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「enjoyちょうこく展」

OGATA MITSUTOSHI EXHIBITION VOL.3~天才はここから~
「enjoyちょうこく展」
 日時:2015年6月21日(日)
 会場:d3 Gallery

 尾形さんとは昔同じ職場で働いていた。
 就職で北九州に来て、住む家もないまま、まだ仕事も始まってないのに職場に泊まり込んでいたという、わけのわからない私にたいそう親切にしてくださった。思えば、私に飛ぶ劇場を教えてくださったのも、あじ美のトリエンナーレがおもしろいよと教えてくださったのも、社会貢献のやり方を教えてくださったのも、リサイクル工芸を教えてくれたのも、仕事をちゃんとしながら楽しく遊ぶことを教えてくださったのも尾形さんだった。紅生姜もうずめ劇場も一緒に見に行った。尾形さんがいなければ、今の私はないと言ってもある意味過言ではないだろう。
 尾形さんは5年前に退職し、美術を勉強するために短大に入学した。1年後、作品が県展に入選。その後も卒業制作が大学に買い上げられたり、福岡市美術展で2度受賞したりしてるらしい。なんだかもう、立派な芸術家だ。

 1ヶ月ほど前に、「画狂老人@北斎」を観にいったとき、同じ回を観に来ていた元同僚である友人が、尾形さんの個展があると教えてくれた。21日はちょっとした同窓会ぽいものになるらしい。というわけで、久しぶりの方々にお会いしたくて小倉へ。 

 10数年ぶりにお会いする尾形さんは、お変わりなく、会場にはやはり10数年ぶりに会う懐かしい顔がいくつもあった。みんなわけのわからない私に親切にしてくださったり、我慢強く付き合ってくれたりした方々だ。

 会場には彫刻作品を中心に、小さな絵や、インスタレーションぽい作品など、二十点足らずが並んでいた。
 もともと私がインスタレーション作品が好きだというのもあるけれど、どの作品もとっても面白くて、アイディアが新鮮だった。
 今回は”触れる作品”というのがテーマになっているらしく、ほぼすべての作品が触れるようになっていた。
 おじさん(広告に載っていた人がモデルらしい)を一筆書きで木の板に彫ったもの(正方形の板が何枚も組み合わされている)は、遠くから見ないとおじさんとはわからないんだけど、線をたどっていくのがおもしろかった。
 それぞれ正方形のパネル(発泡スチロールを和紙でくるんだもの)にアクリル絵の具で描かれた2枚の絵は、パズルのようになっていて、それぞれの正方形を入れ替えて遊べるようになっている。大きく口を開けた尾形さん本人によく似た像(不動明王っぽい)は、愚痴を書いた紙を口の中に入れるようになっていた。愚痴を全部飲みこんでくれるらしい。

 Dsc_0316_3

 黒い裸婦像(タイトル忘れた)は、いろいろな素材の黒で塗り分けられていて、近くで見ると微妙に質感が違うし、触ってもつるつるしていたりちょっとだけざらっとしていたりと、確かに違うんだけど、見ても触ってもほとんど違いは判らない。でも、塗り分けの図面を見たら想像以上に細かく塗り分けられていて驚いた。

 「うけつがれたもの」は福岡市美術展覧会で福岡美術協会賞を受賞した作品。どこかで見たことがあるような気がするのだけれど、気のせいかしら?土台に錘が入っていて、起き上がりこぼしのようにゆらゆらと動く。色もポップでかわいい。

 Dsc_0317_3

 それぞれの作品に使われている素材が本当にいろいろでびっくりした。和紙、アクリル絵の具、FRP、木、金属、(たぶん)壊れた傘などのゴミ!?、さらには食用色素や干しシイタケやヒジキなどの乾物(キャンバスから取り外してちゃんと食べられるらしい)等々。今はいろんな素材で、いろいろと試すのがおもしろいのかな~と思った。すでに次回の個展の構想もあるらしく、今は鉄と格闘しているそうだ。
 取り上げているモチーフもいろいろだった。今までアートを勉強している人の作品をいろいろ見てきたけれど、たいていの人はすごくこだわっている(というか、テーマとして決めているのか?)ものが一つあって、それをいろんな形で表現している人が多かった。素材(木工とか金工とか)も決まってる人が多かった。
 でも、尾形さんの作品を見ると、テーマも素材もいろいろだけれど、どれも私の知っている尾形さんの要素が表れていたように思う。お客さんに作品の説明をしている様子を見ていても、「これはこんな風になってるんです!(すごいでしょ!)」と、実に楽しそうで、とても素敵だなぁと思った。

 一緒に仕事をしているときから、「看板屋になりたい」「早朝から掃除のバイトをして、昼前には仕事が終わるから、あとは好きなことをして暮らしたい」と言っていた尾形さん。今はほぼそんな風に暮らしているみたいだ。「畑を耕して自給自足の暮らしをしたい」けど、まだそれは実現していないそうだ。「畑つくったら、1週間旅行に行けないでしょ」だって。みんなで、最近はペットボトルを使って毎日水やりしなくてもいいグッズがあるよと教えてあげた。そんな話題で盛り上がれる元同僚たちの存在はなんともありがたい。

 10年くらい前、仕事に飽きて、よく友人と「この仕事辞めたら何の仕事する?」という話題で盛り上がっていた。いろいろと考えて、結局「ほかにやりたいこともないし、できることもないからこの仕事するしかない~」という結論に至り、今に至る。尾形さんみたいに、仕事を辞めてもやりたいことは今のところ私にはない。ならばとりあえずしんどいけれども今の仕事を続けるしかないか~、と再確認した1日でもありました。

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