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「月面の少年アリス」

あなピグモ捕獲団Presents The Another-side#4
「月面の少年アリス」
 日時:2014年10月25日(土)14:00開演
 会場:リバレインホール

 劇団結成17周年という、なんとも中途半端な周年記念公演は、過去に福永さんが他団体に提供した脚本をリライトした作品に新作2本を加えたオムニバス。アナザーサイドと銘打って、東京から福岡から懐かしい役者も招集されて、総勢16名の大所帯で。
 17周年だからなのか?いろいろと新しい試みも。まず、劇団初(らしい)グッズあり。そして、チケット+グッズが全部込の”投資券”というのがあった。それ、私に買えということでしょうか。買いましょう。1枚ですけど。

 その他、当日パンフに広告をとってたり、B4二つ折り手書きコピーだったご挨拶がA4ワープロ打ちに。おっと、どんな心境の変化でしょうか。

 他団体に提供された作品とはいえ、私はその上演をほとんど全部観てます。追っかけなんで。ま、ほとんど全部覚えてませんでしたけど。

 普通に始まるのかと思いきや、本編チックな前説。そういえば初めて見に行った時もこんな感じだった?前説は演出がやってましたけど。群唱とか。初期にはこんなことやってたんでしたっけ?今見ると、先月観たあの芝居みたいなんですけど。息のつぎ方とかリズムとか。当時はそこまでそんな風には思ってませんでした。それっぽさを巧妙に隠してたんじゃないかと思うけど。

01『ゲマインシャフト』
 古賀今日子さんが所属するche carino!/che carina! のオムニバス公演「うそばっかり」(たぶん)に提供された作品。
 「ドイツくさい」というセリフすら覚えてませんでした。「ガーコ」って役名がなぜか記憶の片隅にありました。意味とか求めちゃいけない、わからないままに受け止めるしかない、と思う。

 各作品の間には、役者たちが登場して当時を振り返ったり、初期のオープニングシーンをやってみたり。
 そして今のオープニング、といえば役者紹介。(どこで何をやったかはすでに覚えてない)

02『手紙ライダー』
 今回のリライト6作品のうち、これだけ見ていない。
 カフェで手紙を書く女=宮川(ますだようこ)。そこへ友人らしき女=田畑(若林史子)がやってくる。少々風変わりな二人の女は、存分に再会を喜び合うが、客の男=杉本(貝谷聡)もマスター(小澤貴)も少々迷惑気味。宮川はマコトという男に手紙を何通も書いており、田畑にそれを読ませようと呼び出したらしい。二人のやり取りを聞いていた客の男が突然「手紙はダメだ」と言い出す。聞けば、男は恋人から遺書を受け取り、恋人のもとに走ったものの手遅れだった。だから、手紙はダメだ、会いに行けと言う。その言葉を聞いた宮川は即座に店を飛び出していくのだった。 
 これが一番好きだった。杉本に遺書を書いた女のエピソードはどうかと思ったけど。最後の田畑と杉本のやりとりで宮川が手紙を書いている理由が明らかになる。切ないね。せつなくておかしいよ。

03『グラスホッパー』
 これもカフェで上演された芝居。
 女(伊藤綾)は、自分の描いた絵をけなされたという理由でカフェのマスター(木福清信)を殺してしまう。そこに現れる正体不明の3人の女(遠藤咲子・馬場阿紀子・野中双葉)。女はなぜマスターを殺したのか? 

 芸術が理解されるということ/理解されないということ/理解されたいということ。そんなこんなを行ったり来たり。初演時、福永さんが非常にいらいらしていたのを覚えている。作品自体もそんないらいらがあふれてたような気がする。今見ると、劇世界をずいぶんと客観視してるように見える。これが10年たってたどり着いた位置から見た芸術でしょうか。
 伊藤綾さんがとてもとても素敵だった。
 あ、カフェで上演されたときは、死体は人形だったんじゃないか?ということを今思い出した(間違ってるかもしれませんが)。

04「LONG RADIO LETTER」
 シアターポケットで観たような気がする。終演後に福永さんが「自分で演出したい!」って言ってたような記憶がある。あと、ラジオがにこにこしながらしゃべってたのと、「美しく燃える森」がとても印象に残ってる。
 なかなかひどい話だった。でも、こんなにもひどい日常からしか生きてる実感を持てない人もいる。退屈な日常に耐えられず、たまに何かしらの刺激を求める人もいる。
 ラストにマスター=天野智範登場。いやー、お久しぶりですね。
 「この店はラジオ消したら明かりも消えるのかよ!」ってせりふは愉快ととっていいのか、ブラックにとるべきなのか?

 グッズ紹介のコントはこのあたりだったか?
 長野くん、声嗄れっ嗄れ。どうしたらそこまで嗄れるんだ?

05『ガンズアンドローゼズ』
 レウコクロリディウムに提供された作品。ところで、レウコクロリディウムはもうやらないのでしょうか?
 
 これは比較的最近だったので、ちょっとだけ覚えてた。初演では書けない人の夢物語みたいな印象があったけど、今回は書かない人への応援歌みたいに思えた。
 小澤くんも、五百厘さんも、お久しぶり。 

06『惑星タクシー』
 カフェソネスで上演された鎌田貴嗣一人芝居に提供された作品。今見たら、鎌田さんじゃなくて福永さんと大竹くん+1名でのリーディングだった。冒頭の「ぎり、ぎり」っていう擬音しか覚えてなかった。
 タクシーに乗って向かった先、運転手にさじを投げられ、行先を見失う。置き去りにされそうになる中、ハンドルを奪い、過去に出会った人を置き去りに、出会った女を連れて、自分の中心に向かう。気が付けば一人。だけどもう、行先は見失わない。
 これが今の気分なのでしょうか。

07『反撃のうた』
 このへんから、どこまでが中入りで、どこからが本編なのかよくわからなくなる。

08『月面の少年アリス』
 不思議の国のアリスになれなかった女が三人。そこへ、宇宙飛行士の少年。
 小さなスプーンで土を掘る。不思議の国へ行くには小さすぎる穴。
 「月面で君を待つ」繰り返されるせりふ。

 「月面で君を待つ」というせりふがふと、「劇場で君を待つ」って聞こえた気がした。
 私があなピグモ捕獲団と出会ってから十数年の間、ずっとずっと”芝居をやること””芝居を続けること””芝居を創ること”について考えて考えて考え抜いて、でも答えは見つからなくて、それって考えてるんじゃなくて悩んでるだけじゃん、悩むな考えろ!って感じだった。ずっとずっと”月”に行きたくて、でも行ったつもりがそこは月じゃなくて、たどり着かないここではないどこかを目指して迷走していた。
 やっと、自分の立ち位置を見つけたらしい。そこからは地球がよく見えますか?

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 芝居を観に出かける前に、たまには片づけるかと部屋に積み上げられたダンボールの一つを開けてみた。中から、十数年前にやっていた仕事の資料がでてきた。十数年前の私は、ちゃんと誰かの心を動かす仕事をしていたんだと思った。今の私は、そんな仕事ができているのだろうか。毎日不安になる。毎日自信がない。でも、十数年前も多分同じだった。
 今いる場所からはわからない。けれど、時がたって、見えるものもある。今は見えなくても、長く続けなければ見えない景色もある。根拠も自信もないけれど、たぶんそうだ。そういうことにして、明日も頑張ろう。

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