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「ポリアモリー・ラブ・アンド・コメディー」

空想工藝舎「ポリアモリー・ラブ・アンド・コメディー」
 日時:2018年12月16日(日)14:00開演
 会場:冷泉荘

 大阪の匿名劇壇というところの福谷圭祐さんというかたの脚本を、youthとelder二つのキャストで交互上演。初日にはyouthとelderのシャッフルキャストで。私はelderキャストバージョンを観劇。

 会場内に入ると、パジャマやスウェット姿の男女がダイニングテーブルを囲んでゲームをしたりおしゃべりしたりいちゃいちゃしたりお菓子を食べたりカレーを飲んだり。やがてトランプゲームが始まり、負けた安部さきよさんが前説。

 ”ポリアモリー”という言葉の意味も知らずに観劇に行ったのですが、当日パンフに載っていた言葉の意味を見てびっくりした。…そういう意味なんですね…。客入れの間繰り広げられた光景を見て、全員が○○志望の、まだ何者でもない若い男女が暮らすシェアハウスで繰り広げられる”ラブ・アンド・コメディー”って、けっこう生々しいなと思いましたが、さて。

 ポリアモリーって、要するに恋人がいてもお互い合意の上で他の人と付き合う恋愛のかたちらしいのですが、そう考えるとポリアモリーなのは古関立花さん(長沼里佳)か。貴船くん(稲葉幸平)もなのかな?あとの人たちはみんな自分のエゴのために本当の気持ちを押し殺して、生活のためにあの空間にいる。
 
 家主である宮崎(田坂哲郎)が連れてきた、映画監督志望の春本(西山明宏)が、興味本位でこの家の住民たちを撮影しようとする。その撮影を通じて、少しづつ住民たちのほんとうの気持ちとか性癖とかが明らかにされていく。

 立花さんは相手が男であれ女であれ、他人に対して信頼と安定を感じられる人、なのかな?でも、せりふの中には”不安定”とか”メンヘラ”とか言われてて、ちょっと違和感を感じた。
 貴船は、良く解釈すれば"優しい人”だろうか?女の子には誰にでも優しいし、ゲイもOK、相手が嫌がることはしないし、求められればしてほしいことはしてあげる。藤北七瀬(足立万実)を殴るのも、七瀬がそうして欲しいのを知っていたからかもしれない。
 渚(こじまゆかこ)は宮崎一筋。でも宮崎は立花のことが好き。そもそもこの家をシェアハウスにして”選択禁止”のルールを作ったのも立花と一緒にいたいから。でも立花はみんなのことを平等に好き。宮崎はそんな立花のことを認めてあげたいけど、やっぱりできない。しょうがないから渚を抱いてる?それはポリアモリーじゃないよね?ただのやりたいだけの男だ。
 紬(安部さきよ)は姉川(中村歩道)のことが好き。姉川一筋。でも、姉川は貴船のことが好き。女の子たちはたぶんみんな姉川がゲイだということに気付いている。だからきっとみんな姉川と仲良しだし、姉川には本当の気持ちを話していたんじゃないかと思う。春本はたぶん姉川がゲイだと知らないから、紬に「妊娠した、かも?」な芝居を姉川相手にするように頼んだのだろうけれど、姉川にしてみればもし本当に紬が妊娠していたとしても、その父親は絶対に自分じゃないわけで(だって、姉川は紬とそういうことはやってないはずだから)、だからあの”たらばがにんしん”なやりとりになるんだろうなぁ。
 七瀬はレズでドM。立花のことが好き。立花は優しくて、七瀬のことを分かってくれるし、七瀬の望むことをしてくれる。  
 春本が、完全に興味本位で面白おかしく映画を撮影しようとしているのが、本当にサイテーで、観ていてすごく嫌だった。あれで映画監督志望とは、よほど下世話でつまらない映画しか撮れないだろうと思った。人間をあまりにもバカにしていると思った。

 と、ここまで登場人物ひとりひとりのことを思い起こして書いてきたのだけれど、ラストシーン、ダイニングテーブルでパソコンに向かう立花と、撮影したデータを見返す春本を見ていたら、あれ?立花って小説のネタ集めのために住民たちを手玉に取ってるの?と思った。だとしたらかなり計算高い女だ。

 終演後にyouthとelder両方の出演女優達のアフタートークがあったのだけれど、それを聞いていたら、youthバージョンも観たくなった。結局見なかったんだけれど、見ていたらさらに違うものが見えてきたんじゃないかなぁ。

 当日パンフはおしゃれで素敵なデザインだったけど、脚本と演出のクレジットなし。ってか、タイトルすら書いてなかった。それはちゃんと入れておいて欲しかったなぁ…。まぁ、チケットにはクレジットされていましたが。

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