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「わたしの黒い電話」

飛ぶ劇場vol.40「わたしの黒い電話」
 日時:2018年12月15日(土)18:00開演
 会場:枝光本町商店街アイアンシアター

 飛ぶ劇場的クリスマスストーリー。
 2月に久留米公演があります。
 北九州公演を見られなかった方はぜひ観に行かれたら良いかと思います。
 私はもう一回観に行きたいぐらいです。

 終演後にアフターイベントがあるということで、入場時に番号カードをもらいました。劇団員が順番に番号を引いて、当たった人はその劇団員が準備したプレゼントがもらえる、というもの。なんと私、泊さんから一発目に引いてもらい、脚本とキャンペーンソング『水曜日の男』のCDを頂きました!やったー!脚本は買って帰るつもりだったので、とても嬉しかったです。代わりといっては何ですが、グッズとTシャツを買って帰りました。
 なお、物販用の脚本のラストには、北九州公演の時点ではキャスト&スタッフにも知らされていなかったらしい秘密の一行が記されています。ふふふ・・・。
 久留米公演でもアフターイベントはあるみたいですよ。

 死者と黒電話でつながる話、だと思って観に行きましたが、まあだいたいはそういう話でした。
 意外とラブストーリーでした。

 ほんとうのところはどうだったのか、とかはもうどうでもいいな、と思いました。当日パンフに”決して合理的とは言えない物語”と書かれていたように、あの空間で起きていたことは、こちら側の現実世界では”ありえない”ことかもしれない。でも、あの空間では全部が”ほんとう”のことで、それでいいんじゃないかなぁと。だってクリスマスだし。年末だし、お正月だし、演劇だし。

 ここから大幅にネタバレしますので、これから観る方は読まないほうがいいです。

 冒頭、脇内くんの乾いた演技。最後まで見て思い返すと、シオリをなくした民雄のこころはあんなふうに乾いていたんだなぁと思う。
 シオリはもういない。けれど、民雄の中には確かにシオリがいて、シオリは東北の旅を続けていて、毎日のように黒電話で他愛のない話をする。
 
 現実の世界に暮らす人たちは、いい年してパートとか飲酒運転事故をきっかけに一家離散とか倒産とか自己破産とか中年独身ひとり暮らしとか、それぞれなかなかに厳しい、なまなましい事情を抱えて暮している。

 黒電話のベルは、民雄以外のひとたちにもちゃんと聞こえる。
 家にはワラシが住み着いていて、どこの誰だかわからないワラシの姿も、そこにいるみんなに見える。
 なまなましいこの世の現実を生きている人の間にも、あの世のものはゆるやかに入り込んでいる。

 賛美歌も、なまはげも、鶏肉も、ケーキも、年越しのどん兵衛も、年末には雑多にやってくるし、おせちも、鏡餅も、年始には雑多にやってくる。
 悲しんでいる人にも楽しく暮らしている人にも、生きている人たちに平等にやってくる。
 
 最後にふたりで一緒にクリスマスケーキを食べられてよかったなぁと思いました。
 もう年は明けちゃってたし、パッサパサだったけど。
 一緒にケーキを食べて、やっと民雄は涙を流せて、パッサパサだったこころが潤ったのだ。
  
 旅先の宿の人達を順番に演じる文目さんの変幻自在っぷりが素晴らしかった。この世のものじゃないあれを全部彼がひとりで演じるというのはすごく効果的だったと思う。
 ワラシの秋山さんがまさにワラシで、異物なのにかわいらしくなじんでいた。
 木村健二さんは平然と冷徹でいやなひとがうまいなぁ。
 内山ナオミさんも、その姉らしく外面はよく見せようとしているけど結構コワイ人を好演。ガラッと態度が変わる様子がかっこよくてしかも面白かった。

 舞台上のDJブースは、照明が暗くて、見せたいのか見せたくないのかが微妙でした。ずーっと、音響席が舞台上にあるのかな、いやそんなわけはないだろうと思って見てました。だから、横佐古くんが飛び出してきたとき、びっくりしました。あれは電話交換手?とも思ったのだけれど、いやいや、今の若い役者や観客はそんな仕事知らんやろ、そんな誰も知らんような人物をわざわざ出したりせんやろ、と思ってました。が、帰宅して当日パンフを見たら横佐古くんの役名が”交換手”だったのでぶっ飛びました。ヘンにいろいろ考えて見るもんじゃないですね。

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