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「アンチゴーヌ」

アンチゴーヌ
 日時:2018年2月25日(日)17:30開演
 会場:北九州芸術劇場大ホール<舞台上特設ステージ>

 フランスの劇作家ジャン・アヌイが、ギリシャ神話を翻案した作品らしい。
 観ながら、頭の中に ”犯人は、姪でした”もしくは ”犯人は、息子の婚約者でした”というキャッチフレーズが浮かびました。

 あらすじ
 アンチゴーヌ(蒼井優)は、反逆者として野ざらしにされていた兄の遺体に弔いの土をかけたことで、捕えられてしまう。
 王クレオン(生瀬勝久)は一人息子エモンの婚約者である彼女の命を助けるため、土をかけた事実をもみ消す代わりに、遺体を弔うことを止めさせようとする。
 だが、アンチゴーヌは、「誰のためでもなく、自分のために」と、法に背いても自分を貫こうとする。兄を弔うことを止めず、自分を死刑にするようクレオンに迫るアンチゴーヌだが……。クレオンは、国の秩序を守るため、苦渋の決断を下す。
(チラシより)

 私はもうだいぶ大人なので、自分の気持ちに正直に、”正しい”ことを貫こうとするアンチゴーネのまっすぐさよりも、国王として政治的に”正しい”道を選ばざるを得なかったクレオンのほうに圧倒的に共感した。

 蒼井優さんは、こういう古めかしいセリフの言い回しのほうがなんだかしっくりする。年齢を重ねて少しふっくらした感じもするけれど、バレエで鍛えた身体の動きがとても美しい。
 生瀬勝久さんは、年齢を重ねてますます渋くてかっこいい!クレオンはいろいろ苦悩してるよね…。一族のいろいろを引き継いで王になっちゃったけど、なんかもう問題山積みで、どうすりゃいいんだよ…ってところにアンチゴーネがこれでしょう。そんなに豊かではない表情の奥に、全身に、苦悩があふれている。
 しかも最後に一人で残されてしまう。彼のほんとうの気持ちとは違う、国王としての政治的決断として”正しい”道を選んだばっかりに。誰も彼の苦悩を理解しない。エモンの行動も、エモンの母であるクレオンの妻の行動も、わかるけど、わかるけど、あんたたちクレオンのことは考えてないでしょう!なんて悲しい。クレオンは、「じゃあどうすりゃよかったんだよ!」って叫びたいくらだろうに。国王として国を守るために、その悲劇を引き受けなければいけなかった男の立ち姿に涙しました。

 最後の、小姓(塚瀬香名子)の元気な返事と笑顔にも、ああ~若いなぁ…って思わされました。
 これは、若者と大人の対立、というか、理解しあえない世代のものがたりなのかなぁと思いました。アンチゴーヌとエモンの最期は「ロミオとジュリエット」みたいでしたね。ギリシャ悲劇でもあのような終わりだとすれば、シェイクスピアも参考にしたということなのでしょうか?

 佐藤誓さんがいい感じ。広いおでこの衛兵の登場シーン、特にアンチゴーヌに請われて、最後の言葉を手帳に残すシーンは、悲劇の中にほんの少し笑いもあって、ほっとしました。

  アンチゴーヌって、オイディプス王の娘なんですね!ギリシャ悲劇は全然読んだことがなく、勉強しなければいけないなぁと思ったので、終演後にパンフレットを買おうと思っていたのに、すっかり忘れて帰ってきました。残念。

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コメント

このような形の宣伝大変失礼します
劇団みなみの畑岡というものです
この度3/23~25の期間、新宿で公演を打つことになったのですが、劇作に時間をかけすぎたため製作面をおろそかにし、客席の空きに絶望しています。
もし都合がよろしければ、ぜひ見にいらしてください。

以下は今回の見どころです。👀

タイトル「汚れた空をかいくぐり」

今作品はAIに支配された世界の中において、立ち向かう者共の姿を描いた作品となっております。

-あらすじ-
「我々の未来は宇宙にある」
数年前、ロケットの打ち上げを予言した彼は今、危機に直面していた。
彼がロケットの撃墜を予言してしまったためである。


劇は一幕の場転、暗転一切なし、演劇の真髄である生の空間を描いたストレープレイです。
また、劇的な作用を構造として駆使し(アリストテレスがオイディプスで述べている発見と逆転)緻密に組み立てたものとなっております。

タラタラとここまで書いて来ましたが、今回の見どころを一文で伝えるのであれば

「重厚な構造的笑いと、感動を学生2000円一般2500円で120分味わえる作品です。」

*そんなものはプロレベルだ、反吐がでる!と思いましたら、脚本のデータをお渡しいたします。ただ、舞台の上と紙の上では踊るモノが全く異なるということだけは肝にお願い致します。


各劇団から度々私の元にくる宣伝文句がテンプレで温かみのないものであったので、ひにくれた宣伝をしてみました。気に障りましたら大変申し訳ありません。晒し者にしてください。
もし、来られるのであれば連絡を頂きたいのですが...
来られない、興味がない場合は【返信は一切不要】です。
*しないで欲しいといったわけではありません🙇


場所
新宿シアターミラクル

料金 学生2000円 一般2500円
日時
3/23 18:00
3/24 13:30 / 18:00
3/25 13:30 / 18:00

ご検討のほどをおねがいいたします。


そして、ここから先は本公演にかける思いです。
*これ以降本公演に必要不可欠な情報は一切ありません。

つらつらと書いていくので好奇心または粗探し暇つぶし程度に読んでいただけると嬉しいです。
本来はこう、手紙といった感情を伝えられるもので書くべきですが、私の字はきたなく読みにくいので不快感あたえてしまいます。綺麗だとしても当然住所も知りません。むりです。なのでiPhoneに頼らざるおえません。
以下

今、演劇界に限らず表現の場において戯曲力の低下が著しい...と私は勝手ながら思っております。
それは消費されるエンターテイメントの副作用から、60年代70年代のアンダーグラウンドや野田秀樹、つかこうへいなどといった演劇ブームの背景にあった時代の圧が今は乏しいから、そして、身体、演出的なもので演劇界が満足しつつあるからだと.......誰のトラかも分からない威を借り、私は思っております。
私はそれが悔しいというか、みていられないので、では己がやってやるという意気込みであります。
その手始めが今回の作品であります。


.........これ以上書くとヤバイ領域に入ると思ったので、自粛致しますがお気に頂けたのでしたら、演劇をやるのもとして語らいましょう。
自己満足の言葉だけ取り繕ったクソ野郎と思いましたら、20歳の若造のいたりだと思ってご容赦ください。


DMで遊んでいると思われてしまったのでしたら大変申し訳ありません。もうここまでにいたします。

ここまで読んでいただいき誠にありがとうございました。

投稿: 畑岡完紀 | 2018/03/15 18:44

>畑岡さま
申し訳ありませんが、九州在住ですので見に行くことができません。
公演の成功をお祈りしします。

投稿: SUN CHILD | 2018/03/17 23:02

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