「畳子力学」
あひるなんちゃら「畳子力学」
日時:2020年9月5日(土)19:00開演
会場:ライブ配信(アーカイブあり)
あひるなんちゃらの最新作は、紆余曲折の末、下北沢の駅前劇場からの無観客ライブ配信公演。タイトルは“量子力学(りょうしりきがく)”かと思ったら、まさかの“畳子力学(たたみこりきがく)”だった。
配信公演って、時間になると急に始まるやつが多いのだけれど、開演10分くらい前からオリジナルのテーマソングなどのBGMをバックに舞台上の様子を流してくれるので、会場で開演を待っているような気分になれてとても良かった。また、オンライン上で観られる写真付きのきれいな配役表があり、開演前にチェックできる。
いろいろな配信を観た経験から、携帯電話の電源を切って部屋を暗くして見ようとしたのだけれど、あひるなんちゃらはなんだか違う気がして、部屋を明るくして飲みながらだらだら見ることにした。
関村さんの前説で音量や画質をチェック。私はタブレットで観たのだけれど、家のwifiが不安定だったので、中画質で観ることにした。音もかなり良かった。
ものがたり
夏休み。畳にちゃぶ台の居間にごろんと寝っ転がって「何にもねぇなぁ」とつぶやく男・シンイチロウ(堀靖明)。応援していたアイドルグループが解散してしまい、落ち込んでいるらしい。傍らで物理の勉強にはまっている妹のリョウコ(木村はるか)は物理学的に考えると、それはいいことだと言う。
いとこ姉妹(松木美路子・ワタナベミノリ)、シンイチロウの幼馴染のモトヤマとニシダ(石澤美和・篠本美帆)、芸能事務所に勤めるシンイチロウの友達(根津茂尚)とその部下(平川はる香)が入れ代わり立ち代わり家にやって来て、畳とちゃぶ台の居間で繰り広げられる、物理学的アイドルLOVE芝居。
堀くんのちょいキレキャラが好き。結局シンイチロウはみんなに愛されてるよなぁと思った。いとこも幼馴染も、アイドルLOVEなシンイチロウLOVEで、ちょっかい出しにやって来てるんだな。
いとこ姉妹は妹のリョウコのことを“タタミコちゃん”と呼ぶ。リョウコは漢字で書いたら“量子”なのかな?彼女が語る宇宙の始まり。それは彼女なりの“畳子力学”。
何度も出てくるセリフ「何にもねぇ」「よかったねぇ」だけれど、最後のシンイチロウにちょっとじわっとした。
何にもないところから、何かが生まれかけて、何かがあるように気になったけれど、でもやっぱり何にもない夏の終わり。それがふつう。だから、いまここに何かがあって、出会えた偶然と奇跡に感謝して、次の奇跡を待とう。
上演時間は75分ぐらいなんだけど、途中休憩があるのもすごくいい。心置きなくトイレに行ったり、お酒やおやつを追加しに行けたりする。
終演後も、短時間、関村さんや出演者が登場して、コメント欄を通じてやりとりできるので、その場で簡単な感想を伝えることもできる。急に終わって画面がブラックアウトするとひどく寂しいものだけれど、短時間でもこんな時間があるのは嬉しい。
今、これはアーカイブを観ながら書いている。普通の芝居だったら絶対にできないことだ。万一ライブ配信が電波の都合で切れたりしても、アーカイブは高画質で観られるし、今のシーンをもう一回見たいと思ったらすぐに戻せるし、かなり良い。これで1000円+手数料なら絶対にお得だと思う。
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