« 「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべてを狂わせるガール」 | トップページ | 「エンドレスサラヴァー’17」 »

「業音」

日本総合悲劇協会Vol.6「業音」
 日時:2017年9月18日(祝)13:00開演
 会場:西鉄ホール

 初演は2002年。未見。
 松尾スズキさんが今回のチラシに書いていた。

 初演の業音を演出している間中、
 俺の心の中には土砂降りの雨が降っていました。
 主演女優さんにいい思いをさせたいという気持ちと、
 主演女優さんをめちゃくちゃにしたいという思いが常に葛藤していたのです。 
 そして結果としてこの人に恋をしてはいけない!とも。

 その主演女優って誰だっけ?と思いながら、芝居が始まってすぐに思い出した。荻野目慶子さんだ。芝居観てないのに、覚えてる。彼女がこの芝居で壮絶な演技をしたのであろうことが想像できた。

 出演は大人計画の劇団員のみ。 ああ、大人計画だー!って感じがした。福岡ではめったに大人計画見られないし、久しぶりでちょっと懐かしい感じまでした。そんなに大人計画観てないのに。

<あらすじ>
限りなく深い人間の“業”が奏でる物語…。 
母の介護をネタに、演歌歌手として再起を目指す落ちぶれた元アイドルの土屋みどり(平岩紙)は、 借金を返すために、マネージャー・末井明(皆川猿時)と共に自身が運転する車で目的地に向かっていた。 途中、自殺願望を持つ夫・堂本こういち(松尾スズキ)と、夫をこの世につなぎ止める 聡明な妻・杏子(伊勢志摩)と遭遇し、不注意から杏子を車ではねてしまう。 杏子は脳を損傷し、一生涯植物人間として生きる事に。怒り狂った堂本は責任を迫って、みどりを拉致連行し、 “有罪婚”と称し、二人は結婚。奇妙な共同生活が始まる。
芸能界を夢見て東京に出てきたものの、結局体を売る事でしか生きていくことの出来ない 堕落した兄弟・克夫(宮崎吐夢)・ぽんた(池津祥子)、年を偽わってまでも孤児院に入る事に 執着する屈折したゲイ・不動丈太郎(村杉蝉之介)、正体不明の老婆・財前とめ(宍戸美和公)らを不幸のループに巻き込み、負の連鎖は更に奇怪にうねってゆく…。
やがて、末井とも関係を持つみどりは、父親がわからない子を身ごもり出産するのだが、堂本との時間に執着し、子供の命を引き換えにしてまでも、「10ヶ月の夫婦生活の元を取るため」と、 堂本とのわずかな触れ合いを選択するのだった。
“それ”をやらなければ物事は上手く運ぶのに、 どうしてもやらずには先に進めない各自の“固執”。その“固執”が“業”を生み、空回りするそれぞれのエネルギーは、不協和音のような音楽を響かせてゆく……。
 

 装置は真っ白。壁に自転車や椅子や時計や豚などのオブジェがくっついている。縦に筋が入った柱状節理みたいな壁がちょっとエロティック。
 衝撃的な冒頭シーンののち、音楽!ダンス!
 ダンスがいい。松尾さんのダンスは相変わらず素敵。

 やたら脱ぎ、ウ○コとか死んだとか、コドモがゲラゲラ笑ってあーおもしろい!とか言いそうなアイテムが満載。エロとか死とか、オトナが必死で隠してしまおうとしている部分をさくっと舞台にのせちゃう。松尾さんは隠すほうが不自然だと考えてるのかなぁ。エロも死も排泄物も、当たり前にあるもので、日常の隣り合わせにあるもの。
 
 松尾さんて、母親だったり、妻だったり、血縁だったり、なんかそういう諸々に縛られたくなくて逃れようとする一方で、縛られていないとなんか不安みたいな感じがする。それがものがたりのあちこちに顔を出す。そういうところも”わかっちゃいるけど、やめられない”、”人間の業”なのでしょうか。誰かを愛さずにはにはいられない。誰かを愛することで、不幸になるかもしれないってわかってるのに。でも、誰かを愛することで、幸せになれるかもしれないから。

|

« 「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべてを狂わせるガール」 | トップページ | 「エンドレスサラヴァー’17」 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「業音」:

« 「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべてを狂わせるガール」 | トップページ | 「エンドレスサラヴァー’17」 »