「紙の月」
「紙の月」
日時:2014年11月21日(金)
会場:ユナイテッドシネマ福岡
原田知世主演のNHKのドラマも観てました。
でも、宮沢りえちゃん主演、吉田大八監督で映画化されるっていうなら、観たい!
ネタバレありあり。
ストーリーはわかっているので、りえちゃん演じる梨花がどんどん犯罪に手を染めていくさまをどきどきしながら見た。なぜ彼女が、欲望のままに横領に手を染めていくのか。それはやっぱりよくわからなかった。ただ次々と高級なお買い物をし、若い男を喜ばせ、楽しそうにぜいたくな生活をしている様子に、こころが痛かった。そんなことをしてもこころは満たされない、そんなことをしても、ひとの心は手に入らないのに。
梨花は学生時代、恵まれない子供たちに送るために、父親の財布から5万円を盗んだ。彼女はそれを正しいとしてやった。なんだろう。それほどまでに純粋だったということか。
クライマックスの、小林聡美との2人のシーンが素晴らしい。
梨花は決して正しくない。でもそんな、道を外れた梨花をうらやましいと思う隅さんがいる。
そして、衝撃的な脱走劇!
学生のころ、窓際の席で、いつも窓の外を見ていた。授業中、いつかここから飛び降りてやりたいと思っていた。透明な、ガラス窓の向こう。梨花はそれを鮮やかに破って、逃げる。
ラストシーン、ドラマで観たときは、梨花がどこへ行ったのかよくわからなかった。アジアのどこかの国に行ったのだということはわかったのだけれど、なぜそこなのかもわからなかった。
けれど、映画ではよくわかった。
高校時代、お金を送っていた恵まれない子供が住む国。梨花はその国へ行ったのだ。
そしてそこで、自分が支援していた少年に出会う。嘘なんかじゃなかった。少年は確かに存在していて、そこに生きていた。
それがわかって、あのあと梨花はどこでどんなふうに生きるんだろう。
自分の犯した罪を、どう背負って、あるいはどう償って生きていくんだろう。
それが見てみたいと思った。
豪華キャスト。
石橋蓮司さん、いやらしくもあり、心優しくもある、絶妙にその辺にいそうなジジイを好演。
大島優子さん、かわいい小悪魔。”ありがち”な、ちゃっかりしたOL。
池松壮亮くん、最悪。私はダメな男がけっこう好きだが、こいつはほんとに最悪。こんな奴はダメだよ。しかし、池松くんはこういう役を絶妙に距離を取りながら飄々と演じる。この先どんなおじさんになっていくんでしょうね。
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コメント
ますます映画観たくなりました。
楽しみ。
池松への最悪、っていうのは誉め言葉ですよね?
そんなにあの大学生は悪いやつなのですか。
大筋は知ってますが、テレビも原作も未見なんでそこまでとは思ってなかったなー。
投稿: さ | 2014/11/26 08:41
>さ さん
コメントありがとうございます。
「最悪」なのはもちろん池松くんじゃなくて、彼が演じる大学生です。あの大学生はどこをどうひっくり返してみてもいいところなしだと思うのは私だけでしょうか。
原作も読みましたが、とても面白かったです。
さ さんも映画を見られたらぜひ感想を聞かせてください。
投稿: SUN CHILD | 2014/11/29 14:23