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「SUPERNOVA」

あなピグモ捕獲団「SUPERNOVA」
 日時:2010年6月5日(土)19:30開演
 会場:シアター711

 シアター711は下北沢、スズナリのお隣。もとは映画館だったらしい。
 使い込まれた木の廊下と扉がとても暖かく、固定座席もグレーのふかふかのイス。なかなか雰囲気のある空間です。

 いつもながら装置がかっこいい。珍しく白木で。でも、脚のところはグラデーションに薄く塗られていて、それが闇に溶けるさまが美しかった。ベニヤに映るスライドも見やすくて◎。

 ものすごくいろいろ思うことはあるわけですが、うまく言葉にできそうにありません。ごめんなさい。とりあえず、少し落ち着いて見えたのでほっとしました。

 世界の果てにある海辺。
 ネットカフェ。
 バスの中。
 ドライブインシアター。
 車の中。
 登場人物たちは、ヘッドフォンから聞こえる音に耳を澄まし、時間と空間を瞬時に移動し、入れ替わる。世界は幾層にも重なって、交差する夢と現実。

 出会って、ぶつかって、くっついて、ばらばらになって。
 集まった想いは、自分自身の重さにつぶされて、耐えきれなくなって崩壊する。星の中心部からの凄まじい衝撃波は全体をも吹き飛ばしてしまう。それがスーパーノヴァ。

 観終わってすぐには気付きませんでしたが、なんだかいつもほどふざけてなくて(ヘッドフォンマンだけはかなりふざけていたけど)、ひねくれてもいなくて、素直な印象。もちろんいつものように、十分に分かりにくい作りになっていたのだけれども、ばらばらに提示されるその空間や時間のひとつひとつの場面がただ切なくて、痛々しくて、いとおしい。
 あと、過去のいろんな芝居のモチーフがちりばめられていたようにも思えたのですが、どうでしょう。

 世界の果ての海岸は、いつかたどり着きたい理想の地であり、いつか必ず誰もがたどり着く彼岸。
 行き場を見失って立ちすくみ、ネットカフェで時間をつぶす。わずかなお金を払って、限られた時間だけ自分のものになる椅子。その場所すら誰かに奪われそうな不安。明日はどうなるか分からない。だけど道は続く。人生、後戻りはできない。偶然に出会った誰かとバスに乗り合わせて、どこかへと走る。たぶんそう、世界の果ての海岸へ。

 役者さんたちが安心して芝居をしているように見えました。
 鎌田貴嗣さん、かっこいいなぁ。行き過ぎると芝居を壊しちゃいそうだけど、ギリギリのところで押さえて好演。
 ZAKIさん。「YOUTHFUL DAYS YOUTHFUL DEAD」に出演されていた方ですね。金髪のファンキーな少女になっちゃってて、最初全然わかりませんでした。とても切なくて、いい表情をする方です。

 個人的な話ですが。
 この春職場が変わりまして、今の私の原点といえる場所で働くようになりました。
 仕事を始めてからずっと目指してきた場所でもあり、まさにそこは“たどり着きたかった場所”でした。ここを目指してこれまでがんばってきた、と言えると思います。でも本当のところ、こんな風にたどり着けるとは思っていなかったのです。
 現実を目の前にして、私はまだ、ちょっと混乱しています。
 たどり着きたかった場所には、こんなふうにちゃんとたどり着く。
 だけど、「たどり着いたらいつも雨降り」
 そんな気分の今日この頃です。

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