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「PLUTO」

シアターコクーン・オンレパートリー2015「PLUTO」
 日時:2015年2月8日(日)14:00開演
 会場:森ノ宮ピロティホール

 文化庁の『文化交流使』として1年間イスラエルに行ってた森山未來くんが日本に帰ってきた!帰ってきてさっそく出演する舞台が、ベルギーのダンサーで演出家であるシディ・ラルビ・シェルカウイによる「PLUTO」。彼が2011年に日本で上演して未來くんも出演してた「テ ヅカTeZuKa」は見られなかったんだけど、すごく良かったと聞いていた。そんなラルビ&未來くんで、浦沢直樹の「PLUTO」をやる!絶対見たい!
 共演に、永作博美、柄本明、松重豊、吉見一豊、寺脇康文。すごい豪華だ。
 無事に日曜日のチケットを手に入れ、大阪へ。

 原作の漫画は、ずっと読みたいと思っていたのだけれど、読まないままで、前日に大橋のBOOKOFFで8巻まとめ買いした。2巻の最初のほう、アトムが登場したあたりまで読んで、これは読まないほうが楽しめるなと思って、やめた。結果、読まなくて大正解だった。
 台本はDULL-COLORED POPの谷賢一さん。原作8巻分を実にうまくまとめて、とっても面白い作品にしていた。てか、台本が谷さんってわかった時点で、これは間違いなく面白いだろうと確信した。期待を裏切らない素晴らしさだった。
 帰宅してから原作漫画を全巻読んだ。普通原作のある作品って、舞台でも映画でもドラマでも、原作のほうが圧倒的に良いと思うことが多いんだけど、読み終わって「舞台のほうがよかった」と思ったくらい素晴らしい舞台だった。

 白っぽいステージ。ステージ前にはやはり白っぽい、機械の部品みたいな、ロボットの破片みたいなものがぎっしり積み重なって捨てられている。「朝日のような夕日をつれて2014」のゴドーさんみたい。装置&映像は上田大樹さんという方。新感線や大人計画、ケラさんの公演でも映像を担当されている方らしい。
 原作漫画の絵が舞台上に映し出されては消えていく。すごい!かっこいい!どうなってるの?
 漫画のコマ割りみたいなフレーム。そこから切り抜いたみたいな白い台形のボードが組み合わさると長方形になる。

 ラルビの演出ということで、もっとダンスっぽいのかと思ったら、普通に芝居だった(そもそも未來くん以外の主要キャストは踊れない)。けれども、随所にコンテンポラリーダンス的要素が盛り込まれていて、たとえばゲジヒトやアトム、ウランといったロボットである登場人物にはマニピュレイターと呼ばれるダンサーが複数人ついていて、あたかもマニピュレイターによって動きが操作されているかのように見える。見ているうちに、生身の人間が動いているのに、なんだか漫画やアニメを観てるみたいに見えてくる。
 
 メインキャスト以外に8人のダンサーさんが出演していたが、このダンサーさんたちが全員すばらしかった。それぞれ世界で活躍する超実力のあるダンサーさんたちらしく、シルクドソレイユの登録アーティストというダンサーさんも何人もいた。いくつかの場面でダンサーさんがソロで踊るんだけど、ウランがアトムが生き返る場面を見守るシーンとか、すごくかっこよかった。また、彼らがロボット人形を操る様子は、文楽人形を操ってるみたいだった。とてもスムーズで違和感なし。 
 音楽も素晴らしかった。場面によっては和風の音楽になるのだけれど、音楽もポーランド出身の方と、日本人の2人いて、場面によって使い分けられているようだった。

 物語は原作漫画を再構成した感じで、ほぼそのまんまのセリフも多く出てくる。もともとの原作である鉄腕アトム「史上最大のロボット」は1964年~65年の作品、「PLUTO」は2003年から連載の始まった作品だけれど、今見ても、いや今だからか、ものすごくリアルに突き刺さる作品だと思った。
 見ながらずっと、涙が止まらなかった。今、自分に何ができるだろう?それを思うととても情けなくなった。

 役者さん。
 寺脇さん、あんまり好きじゃなくて、ほとんど見たことなかったんだけど、うまいな~。ゲジヒトの強さと優しさをよく表現してた。
 永作ちゃん、ゲジヒトの妻ヘレナとアトムの妹ウランの二役。ヘレナでは低めの声でおとなの女性。一方のウランはサロペットの超ミニスカートで小学校低学年の子どもを演じる。かわいい!さすがにツインテールではなかったですが、でこ丸出しのポニーテールもかわいらしい。
 松重さん、悪役。舞台での松重さんをひさしぶりに観たけど、やっぱいいなぁと思った。
 柄本さん。天馬博士のイメージよりもちょっとやさしめ。
 松重さんと柄本さんがチェスをするシーン、彼らにとってはこの世の人間はみんなチェスの駒みたいなもの、っていうのを象徴しているようだった。
 吉見さんは、ルーズベルトのかわいらしい声が印象的。

 終盤、アトムが空を飛んだ!未來くんが二人のダンサーにリフトされる、そのポーズは、鉄腕アトムの飛ぶシーンをイメージしていて、かっこよく美しかった。
 そして、なんといってもクライマックス、アトムとプルートが戦うシーンが素晴らしかった。大きくて白いバルーンみたいなもののあちら側とこちら側をするすると行き来しながら、ダンサーの方々に支えられて浮いたり回転したり。演劇であり、ダンスであり、なんだか新しいものを見た気がした。

 何度も何度もアンコールで呼び戻されて、舞台中央で深々と頭を下げる未來くんは、元気そうでよかった。次回は愛媛でイスラエルにいたときに女性ダンサーと一緒に作った作品をやるみたい。これをやるのか~。7月か~。う~ん…。

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