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「現代能楽集Ⅴ」

「現代能楽集Ⅴ」
 日時:2010年11月20日(土)14:00開演
 会場:シアタートラム

 能は、15年くらい前に一度だけ見たことがあります。近所の神社で行われた薪能だったのですが、まったく意味がわからず、とにかく眠たかったことを覚えています。間に上演された狂言(田んぼの水争いの話だった)だけは、言ってることもわかったし、お話も動きも面白くて楽しかったんですけど。

 というわけで、それ以来能はちょっと…と思っていたのですが、小須田康人さんが久しぶりに舞台に立つ、しかも結構たくさん出番があるというので、見に行くことにした。どうせ三軒茶屋に泊まるしね。

 「現代能楽集」は、能の持つ物語性や様式と現代演劇との融合を目指すもので、世田谷パブリックシアターの芸術監督・野村萬斎が企画・監修し、好評を博しているシリーズ。今回が5回目らしい。今回は脚本:川村毅、演出:倉持裕で、「弱法師」「俊寛」「綾の鼓」の3本を、それぞれ「春独丸」「俊寛さん」「愛の鼓動」というタイトルで上演。

 実際、全く能ではありませんでした。普通の現代劇でした。いったいどの辺が能のお話なのか、全く分からないほどただの現代劇でした。

 劇場に入ると正面に三方を囲まれた白い床。能舞台のようにも見える、シンプルな舞台。いくつかの石が置かれていて、石庭みたいにも見える。(舞台美術:堀尾幸男)
 
「春独丸」
 女:久世星佳
 春独丸:岡本健一

 場末のバーで、オカマから男の子を預かるも、その子の目をつぶし、見捨ててしまう女。やがて成長した男の子:トシノリは、超能力少年としてテレビに出演、歌手デビュー、さらには政治家になる。そんなトシノリをこっそり見つめている女のひとり語り。

 照明がすごくきれい。
 キャスト以外のコロスの動きが面白い。振り付けは小野寺修二さん。

 岡本健一さんがうまい。制服姿の中学生から中年になるまで、盲目の人の動きも交通事故で足を悪くしているという動きもとっても自然でうまかった。おまけに歌うし踊るし。

 久世さんは、いのうえひでのり演出の「リチャード三世」で見たなぁと思ったのだけれど、家に帰ってから、この春の「変身」にもご出演だったとわかったのでした。あの時と全然違うなぁ。共通しているのは、みんなお母さんだったということか。


「俊寛さん」
 俊寛さん:小須田康人
 成経:玉置孝匡
 康頼:粕谷吉洋
 赦使:ベンガル
     麻生絵里子

 横領や不倫という理由で東京を離れた3人が、会社や仕事といった現実を忘れさせてくれる島で繰り広げる会話が愉快。衣装、動き、「~でござる」というせりふなど、狂言的な作り。

 ウミガメのたまごが埋められているあたりを踏み荒らすたびにお客さんから「ああ~」とちいさくため息が漏れるのがおかしかった。

 恩赦を伝えるためにやってきた二人がおかしい。麻生さん、超セクシー

 島に一人残された俊寛さんが、ウミガメにこっそりと打ち明ける短いせりふが秀逸。


 休憩の間に舞台セットが転換される。
 舞台の前面の床がハツられて、プールが登場。
 セットの一部がバーカウンターに。

「春の鼓動」
 男:ベンガル
 女:西田尚美
 
 同僚1:小須田康人
 同僚2:岡本健一

 プールの上に雨が降った。かなりざあざあと。照明もあいまって、美しい。
その向こう側にバーカウンター。

 岡本健一さんが再び登場。
 しかし、あまりにも「春独丸」とのギャップが大きく、最後まで岡本健一じゃないと思ってた。新人という設定だったので、いろいろやたらと若いし。

 西田尚美さんは「鈍獣」に出てたというイメージしかなかった(しかも舞台は見ていない)のだけれど、最近になって、ファブリーズのママだということが分かった。ああ~!

 帰宅して、元の能のお話はどんななんだ?といろいろ調べてみた。ら、能には歌舞伎と共通の演目がいろいろあるとわかった。
 というか、歌舞伎が能の演目をパロったんだよね?あと、人形浄瑠璃にも能の演目と共通するものがいろいろあるみたい・・・ううむ、能を勉強し始めたら、狂言も歌舞伎も人形浄瑠璃も勉強することになっていくではないか。これは奥が深い。一筋縄ではいきそうにないぞ。

 自分用メモ。ここで現代語訳と英訳の謡曲が読める。
 http://www.the-noh.com/jp/index.html
 
 ところで。
 世田谷パブリックシアターでは、『舞台芸術のクリティック』という、演劇やダンスなどの批評を実践していく講座があるらしい。今年で14回目?で、レクチャー編「舞台を読む」と、ゼミナール編「批評を書く」の2つのコースから構成されている。
 レクチャー編では、“舞台作品にアプローチするための視点や方法を、ビデオなどを活用して多角的に検証し、単なる感想や印象にとどまらない「批評」のあり方を探ります”。
また、ゼミナール編では、世田谷パブリックシアターの主催作品の批評を募集。字数は2000字から8000字!しかも、応募された批評は、あるきまった日に、決まった会場で担当講師が一つずつ講評してくれる。さらに、批評を書くだけでなく、その批評を出発点に、同じ場に集った人々と作品について話していくことを目指しているらしい。
 すごい…。これ出てみたい。福岡市でもやってくれないかな。そもそも批評に耐える作品を持ってこなくちゃいけないし、講師もつれてこなくちゃいけないから難しいと思うけど。まどかぴあの「リンクシアター」が近いかな。でもレベルが違う気がする…。
 その他、ポストトーク、舞台説明会、劇場ツアー、そして上演作品レクチャーがあり、たっぷりと作品を楽しめるようになっている。ああ、こんなにも素敵な企画が盛りだくさんの作品を楽しめるなんて、うらやましいぞ世田谷区民!

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