新型コロナウィルス感染拡大で自粛が続く間にも、KAATやシアターコクーンやの企画に参加したり、精力的に活動を続けいた。このような状況の中で、何ができて、何ができないのかを感覚的にしかも冷静に考えて、できる限りのぎりぎりいっぱいをちゃんとやっていることがすごいなと思う。いろいろとやってくれるから追いかけるのが大変だけれど、できる限り、森山未來を追いかけたいと思う。

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