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「pina」

pina~ピナ・バウシュ踊り続ける命
 日時:2012年3月18日(日)
 会場:Tジョイ博多

 ヴィム・ヴェンダーズ監督が、ピナ・バウシュの作品を映像化したドキュメンタリー映画。
 ピナ・バウシュ自身は、この映画が撮影される直前に死去した。
 
 私にとっては、初めての3D。
 3Dってどんなものかと思ったけれど、奥行きが感じられてなかなか楽しかった。特に、屋外で撮影されたものがダイナミックで好きだった。

 ピナ・バウシュの名前を聞いたことはあったけれど、どんな人なのかはよく知らなかった。
 「バレエと演劇の垣根を取り払い、そのどちらでもない全く新しいジャンルを生み出した」と言われているけれど、私が観たところそれはいわゆるコンテンポラリーダンスというものだった。彼女自身は”タンツ・シアター”と呼んでいたらしい。
 いま、”演劇”というジャンルの中で行われているけど、それってダンスでしょ?と言いたくなるような公演は、すべてピナ・バウシュから始まっているのではないかと思いたくなるくらいだった。 
 
 この映画のために撮影されたらしい「春の祭典」「カフェ・ミュラー」「フルムーン」「コンタクトホーフ」の4作品をばらばらにした映像の間に、ダンサーたちがピナ・バウシュについて語る(語らない人もいる)様子や、ソロのダンスがさしはさまれる。最初は?だったけれど、みているうちにいくつかのダンス作品がばらばらにされていることがわかって来て、それぞれのストーリー(そんなものがあるのかはわからないが)もだんだん見えてきた。ピナ・バウシュの振付であろう4作品は、ばらばらにされてしまっているとはいえ、それぞれに面白かった。

 映像が美しい。どこかで観たことがあると思ったのだけれど、6年ほど前に観たヴォルフガング・ティルマンスの写真に似ていた。同じドイツの景色だしね。
 音楽も素敵。

幸か不幸か、この映画はピナの死によって完成されたように思う。
 彼女が生きていたら、こんな作品にはならなかっただろう。
 ダンサーたちの表情や証言に、映画にはほとんど登場しないピナの存在が色濃く感じられる。彼らは、ピナの突然の死に、そして彼女の不在に戸惑っているように見える。しかし一方で、ピナがいなくても大丈夫です、残された私たちでがんばります、という気持ちも感じられる。特にラストシーンに近づくに従って、ダンスは激しさを増すし、ダンサーたちが魂を込めて踊っているのが伝わってくる。ダンスを踊るときに、ピナを思って踊っていたわけではないと思うのだけれど、この映画の中でそのダンスを見ると、なんだか亡きピナのために踊っているように見えてしまうのだ。これこそが映画だなぁと思う。
 そしてそこには、この映画を撮ったヴィム・ヴェンダースのピナ・バウシュへの想いがはっきりと見てとれた。

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