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「82年生まれ、キム・ジヨン」

82年生まれ、キム・ジヨン

 日時:2020年10月23日(金)

 会場:KBCシネマ

 

 先週末に観そびれた「82年生まれ、キム・ジヨン」を観にKBCシネマへ。レイトショー。

 

 原作小説は、発売されたばかりの頃にどこの本屋さんに行っても山積みになっていたので、気になって読んだ。乾いた筆致で韓国社会とそこに生きる韓国人女性たちの生きざまに、どこもおんなじだなあと胸がキリキリしたし、最後の最後にからくりが分かったときには、おお!と思った。筆者の人が社会学の研究をしていた人だというのもなるほどなぁと思った。

 

 

 

 映画の方は、小説のエピソードをちょっとつまみながら、結局いい感じの夫婦と家族のお話みたいになっていて、正直物足りなさを感じた。そんなに小説の内容をちゃんと覚えているわけじゃないけど、子どものころから中学、高校、大学、そして就職して結婚するまでの間には、結構ずきずきするようなエピソードがもっとたくさん書かれていたように思う。ジヨンさんはそういうしんどい経験をしてああいう状態になってしまったのだ。もちろん、映画だから時間に限りはあるんだけど、いいのかこの程度で?と思った。

 私はジヨンさんよりもずいぶん年上で、子どものころから家庭内で弟のほうが大切にされていたとか、”女の子だから”と進学させてもらえなかったとか、会社入るにも女子という理由でなかなか就職が決まらないとか、やっと就職しても結婚したら辞めなくちゃいけないとか、そういう人たちが周りにたくさんいた。そういう社会と戦って、自分らしく生きることを手に入れてきた人たちもたくさんいる。82年生まれのジヨンさんもやっぱり同じようにそういうものに苦しんでいる、ということは、結局社会はあんまり変わっていない、ということか。

 私はジヨンさんのようにキャリアをあきらめて結婚して子どもを産んで、社会に復帰させてもらえないまま家庭に閉じ込められているような女子ではないので、個人的に共感しがたいところもある。むしろ私は姉のキム・ウニョンさん的なので、ジヨンさんのような人たちには、自立して自分のお金で好きに生活してていいですねって言われそうな立場にいるのだけれど、それでも”社会に出て働きたい””仕事で活躍して昇進したい”と思っている女性が、”女性だから”という理由で希望が叶わないというのはよくないと思う。小説は淡々とジヨンさんのケースを語りながら、そういう社会に問題提起するものだったと思うのだけれど、映画は、「今は家族も社会ももっと理解する方向になっているから、そこまでひどくないよ」というふうに見えた。それか、「家族や社会よ、こんな風に理解あってくれよ」という希望的観測なのか。

 ちょいちょい挟まれるちょっとクスッと笑える会話や場面がいいなと思った。闘うグループ長が男性理事に反撃する会話とか(しんどくてせつないけど)、トイレを盗撮されているとわかってカフェでがっくりする女子たちの会話とか、卒業式前日の家族の場面とか、お父さんが「あいつはあんぱんが好きだ」と言うエピソードとか。日本でいう”昭和のお父さん”は切ないね。

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