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「福岡 みなぎる血潮はらっせらー」

渡辺源四郎商店「福岡 みなぎる血潮はらっせらー」
 日時:2012年2月18日(土)19:00開演
 会場:大野城まどかぴあ大ホール舞台上舞台

 高校時代、うちの学校には“マスクマン”というキャラクターがいた。漫画研究部が作ったキャラクターで、赤いスウェット上下に段ボールにアルミホイルを巻きつけた鎧を着て、蛍光灯のサーベルで、ウレタン製の怪獣と闘ったりしていた。永遠のライバル○○仮面(←○○は近隣の、うちより偏差値の高い高校名)にいつも負ける、というちょっと情けないキャラクターだった。マスクマンを主人公にして、8mmで映画を撮ったり、マスクマンが送別会のステージに登場したりしていた。 
 
 1997年に青森で放送されたラジオドラマ「県立戦隊アオモレンジャー」をモチーフにした3人芝居。
 ※ちなみに県立戦隊アオモレンジャーとは、日本の農林水産業の支配を企む悪の秘密結社「NOKIO」の手から青森県を防衛すべく組織された秘密組織である。三内丸山遺跡の地下に本部の秘密基地があり、他4つの支部からえりすぐった精鋭部隊である。メンバーはリンゴレッド・ホタテピンク・イカブルー・シャコイエロー・イタコブラックの5人。

 個人的には、渡辺源四郎商店の作品は2006年の「背中から45分」以来。
 あの時はシリアスで静かな芝居だったので、そういう感じかなぁ、と思いきや。

 いきなり戦隊モノの赤レンジャーが登場。しかもいい感じに中年太りのおっさんだ。

 どうやらそこは警察の取り調べ室らしく、赤レンジャー(=リンゴレッド)は青森市の海沿いにある青森県観光物産館(通称アスパム)の、正三角形の屋根によじ登ろうとして、2人の警官から取り調べを受けているらしい。

 取調室の風景から場面は一瞬にして街の不動産屋になったり、ある女の実家になったり、アオモレンジャーたちの活躍?が描かれたりする。どうやらそれは、リンゴ農家だった父親からリンゴレッドの秘密特命を受け継いだ、津軽浩光という男とその家族の風景らしい。取調室でのやり取りと交互に、浩光の家庭が、時系列順にさしはさまれる。
 結婚して新居を決めるときも、娘が生まれた時も、娘の運動会にも、娘が不登校になった時も、いつもいなかった父。だって父はその時、アオモレンジャーの一員として青森県に迫り来る敵(岩手のなまはげとか、秋田の米やハタハタとか、北関東連合軍とか、九州男児とか…)と戦っていたから。でも、そのことを家族は知らない。いや、いちおう説明されてはいるみたいだが、あまり本気にはしていない。

 2人の女優はそれぞれ、警官のほか、浩光の妻・娘・義母・アオモレンジャーの別のメンバー等々を入れ変わりながら演じる。2人とも幼稚園児からおばあさんまでを自在に演じ分けて、また一瞬で役を入れ替わる。非常にうまい。

 2人の娘もすっかり成長し、同居する妻の母親を含む家族は妻の仕事の関係で、父親だけを青森に残して東京へ。リンゴレッドが戦う最大の敵は、彼から家族を奪った東京だった。
 しかし、送られてくる離婚届。最後の戦いの舞台に、リンゴレッドはアスパムを選んだのだったが…。

 ここまで描かれてきた家族の風景の中に、いつも父はいなかった。
 最後に、家族が今日まで送ってきた日々が、父の視点から走馬灯のように描かれる。
 青森県のために、日夜戦ってきた、つもりだった。だけど、そんな彼に残されたものは何もない。あの、戦いの日々は何だったのだろうか…。

 最後にリンゴレッドがアオモレンジャーの主題歌を歌うのだが、歌うまい!
 そして、カーテンコールのごあいさつで、このリンゴレッドが作・演出の畑澤聖悟さんだとわかる。
 え~~~!

 この作品は、畑澤さんと渡辺源四郎商店の女優2人の計3人で演じられるように企画されており、なべげんの女優は全員がこの演目を演じることができるようになっているらしい。そして、全国47都道府県での上演を目指しているらしい。全国制覇、是非実現してほしいなぁ。

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