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「ピグマリオン~人形姫~」

舞台処 粋の幸「ピグマリオン~人形姫~」
 日時:2018年12月8日(土)14:00開演
 会場:甘棠館show劇場

 『ピグマリオン』は、1912年作のジョージ・バーナード・ショーの戯曲で、ミュージカル『マイ・フェア・レディー』の原作。『人魚姫』はアンデルセンの童話。でも、この作品のタイトルは”人魚姫”ではなくて”人形姫”なんだよね。

 人魚姫は王子様と結婚できなくて、王子様を短剣で刺すこともできなくて、神様の思し召しでバラ色の雲の中を空へと昇ってゆく。
 ものがたりはそこから始まる。
 お葬式。それは、人魚姫(長沼里佳)のお葬式?

 『ピグマリオン』では、貧しいながらも花売りとして自立して生きていたイライザ(石橋半零)が、もっと良い仕事に就くために洗練されたしゃべり方を身に着けようと、ヒギンズ博士(小湊倫子)に頼み込む。実験精神に富んだヒギンズはイライザを家に住まわせて厳しい話し方の訓練をし、その仕上げとして彼女を舞踏会に連れて行き、高貴な身分のレディとして押し通そうとする。しかしイライザは、立派にやりとげた自分に対してヒギンズが敬意を払わないことに怒り、家を出て行ってしまう。

 これはー…。人魚姫はダメだよね?っていうことなのだろうか?
 人魚姫の名前はπ(パイ)。永遠に続く、終わりのないπ。
 ラストもお葬式。終わりの始まり。終わりの終わり。おしまい以上の終わらない絶望の始まり。逆転なんかない永遠のおしまい。
 観終わってずっと、人魚姫の正解って何だったんだろうと考える。
 王子を刺して、人魚に戻るべきだったのか?いや~…。
 あらゆる手を使って、力づくで王子をモノにすべきだったのか?う~ん…。
 人魚姫には王子を捨てて自分の足で歩きだすという選択肢はない。王子と結ばれなければすなわちそれは死だ。その前提は覆せない。
 ならば、そもそも王子への愛のためにヒレや声を捨てたりせずに退屈な海の底でのほほんと300年生きて海の泡になったほうがよかったのか。そもそも王子となんか出会わなければよかったのか。出会わなきゃよかったとか、好きにならなきゃよかったとか、そんなこと言ったって出会っちゃうし、好きになっちゃうし、それはしょうがないだろう。
 Wikipediaによると、人魚姫のものがたりはアンデルセンが自分の失恋体験がもとで生まれたと言われているらしい
 いつの時代も報われない恋は悲しく、終わりがない。
 人魚姫のラストシーンは、決して幸せでもめでたしめでたしでもないかもしれないけれど、それでも、偶然の出会いと前向きな選択の結果、心を込めて人を愛した人に対する神様からの思し召しということで、あれ以上に救われる終わり方はなかったのではないだろうか。

 冒頭の群唱みたいなシーンとか、一日の生活を、声でBGMをつけながら表現する演出がかっこよくて好きだった。

 小湊倫子さんはきれいなひとですね。若くてスタイルも抜群。衣装も素敵だった。
 加藤久美子さん、よく通る良いお声。
 長沼里佳さん、先々週も本番だったし、来週も本番だし、ちょっと登場するだけかなぁと思っていたら、けっこうがっつり人魚姫だった。すごい…。

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