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「パンタレイと一匹の猫」

あなピグモ捕獲団「パンタレイと一匹の猫」

 日時:2020年9月11日(金)19:30開演

 会場:ぽんプラザホール

 

 あなピグモ捕獲団も今年は1公演のみ。

 千秋楽のチケットを予約していたのだが、早く会いたくなって、ぎりぎりに初日のチケットも予約した。

 

 1階入り口で検温、手指消毒。ぽんプラザホールの巨大なエレベーターの定員は5人。4階のロビーが密にならないよう、ロビーのお客さんが客席内に入ってからでしか1階に降りてこない。客席は一つおきで、30名ほどの贅沢な空間。

 ステージ上には透明なアクリル板で囲まれた電話ボックスのようなスペースがいくつか。センター前方には座卓に置かれたパソコンのディスプレイのような。奥の広めのボックスの中には、同じくパソコンのディスプレイが机の上に置かれているような、抽象的な装置。

 

 ものがたり

 佐伯ワタル(長野慎也)に飼われている猫(小畑佳子)は、名前もつけてもらえないまま、日々パソコンに向かって何やら自分の物語を紡ぐご主人様の書いたものを盗み読みし、たまに消したものを復活させてみたり、編集したりしながら、最初の読者で編集長を気取る。

 

 高校卒業間近の佐伯ワタル(大竹謙作)。友人の灰谷トオル(貝谷聡)は、進学せず東京に行くと言う。灰谷の彼女・キヨミ(古賀今日子)はちょっと変わった女の子。キヨミの存在はワタルの心にずっと引っかかり続ける。

 なんとなく進学して上京し、役者だか声優だかを目指してみたりもしたものの、そのままふらふらと年齢を重ね、 結局何者にもなれないまま地元に戻ってきて、スーパーでバイト。そんなある日、コンビニでレジ打ちのバイトをしているキヨミと再会する…。

 そんな佐伯ワタルの人生を、佐伯ワタルの人生再現ドラマ専門役者たちが演じて見せる。それは”佐伯ワタルショー”。

 現在の佐伯ワタルはといえば、過去と現在、記憶と記録、夢と現を行ったり来たりしながら、パソコンに向かい、自分を主人公にした物語を書いては消し、消しては書くことを続けている。たまにコンビニに買い物に行き、レジの女の子(藤田奈美)を見つめている。部屋には元同僚(野良杉太)が様子を見に訪ねてくる。

 猫は傍らで、パソコンに向かってモノガタリを紡ぎ続ける現在の佐伯ワタルと、役者たちが演じるモノガタリ”佐伯ワタルショー”を交互に見つめている。

 

 相変わらずの重層的な世界。時間と空間、ソウゾウと現実が行ったりきたり。一人の登場人物にいくつものイメージが重なって見えてしまって混乱する。まぁいつものことだ。あとからゆっくり考えることにして、ただ目の前で繰り広げられる世界に身を任せる。

 

 役者さんたちがなんだか生き生きして見えた。初日だからかな?

 猫=小畑佳子ちゃんがかわいい。猫はあんなにもご主人様のことが大好きだけど、ご主人様にとっては「いつまでもなじんでくれない」んだな。「触れられたら自分がほんとうはいないことがあなたに知れてしまう」みたいな猫のせりふが好きだった。せつない。

 増田陽子さんは初期からずーっと見ているけど、なんだかぐっときれいになっていて、素敵だった。

 弁護士で店長を演じた関村俊介さんは、ゆるっとした雰囲気がとてもうまい。絶妙に面白い。

 キヨミと再会したワタルがキヨミを呼び出して短い会話を交わす場面が好きだった。コガキョさんがあなぴの舞台で演じる女性がいつも好きだ。

 コロナ対策のために工夫された装置は、何か仕掛けているとは思ったけれど、電話ボックスみたいなあの箱の枠がカラフルに光ったときには震えた。いやー、かっこよかった!

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