« 「モマの火星探検記」 | トップページ | 「ねじまき鳥クロニクル」 »

「かいじゅうたち」

ヒカリノオト「かいじゅうたち」

 日時:2020年2月22日(土)19:00開演

 会場:福岡市科学館サイエンスホール

 

 2017年の結成から9作目となるヒカリノオト最新作。

 

 ものがたり。

 本多家の娘・アイコが行方不明になった。必死に探す母親(上田裕子)に対して、単身赴任の父親(梅田剛利)はのんびりしたものだ。

 アイコが最後に会っていたのは、友人・真実(立道心)の母親(宗真樹子)だったという。真実の母親は、以前から真実を残して家を空けることが多かったが、その日を最後に家に帰って来ることはなかった。

 あれから10年。母親の妹・幸(坪内陽子)と真実が暮らす家に、母が帰ってきた。そして、アイコの事件も再び動き出す…。

 

 とてもおもしろかった。

 行方不明のアイコの事件と、家を出て行った真実の母親。二つの事件の関係と真相が謎めいたままに物語が進行する。あっけらかんと脳天気に登場する隣人・美里(小湊倫子)が、まさかの!事件に絡んでくる。

 流行りのイヤミス(最後にイヤ~な気持ちになるミステリー)とでもいうのか。個人的にはまったく好きじゃないジャンルのお話だったけれど、ドキドキさせられながら面白く観た。女優さんたちがそれぞれにみんなよかった。上田裕子さんは、娘を失った母親の狂気っぷりが今までにあまりない感じで新境地。坪内陽子さんは、そこかしこにかわいそうな姪の母親代わりという複雑な心境が表れていて、ちょっと泣かされた。小湊倫子さんのけたたましいほど明るさは、心の奥に抱えるものを絶対に見せないための鎧だったのか!とも思えた。女優たちがきゃあきゃあ大騒ぎするのは、うるさいけど華やかですね。

 

 ただ、ものがたり的には突っ込みどころ満載ではあった。

 一番理解できなかったのは父親。行方不明になった娘を心配しているのか、いないのか。娘がいなくなったことをどう考えているのか、妻のことをどう思っているのか、よくわからない。のんきにスキューバーダイビングとかして、娘と同じ年の女と仲良くなって買い物につき合わせたりしているのはまだ理解できなくもないが(真実も父親と重ねているのかもしれないとも思えるし)、真実の家に押しかけた妻を連れ戻しに行ったにもかかわらず、その後訪ねてきた真実の母に簡単に手をかけるのが???

 母親になり切れない母親が、娘を捨てて家を出ていくのもわからないでもないけれど、戻ってきた理由もよくわからないし、あの状況でわざわざ本多家に押しかけるのも?なんというか、気持ちに一貫性がなくて、演じる役者さんも大変だろうなと思いました。

 美里さんが真実の隣の家に住んでいるのも謎。あんな事件があったなら、わざわざ近所に住んだりしないだろうに。ましてや旦那が離れて別の街に住んでいるならば、一緒にそっちに住むのが普通だろう。

 まぁそれでも、“おもしろかった”のでよしとします。

 

 装置も素敵だった。カラフルな照明を当てられた風船はファンタジック。海の中を思わせるあぶくだったのか。

 下手和室、上手洋間のダイニングというのも、今までのヒカリノオトから新しいヒカリノオトへという流れを感じさせられた。ものがたりも彼までの集大成という感じがした。サイエンスホールという空間も、これまでよりも広くて、さらに先へ進むぞという新しい一歩を感じられた。次回もサイエンスホールでやるそうです。どんな新しい表情を見せてくれるでしょうか。

|

« 「モマの火星探検記」 | トップページ | 「ねじまき鳥クロニクル」 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「モマの火星探検記」 | トップページ | 「ねじまき鳥クロニクル」 »