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「グンナイ」

万能グローブガラパゴスダイナモス「グンナイ」
 日時:2011年5月29日(日)14:00開演
 会場:イムズホール

 昨年に引き続き、ガラパのイムズ公演。
 東京公演を経て、どう成長したのか楽しみに観に行く。

 ものがたり。
 クツワダ高校野球部OBの井手(椎木樹人)、船小屋(松野尾亮)、チャラ(どん太郎)、タミオ(松田裕太郎)、ケンケン(加賀田浩二)は、同窓会と称して、日本を離れ、ケンケンが住むどこかの島にやってきた。ケンケン行きつけの小さなロッヂのような、民宿のような店?に集まり、その店のオーナー・天草(阿部周平)も交えて大騒ぎ。
 そこには親の事業を継ぐことになっているタミオをインタビューするために、わざわざ追いかけてきた女性記者・渚(横山祐香里)もいた。さらにタミオがみんなを見返そうと、こっそり呼んでいた婚約者・和美(多田香織)も合流し、夜。外では現地の祭りが行われ、花火も上がっている。
 そんな中、彼ら一人一人の抱える事情が、少しづつ明らかになっていく…。

 楽しく作ってはいるけれど、脚本はちょっと雑な印象。
 それぞれのキャラもちょっと弱い感じがしたし、そもそもの設定やいくつかのエピソードも説得力のないものが見られた(タミオの仕事とか、なぜ渚がわざわざ追いかけてきたかとか)。花火も演出上の都合で(役者の出入りを作るため)打ち上げたのかなぁ、とか思ってしまったりして。
 また、過去作品のモチーフがあちこちにちりばめられ(島の別荘での同窓会、野球賭博を追いかける記者は「惑星クレイジー」、亡くなった同級生は「馬鹿野郎、そこは掘るな!」にも出てきたモチーフ)、なんだかツギハギな感じ。

 ただ、ここ1~2年、コメディー一辺倒の路線から、もう一歩先へ進みたいという気持ちは感じる。個人的には、かわいい顔して実はものすごくヒドイ女=和美の設定とか、その周辺のエピソードはとても面白かった。和美の過去が暴露されていく場面は本当に劇的だった。
 
 タイトルの「グンナイ」は、彼らの野球部の後輩でもあり、事故で亡くなった記者の弟が、亡くなる前日に電話をかけてきたので、記者は最後に、いつものように「おやすみ」と言った、それが最後に交わした言葉になった、というところからきているのか。
 今夜眠ればまたあたりまえのように明日が来るということを私たちは全く疑ってはいないわけだけれど、誰もがいつか必ず明日の来ない夜を迎え、おやすみなさいのあとに、永遠に目を覚まさない朝がある。

 ラストシーン、
 八百屋のお七のような和美。
 和美に撃たれ、たぶんそのまま目を覚まさないであろうチャラ。
 麻薬でラリってわけわかんなくなってる船小屋と井出。
 外は火事。火が迫ってきている。
 登場人物のだれにも、明日は来そうにない。そんな絶望的なエンディング。
 最期の瞬間にみんなで一緒にみる幻は、県大会決勝戦の最後の一球、サヨナラ負けの瞬間。

 でも、私はあのラストシーンを、彼らの明日の来ない夜とは思わなかった。やっぱり明日は来ちゃうんじゃないか、と思った。
 こっぱずかしくて、情けない、恥ずかしい、けど変えられない過去。それを受け入れて、おやすみって言う。望まなくても明日はきっと来る。
 私はやっぱりその先が観たいと思う。
 あのまま燃えちゃったらすべて終わりだもんなぁ。
 サヨナラ負けした過去は変えられないけれど、来るかどうかさえ分からない、あてどない未来は変えられる。
 ラストシーンが、過去を受け入れて、新しい未来を創っていこうという決意であってほしいと思う。

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