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【速報】「MIWA」

NODA・MAP「MIWA」
 日時:2013年12月8日(日)13:00開演
 会場:北九州芸術劇場大ホール

 

 公演が告知されてから1年以上。大千秋楽にやっと観劇。

 

 美輪明宏さんの人生をモチーフにしたものがたり。
 悲しいことやつらいこと、重たいこともいっぱい描かれているんだけれど、それでもとても楽しいお芝居だった。
 美輪さんって人の、その存在がもうエンターテイメントなんだと思った。

 

 大ホールに入ると、ステージ上に大きなフレーム。
 中央に黒い椅子と白い椅子が並んでいる。
 

 BGMは「Get it on」で開演。
 暗転から明かりがつくと、舞台上にものすごくいっぱい人がいた。会場から小さく「わぁ」っと声が漏れる。
 そこは生れ来る前の世界。そこにいる人の顔はのっぺらぼう(な、布のお面をつけている)。なんだか蜘蛛の巣みたいなののイメージのセットと衣装。彼らは踏み絵で選別されている。踏んでいるのは…。

 

 基本的に、舞台上でMIWAの人生が時系列順に語られる。が、そこに妄想とか創造とかエンタメが入り混じり、しかも時間軸は時折狂い、何が事実で何が想像なのかよくわからない目くらまし。
 
 宮沢りえさんはいつもながらに要求されているものが高い。セリフ回しが早く、語り部としてのセリフ量も多い。「ロープ」の時も、そうだったけど、背負わされているものもとてもとても大きい。その役と真摯に向き合って、舞台上にいる姿がとてもかっこいい。「おのれナポレオン」の時も思ったけど、すごく男前。ああ、だからMIWA役はぴったりだったんだ。しかし、だいぶ痩せてたように見えました。「THE BEE」や、「おのれナポレオン」の時はとてもふくよかで肉感的だったのに。太ってたのも役作りだったと思うけど、痩せたのも役作りか。

 

 野田地図のふるちんは、すごく伸び伸びしていていいなぁ。ふるちんも痩せてたような気がする。
 もう、冒頭のバケモノっぷりが、バケモノ以外の何物でもなかった。そして、ずっとバケモノだった。しかし、牛乳屋の息子場面では、ただのおっさんだった。メイクしたり落としたりしてるんですよね?大変です…。

 

 井上真央ちゃんが意外な印象でびっくり。ええ?ああいうこともできるんだ…。とてもよかった。今後の彼女の活躍にさらに期待。

 

 舞台上に、いつもMIWAを見つめる観客がいる。アメリカ兵だったり、家族だったり、作家だったり、店のオーナーだったり。MIWAはいつも”観られる存在”としてそこにいる。その波乱万丈な人生そのものが、小説や映画みたいに鑑賞される。

 

 原爆の場面はとても美しかった。とてもとても残酷な場面なのに、とてもとても美しかった。
 「パンドラの鐘」でも、あの場面はとても美しかったけれど。
 隠れキリシタンとか天草四郎(そうか、島原も長崎だね)とか、長崎に関係するモチーフが他にもいろいろ。でんでらりゅうの歌も久しぶりに聞いた。
 野田さんも長崎生れだし、この芝居を通して長崎を描きたかったのかもしれない。わざわざ小倉までやってきたのもそういうこととちょっと関係があるのかしらとか思う。 

 

 浦井くんがかっこいい。そしてキュート。今回はあんまりがさつでちょこまかした感じじゃなかったなー。野田地図の舞台は動きが多いからか?
 フランス帰りの歌手役で踊る場面が素敵だった(衣装も)。そしてそれはものすごく悲しいエピソードだった。お母さんやおばあさん、妹を男性が、お父さんを女性が演じるのも象徴的。

 

 野田さん演じるオスカワアイドルは、MIWAを愛したいろんな作家や文化人の複合体であり、同性愛者の作家たちの複合体なのだろうと思う。

 

 パンフレットで何度も「この芝居は”愛”の芝居だ」と言われているけれど、母子の愛、男と男の愛、男と女の愛、師匠と弟子の愛、友人同士の愛、兄と妹の愛・・・とにかくいろんな愛が描かれる。どの愛も全部美しかった。

 

 池田成志さんのおかっぱママっぷりが、野田さんのパロディーみたいで可笑しい。今回、野田さんはあのキャラじゃなかったからね~。衣装はゴッホの絵画「ひまわり」と「星月夜」?がモチーフになっている。陰と陽を体現した存在。
 瑛太さんはかっこいいヒーロー。ちょっと弱かったかなぁ。周囲が濃過ぎるのか。
 青木さやかさんの負け女っぷりが清々しい。さくっとキューバに行っちゃうそのフットワークの良さを、同じ負け女として見習いたい。そして、もの悲しくならないよう、私も負け女として清々しくありたい。
 菊沢将憲さんが相変わらずのご活躍で嬉しい。2月にはまた福岡にいらっしゃるのね。楽しみ!

 

 ラストシーン、ステージでひとり「愛の賛歌」を歌うMIWA。
 置かれた黒い椅子に明かりが当たっている。
 そこに座ってMIWAを見つめるのは誰なのか。
 MIWAを見つめる存在はもういないのか。
 一緒にこの世に生れ落ちてきた安藤牛乳も、母を殺し(生れ落ちる前にすでに母を殺していた!)、棺桶に入れられて葬られた。そしてMIWAは一人ぼっちになってしまったのか。
 MIWAは、生まれた時からずっと一緒にいた安藤牛乳と同じ姿でただ一人舞台に立ち、「愛の讃歌」を歌う。
 ああ、それはまさに、今の美輪明宏の姿だなぁ。 

 

 しかし、アンコール要求しすぎでしょう。
 でも、野田さんが、舞台上で最高級のお辞儀をした。投げキッスも初めて見た。遊眠社時代はああいう感じだったのだそうです(ジャンピング投げキッスだったとか)。

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