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「BENT」

「BENT」
 日時:2016年8月16日(火)18:30開演
 会場:福岡市民会館

 盆だし平日だし翻訳もの苦手だし・・・とチケットを取らずにいたのだが、暇だしチケットあるっていうし佐々木蔵之介さんだし、行くことに。

 ナチスドイツの迫害に負けなかった同性愛者の話、ぐらいしか知らなかったのだけれど、冒頭はアパートの一室。ひどい二日酔いで起きだしてきたマックス(佐々木蔵之介)。いや~かっこいいわ。

 同居人はおネエさんぽい若い男。あれ?北村有起哉さんじゃない、よね?
 そこへ、マックスが昨夜泥酔して連れ帰ったらしい金髪の超イケメン。小柳友くんだ!友くんは以前見たとき(「非常の人何ぞ非常に」)も男娼だったなぁ…。

 アパートのシーンから暗転して、薄明りの中めっちゃグラマーな美女が登場。ブランコに乗って歌い始める。ええ?美女じゃない!男だ!新納慎也さんだ!「真田丸」の秀次さまだ!
 今回見に行くことにした理由に、新納さんが出演するというのもあった。どこかお茶目な秀次さまが気になって、調べてみたら歌う人だと分かった。わかってたけど、歌うとは・・・そしてドラッグクイーンとは・・・完敗。素敵だった。芝居も素晴らしかった。
 
 ポスターにでかでかと顔が載っているのに、北村有起哉さんがなかなか登場しない。 
 一幕の終盤でようやく登場。ならばマックスの恋人は誰だ?

休憩時間にキャスト表を見て、中島歩という人ではないかということがわかる。中島歩…なんか聞いたことある…あ、「花子とアン」で、仲間由紀恵演じる蓮子さまと駆け落ちする宮本さん役だった人じゃないか。あの、美輪明宏さまのお気に入りと噂されている…。

 2幕。
 あの石は本物だよねぇ・・・。重たそう・・・。
 
 二人の間にあるのは、愛というよりも、欲望、あるいはエロス。
 フロイトの用語では、エロスは”性本能・自己保存本能を含む生の本能”をさし、タナトスと対比される。
 ラストシーン、黄色い星のついた服を脱ぎ捨て、ピンクの三角がついた服を身にまとい、まっすぐに鉄条網のほうに歩きだすマックスは、いかなる手を使ってでも生き延びてやる、という意思にあふれていた。愛する人たちの命ををナチに奪われ、一人残されたマックス。遠くてよく見えなかったけれども、それでも蔵之介さんの表情はとても険しかった。

 暗転のあと、アンコールに応える蔵之介さんの表情は一変してとても疲れていて、ほっとしていた。どんなに張りつめていただろう、と思った。本当にほんとうに、大変な芝居だったのだろうと思う。
 行くまでは暗くて辛くなっちゃうかな、と思っていたのだけれど、最後のマックスに勇気をもらいました。ありがとう。

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