「盟三五大切」
八月納涼歌舞伎第三部「盟三五大切」
日時:2018年8月13日(月)18:00開演
会場:歌舞伎座
盆休み。暇だ。
地元の図書館に行ったり、ショッピングモールに出かけてみたりもしたけれど、とにかく暇だ。観たい芝居は山ほどある。…というわけで、ちょっと調べてみた。福岡で観られないやつ、と考えればやっぱり歌舞伎座かなぁ…メタマクの帰りにバスで有楽町に出たのだが、歌舞伎座初日って書いてあったなぁ…NARUTOも観たいけどなぁ…猿之助さんは夜だけか―…。
と、悩んでいたら、東銀座に勤めている妹が、仕事終わりに付き合ってもいいよと言ってくれた。妹の都合に合わせて納涼歌舞伎第三部。「盟三五大切」はコクーン歌舞伎でもやった演目で、前から観たいと思ってたし、幸四郎、七之助、獅童、中車…と、名の知れた役者さんが多いから、日ごろあまり芝居を観ない妹でもとっつきやすいだろう。
おもしろかったー!
ものがたりは全然知らずに見に行ったのだけれど、四世鶴屋南北の作とあって、とても魅力的なお話だった。メタマクでシェイクスピアの悲劇を観てこれを観ると、ジャパニーズ悲劇!って感じ。
冒頭、七之助さん。何度も観ている役者さんだけれど、観るたびに雰囲気が違う。今回は三五郎の奥さんで、かつ芸者の小万、ということで、娘らしいかわいらしさではなく、江戸の女房らしい立ち振る舞い。芸者としては美しく、甘える様子も大人の色気。一方、四谷の屋敷で幽霊にも物おじしない様子は、ちょっとおばちゃんっぽさもあって、これまた魅力的。声が多彩なんだなぁと思う。声ひとつでいろんな人物を表現できるのが七之助さんの魅力の一つだと思う。
笹野屋三五郎=獅童さんは歌舞伎でほとんど見たことがなかったのだけれど、立役として魅力的だなと思った。江戸の町人とか、悪役とか似合うなぁ。
七之助さんも獅童さんも初役ということでしたが、お二人とも素晴らしかったです。
薩摩源五兵衛=幸四郎さんは襲名してぐんぐん変わってる感じがする。博多座で観た時はとにかく早替え!だったけれど、今回は一人の男が事件をきっかけに変わっていくさまが素晴らしかった。
若党六七八右衛門=中村橋之助さん、たぶん初見。どうしてもお父さんと比べてしまって、わりと若い時から存在感があったお父さんにくらべると弱いなぁ、ちょこまかしてるなぁと思って観ていたのだけれど、そこで出てくるとは!いやーさすが南北さん。役者さんの見せ場をうまく作ってくださってる!
中車さん、役者として歌舞伎の文法とは全然違う方なので、歌舞伎の舞台で観ると発声とか身体とかが全然輝かないのだけれど、ふとした時に見せる表情とかセリフ回しの中におおっ!と思わせるものがある。特に腹から声出して悪い顔をしたときとか。あと、コミカルな動きがお上手。中車さんのお役もちょい役かなーと思わせておいて、ええ!?という”実は”があり、ううむ、南北先生うまいぞ!と感服しました。
源五兵衛が小万を斬るシーン、かっこいい!七之助さんの海老反りが美しい!そのあとのシーンでは耳慣れない音がして、なんだなんだ?と思う。幸四郎さんが傘を取ったのを見て、ああ雨の音か、とわかる。
小万の首の前でご飯を食べるシーンでは、七之助さんの表情がかわいらしく、怖いシーンなのに客席からは笑い声(^^;)。私も笑っちゃいました。
最後の切り口上がまたシェイクスピアっぽかった。四谷の長屋のシーンで出てきた道化っぽいオジサン(ますます坊主)もしかり、洋の東西共通するところがあるもんですね。
仁左衛門さんも源五兵衛をよく演じていらっしゃるようで、別のキャストでも観てみたいなぁと思いました。ああ、歌舞伎沼…。
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コメント
また御無沙汰しています。って最早御記憶かどうか・・・。色々あって、今は東京です。
この演目は実は大好きです。明日歌舞伎座に行きますが・・・。世界でもこれほど面白く、しかも残酷な芝居はない、と思っています。
ところで、映画化『修羅』を、一度観て頂きたいと思いました。何しろ源五兵衛が中村嘉葎雄さん(あ、獅童さんの叔父さんだ!)、そして三五郎が美しかった頃の唐さん。
歌舞伎と映画の違い、そしてやたらに忠実なのにラストだけ改変した意味など、色々興味深い映画です。あの殺しの数々をリアルにやるので、ちょっと心の準備が必要ですが。
投稿: 明彦 | 2018/08/22 00:03
>明彦さま
ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです。
歌舞伎座いかがでしたでしょうか。
『修羅』、機会があれば見てみたいと思います。
投稿: SUN CHILD | 2018/08/26 22:27