「ワンダーガーデン」
四獣×玉造小劇店「ワンダーガーデン」(2012)
日時:2020年5月9日(土)
花組芝居の同期4人(桂憲一・八代進一・植本純米・大井靖彦)が、劇団在籍20周年を機に結成したユニットが四獣(スーショウ)。
私が初めて花組芝居を観たのは、1994年の「定本いろは四谷怪談」だった。その少し前に、グローブ座・カンパニーの「間違いの喜劇」に出演されていた加納幸和さんの美脚に「この人は、女性?じゃなくて男性?ええ~っ!」と衝撃を受けて興味を持ち、観に行ったと記憶している。4人ともこの公演に出演してらして、それぞれ印象に残っている。特にお梅を演じた植本潤(当時)さんのキュートないでたちにぶっ飛んだ登場のインパクトは半端なく、その後何度四谷怪談を見ても「ああ、お梅ってあのイカレタお嬢さんだよね」と思ってしまうし、ほぼ全裸で白鳥の湖を踊る姿が衝撃的だった大井靖彦さん@小仏小平にはその後なかなかお目にかかれれず、どうしているかしらと気になっていた。
数年前、この4人が「ワンダーガーデン」というお芝居をやるということを知り、是非観たい!と思った。けれど、大阪の小さな小屋で行われたその公演のチケットはあっという間に売り切れで、観に行くことはできなかった。
新型コロナの影響で演劇公演が次々と中止になる中、GWに期間限定で観たかったこの芝居がインターネットで配信されるという。どうせ暇だし、見よう!
私が観に行こうとしていたのは2018年の再演で、配信されていたのは2012年版。
”瞬時にして男と女を演じ分ける究極の四人芝居!”というふれこみだったが、そんなにめまぐるしく入れ替わるものではなく、9人の登場人物を、4人がそれぞれ男性と女性の2役演じるというものだった。だからと言って、女性役を無理やり作っているわけでもなく、おっさんたちがそのまま若い女性を演じる。植本さんは坊主頭のままだし。でも、上品な言葉遣いのせいか、違和感あまりなし。これこそ芝居だよなぁ…。
脚本・演出はわかぎゑふさん。イロモノっぽい役者たちとはうらはらに、ものがたりは、とある3人姉妹が暮らすお屋敷の素敵なお庭を舞台に、3人と彼女たちを取り巻く人たちとが過ごした、明治の終わりから第二次世界大戦後までを描くドラマだった。もうちょっとお笑い要素の強いコメディを予想していたので、予想はまるで裏切られたのだけれど、なかなか壮大な物語だった。
個人的に、桂さんが演じる次女に肩入れして観ていたので、クライマックスにはちょっとびっくりして泣いてしまった。ああ、よかったなぁ。
同世代のおっさんたちが演じる、強くてかわいらし女性たちに元気をもらいました。
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