« 「春フェスタ」 | トップページ | 「樫江田四姉妹のすすめ」 »

「東海道四谷怪談」

木ノ下歌舞伎「東海道四谷怪談-通し上演-」
 日時:2017年5月21日(日)11:00開演
 会場:京都芸術劇場春秋座

 昨年秋に木ノ下歌舞伎は北九州で公演してくれたのだけれど、ちょうど東京に観劇旅行に出かけていて見られなかった。しかし、観た人たちが口をそろえて「面白かった!」と大絶賛!へー、そんなに面白いなら観ないとなぁ。

 で、木ノ下歌舞伎はこの春「東海道四谷怪談」をやるらしい。しかも、通し上演ということで、上演時間はなんと6時間!さらに、その公演に虚構の劇団の小沢道成さんがご出演とな!観たい!けど、その週末に上京するのは無理。え?京都公演がある?いやいやいやいやその日はアルフィーのコンサートのチケット買ってるし!土曜日仕事だし!だいたい上演時間が6時間だし、日帰りできないでしょ?あれ?11時開演?・・・なら、17時には終わるよね。日帰りできる?

 ・・・というわけで、気づいたらチケットを買っていた。
 私は朝が非常に苦手なので、早起きして新幹線で京都に行くくらいなら、夜行バスで行ったほうがいいんjじゃね?と思って、格安夜行バスを予約。
 アルフィーのコンサートについては、もうぎりぎりまで紆余曲折したけれどどうにか折り合いが付き、土曜日は仕事→アルフィーのコンサート→夜行バスというだいぶ強行スケジュール。
 およそ9時間半バスに揺られ、京都着。老舗喫茶店で朝食をとり、京都大学構内を抜けてぶらぶらと春秋座まで歩く。
 京都春秋座は、先日ブラタモリでみた断層崖に建っていた。すげぇ!
 入口の額は四代目猿之助の筆によるもの。かっこいい!

 過去に私が観た四谷怪談は、花組芝居のいろは四谷怪談とコクーン歌舞伎の四谷怪談。
 前者は、グローブ座で観た「間違いの喜劇」に出演してらした加納幸和さんのきれいな脚に「え?この人男?女?」と混乱し、興味を惹かれて観に行った。加納さんのお岩も印象的だったけど、それ以上に、だいぶいっちゃってるお梅(植本潤さん)とふんどし一丁の小仏小平(大井靖彦さん)に度胆を抜かれた。後者は先代の中村勘九郎がお岩、与茂七、小仏小平の三役で、江戸東京博物館の模型で見た戸板返しや提灯抜け、早替えなどの歌舞伎の技を惜しみなく使った上演だった。直助は市川染五郎。伊右衛門は中村橋之助。どっちも休憩込みで3時間くらいあったと思うけど、ちゃんとやったら6時間にもなるとは…。しかも元々は「忠臣蔵」と交互に上演されてたらしいから…一泊二日の観劇だよ・・・。まぁ、9時間半バスに乗って行って、6時間芝居観て、3時間新幹線に乗って帰宅する私も私だけどさ。

 今回の演出は、映画「何者」の演劇部分の監修もしたらしい杉原邦生さん。杉原さんは、木ノ下歌舞伎でずっと木ノ下さんと一緒に作品を作ってきた人。今回をもって木ノ下歌舞伎を離れるらしい。しかも、木ノ下さんも杉原さんももともとこの春秋座がある京都造形芸術大学の出身らしい。そんな公演を、彼らのホームグラウンドであるともいえる京都で、春秋座で見ることができて本当に良かった!小沢さんも京都出身だし! 

 会場内に入ると、2階席もある芝居小屋っぽい造り。奥行きのある広いステージ上に、かなり傾斜のある大きな八百屋舞台が乗っかってる感じ。舞台自体にかなり高さがあるなー。

 開演。舞台奥に黒い紗幕が釣り上げられていく。
 役者たちが次々と舞台上に走りこんできて、にぎやかに始まる。
 話に聞いてはいたけれど、半分くらいの人は現代の若者そのものな衣装。あと半分は着物とか。お梅ちゃんの着物はマリメッコだ!せりふ回しも歌舞伎っぽい人もいれば現代語っぽい人もいる。
 小沢道成くんが地獄宿の宅悦女房で登場!期待を裏切らない女房っぷり。いや~嬉しいなぁ。
 宅悦役の人は、本来の役者さんがけがのため、急遽代役だったんですね。宅悦さんは最初っから最後まで出番も多く大変だったことでしょう。台本を片手にされていましたが、違和感は感じませんでした。

 1幕と2幕のあいだに15分、2幕と3幕の間に20分の休憩あり。
 
 長さはあんまり感じなかった。
 1幕終わったところで、「うぉーこれからどうなるんだー」って楽しみになっちゃったくらい。
 2幕は見どころもたっぷりでだいぶおなか一杯になった。そのあとに続く3幕は、疲れもあって退屈しちゃうかなーと思ったけれど、場面が次々に切り替わり、同時刻の出来事を”一方その頃!”みたいな感じで見せられ、また、多くの役者が客から見える位置にいて出たり入ったり・・・というおもしろい演出で、飽きさせずに見せる。
  
 お話はひと通りわかってたけど、全部通してやることでよりわかりやすくなった印象。お袖と直助と与茂七の関係とか、小仏小平がなんで忠義ものと言われてるのかとか。

 伊右衛門が現代的になっているので、彼のイライラ感がよく伝わった。失業して、貧乏で、奥さんが病気で、赤ん坊はうるさい。まだそこそこ若い伊右衛門は、お金も欲しいし、地元の仲間と遊びたい。お梅は美人じゃないけど、お金くれるって言うし、病気の奥さんとうるさい赤ん坊が一度にいなくなるなら御の字だ。でもやっぱり後ろめたい気持ちがあって、お岩と見間違えてお梅と喜兵衛を斬ってしまう。

 お岩=黒岩美佳さん。かつてあひるなんちゃらで活躍し、あなピグモ捕獲団にも出演されたことがある役者さん。現在はキリンバズウカ所属らしい。彼女のお岩が素晴らしかった。緊張を切らさず、けっこう長い、髪梳きの場面をたっぷりとやってのける。美しい夢の場面も良かった。

 3幕で小沢君は小塩田又ノ丞。病気のお侍さん。パジャマ姿がかわいい。この場面は初めて観たと思うけれど、彼の存在から、四谷怪談はやっぱり忠臣蔵と表裏一体のものがたりなんだなぁということが感じられた。
 
 役者さんはみんなレベルが高い。大学の演劇科で勉強したらしい人も多かった。個人的には小仏小平の森田真和さんがすごく気に入った。小平って、花組芝居でもそうだったけど、中性的な感じがする。小平の子どもも同じ役者が演じるけれど、子どもから小平への切り替えが鮮やか。
 

|

« 「春フェスタ」 | トップページ | 「樫江田四姉妹のすすめ」 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「東海道四谷怪談」:

« 「春フェスタ」 | トップページ | 「樫江田四姉妹のすすめ」 »