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2008年1月

「わが闇」

ナイロン100℃「わが闇」
 日時:2008年1月27日(日)13:00開演
 会場:北九州芸術劇場中劇場

 ケラさんはあんまり好きじゃないんです・・・とか言いつつ、3回に1回くらい当たりがあるので、結局観に行ってます。なんだかんだいって笑わせてもらえるしね。岡田義徳くんも出るしね。東京公演の評判がとてもよかったので、楽しみにしてました。

 田舎の大きな家に住むことになった作家:柏木(廣川三憲)とその妻には娘が3人。
 妻:基子(松永玲子)はその家に引っ越してきてまもなく心のバランスを崩し、別居。やがてちょっとしたいさかいが元で自殺してしまう。まもなく柏木は奔放な新しい妻・潤(長田奈麻)を迎える。
 時が過ぎ、潤は柏木の元を去り、柏木は病に倒れ寝たきり状態、3姉妹もおとなになっている。
 長女立子(犬山イヌコ)は、10代にして人気作家。しっかり者。
 次女艶子(峯村リエ)は心優しく、結婚して母となるも、夫(みのすけ)が起こした事故で娘を亡くし、実家に戻っている。
 三女類子(坂井真紀)は家を飛び出し芸能プロダクションに所属。ところが、不倫騒動を起こして13年ぶりに帰郷してくる。
 家には、若いときから柏木を慕って住み込みで働いている三好(三宅弘城)、寝たきりの作家を映画に撮ろうとする滝本(岡田義徳)とその後輩(大倉孝二)、母にそっくりな3姉妹の幼馴染・飛石(松永玲子:2役)、立子を慕う担当編集者・皆藤(長谷川朝晴)などが出入りし、ちょっとした事件があったりなかったりの風景が繰り広げられる。

 犬山イヌコさんが、感情をおさえた長女役を好演。本当は、滝本のことが大好きなのに、その気持ちを表に出せず、皆藤の気持ちにも応えられず、父を想い、姉妹を想う。
 坂井真紀さん、かわいい。
 松永玲子さんは狂気の母親と関西弁が小気味いい敏腕プロデューサーの2役を演じ分ける。幅が広いなぁ。かっこいい。

 たくさんの登場人物のそれぞれの人生は、幸福なのか不幸なのかわからない。
 芝居は終わる。けれども人生は続く。目が見えなくなるかもしれないし、病で寝たきりになるかもしれない。心配せずとも人生はいつか終わる。間違いなく終わる。その日まで、ただ見つめ続け、ただ書き続け、ただ演り続ける。
 それはたぶん幸福とか不幸とかじゃなくて、ただそこに、その人の人生がある。それだけなんだと想う。それ以上でもそれ以下でもない。
 これまでいくつもケラ作品を見てきたけれど、最近になってようやくその根底にある思想みたいなものを理解できるようになってきた。ぷつりと終わってしまう芝居だけれど、それはたぶんどこか日常の一部分を切り取って見せただけだから。

 いつもながら映像使いがめちゃめちゃかっこよい。
 特に、キャスト紹介のシーンが好き。
 セットや小道具使いも秀逸。暗転のたびにちょっとしたところがちゃんと変わっている。きっかけが多くて、ものすごく大変な芝居だろうと思う。これもケラさんの言う「劇団はいい」理由なんだろうな。終盤、がたがたと音を立てて、セットの床が傾く。何の意味があったのか不明。たぶん何の意味もないのだろう。ケラさんらしいや。

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「ライオンキング」

劇団四季「ライオンキング」
 日時:2008年1月25日(金)13:30開演
 会場:福岡シティ劇場

 5年ぶり?の福岡公演。今回は2階席から。

 ムファサ=芝清道
 スカー=村俊英
 ティモン=藤川和彦
 プンバァ=川原洋一郎
 シンバ=田中彰孝
 ナラ=熊本亜記

 おお!芝さんと村さんが出るんだ~!
 芝さんは福岡出身のせいか、福岡シティー劇場の公演にはよく出演される。私は過去「ジーザスクライスト・スーパースター」や、「キャッツ」、「エビータ」で観たことがあるのだが、とにかくすごい声量で、エネルギッシュな熱い役が良く似合う。でも、芝さんにムファサはちょっと物足りない感じ。歌も少ないしね・・・。
 村さんといえば「オペラ座の怪人」のファントムのイメージがあるのですが、ちょっとぐーたらで、優男のおちゃめな叔父さんスカーがよく似合う。ティモンとプンバァは、前回も九州の方言で爆笑させてもらいましたが、やっぱり今回も、他のどの場面よりもおもしろかった。
 シンバ役の田中彰孝さんも福岡県出身。高校時代に「オペラ座の怪人」を観て感動し、四季への道を志したという。歌も上手で、若々しく、かっこいい、熊本亜記さんのナラも、若々しく、かつ堂々としていた。若手2人は、これからすごく伸びていきそうな感じ。

 しかし、この舞台の醍醐味はなんといっても演出。しかもそれが、仕掛けのすごさだけでなく、役者たちの肉体があってのものだということが素晴らしい。役者さんたちの多くは顔も見せずに本当に大変なことをしていると思う。
 
 仕事がらみの観劇で、子ども?をいっぱい連れて行きましたが、子ども、大喜びで大感激。これだけ多くの人の心を動かす舞台があるということだけで、本当に勇気付けられます。演劇界の未来は明るいぞ~!と思った日でした。

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「イザナギとイザナミ」

劇団千年王國 音楽劇「イザナギとイザナミ」
 日時:2008年1月13日(日)14:00開演
 会場:ぽんプラザホール

 FPAPのLinkプロジェクトの一環、北海道の劇団による福岡公演。
 古事記の「イザナギとイザナミ」の物語。なんだけど、ちゃんと現代のおとことおんなの物語だった。
 シンプルで、演劇の原点である祝祭性とかも感じられ、おんなの情念みたいなものがめいっぱい表現されているのに、決してどろどろせずにとても美しく、とてもよい舞台だった。音響とか衣装、照明等のスタッフワークも素晴らしかったです。

 作・演出の橋口さんのご挨拶のあと、どん、という太鼓の音から芝居が始まる。
 真っ暗闇の中で声がする。
 やがて点る、ちいさなあかり。

 イザナギとイザナミの物語をどんなふうに見せてくれるのだろう、と思ったら、それはとてもシンプルな、現代に通じるおとことおんなの物語だった。
 ふたりでひとつだったものが、やがてふたつのふたりとなる。
 ふたつのふたりはひとつの楽器を演奏し、おんな神・イザナミはつぶやく。
 「ああ、たのしい」
 ふたつのふたりは、ひとつになり、イザナミは八百万の神々をうむ。
 けれども“ふたつのふたり”は、結局のところふたつの“ひとつのひとり”。やがてすれちがい。からだはひとつになれても、こころはひとつになれない。
 こんなにもまっすぐに愛しているのに、愛しすぎる気持ちが、やがて醜い嫉妬や不安という感情をうみ、自らが産んだその醜い感情の炎で身を焦がしておんな神は死んでいく。

 「ねえ、あなたはほんとうにいたの? さいしょから、ひとりだったきがする」
 そんなせりふが心に残る。

 音楽、歌、からだの動き、光と影、どれもシンプルだけれど、そこから紡ぎだされるものはとても豊かで美しい。女のどろどろした情念が存分に溢れるものがたりでありながら、目の前に現れる表現はとても美しかった。さらにそこには演劇の原点である祝祭性のようなものも感じられ、シンプルな、基本の基本をきちんと積み重ねた舞台だった。

 ひとりでイザナギとイザナミとその他を演じる榮田佳子さん。めちゃめちゃきれい。表情豊かでとても魅力的。指や足のつま先までぴんと意識が行き渡り、からだの動きもとても美しい。これぞ女優。
 傍らでいろんな楽器を演奏する福井岳郎さん。ただそこにいてせりふは一つもないけれど、たしかに「あなた=イザナミ」。どれがなんという楽器なのかはよくわからなかったけれども、どれも神秘的な音色を奏でる。ぽんプラザの残響がいい感じに楽器の音を響かせる。

 装置・小道具も、半紙の切り絵細工や、墨でかかれた文字など、簡単なものばかりでありながらこころくばりが行き届いていた。衣装もとてもかわいい。しかも途中でほどけてどんどん変わっていく。背中の開き具合もすごくセクシーで、見ていて本当にどきどきした。
 照明も、あかりをあてるだけでなく、そこから生まれる影やシルエットまでもが舞台や役者を引き立てていたと思います。

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「泥花」

劇団桟敷童子「泥花」
 日時:2008年1月12日(土)19:00開演
 会場:西鉄ホール

 2年前、東京へ観に行ったあなピグモ捕獲団の公演の客席で、西鉄ホールの中村プロデューサーにお会いしました。中村P曰く、「劇団桟敷童子っていうところの芝居がすごくおもしろくてね、どうしても西鉄ホールに呼びたいの。明日もやってるから観に行って!」
 ん?劇団桟敷童子って聞いたことあるぞ・・・。そうだ、その日の朝、つけっぱなしのテレビでやっていた「とくダネ!」で、笠井アナウンサーが「昨日桟敷童子の芝居を見にいったんですが、すごくおもしろかったんです」と言っていたんだった!
 残念ながら私はその翌日、友人と三鷹の森に行って、その後昼間っから渋谷のビヤホールで飲み、夜は阿佐ヶ谷スパイダースの芝居を観るという充実したスケジュールが待ち受けていたため、桟敷童子を観に行くことが出来ませんでした。中村Pの尽力で(たぶん)、福岡に来てくれて、やっとあのときの芝居を観ることが出来ました。

 エレベータを降りると、ロビーにはたくさんの役者さんたちがいて、元気よくご案内をしてくださった。劇団桟敷童子の幟。ああ、ここからもう芝居は始まっている。アングラテント芝居の雰囲気だ。
 会場内に入ると、昭和30年代な看板が立ち、たくさんのひまわりが咲き乱れている。
 
 主人公は炭鉱に暮らす3人の姉弟。
 母親は病死。炭鉱で落盤事故が起こり、炭鉱主の父親は失踪。
 3人は親戚を頼って、別の炭鉱町へ逃げるように。
 夏が終わったら、3人は別々に暮らさなければならない。
 そんな、最後の夏の物語。

 長女・千鶴役の板垣桃子さんがかわいらしく、しんの強い女性を好演。やがて炭鉱を出て都会を目指す次女には、東さんをはじめ田舎を出て行きたいと願うたくさんの人が重なる。
 願いをかなえてくれるという泥花を見ようと、生死のはざまへ足を踏み入れようとするハジメちゃんとビンちゃん。そうするうちに最も弱い立場に置かれているものがあっさり死んでしまう展開にはちょっと引いてしまいました。まあ、いつだってそうやって命を落としていくのは最も弱い立場の人間であり、だからこそ闘おう、ということなのかもしれませんが・・・。
 あの頃の炭鉱町をほんの少し感じることが出来ました。三池争議のことも、そういえば、かつて腹巻の下に新聞紙をたっぷり巻きつけドスを持って活動に参加したという人の話などを耳にしたことがあったなぁ。政治的なイデオロギーとか、そういうことはおいといて、どんなかたちであれ、自分の信じるもののために、闘い続けましょうというメッセージは、今の時代が忘れかけているものかもしれません。

 なんといっても装置がすごい。スペクタクル。 これが観られるだけでもまあいいやという気分になれる。でも、劇場でない小屋だともっと迫力があるらしいですよ。

 それから、いろんな記事で“福岡弁”の芝居だと書かれていますが、あれは福岡弁じゃないでしょう。役者によっては関西弁にしか聞こえない人も・・・。

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