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「東京ハニロボ」

あなピグモ捕獲団「東京ハニロボ」
 日時:2007年12月13日(木)20:00開演
 会場:ぽんプラザホール

 2003年12月、西鉄ホールでの公演を最後に、福岡から東京へと拠点を移した“あなピグモ捕獲団”が、4年ぶりに福岡凱旋。ぽんプラザホールに帰ってきた!
 福岡から東京に行った役者と、東京で出会った役者と、かつて福岡であなぴと共に時をを過ごした役者たち総勢19名and more…で贈る、劇団創立10周年記念公演。

 1997年から10年。
 彼らには彼らなりの、そして私にとっても私なりの10年があって、
 あの頃たどりつきたいと思っていた”ここではないどこか”は、
 結局のところ確かな”ここ”なのだと思う。
 2007年。
 いったんピリオドを打って、あたらしいあしたへの一歩を踏み出したいと、
 こころから思いました。 

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 ホントは誰よりわかってもらいたいくせに、あんたなんかにそう簡単にわかられてたまるかいとひねくれて、捻じ曲げ、裏返し、誤魔化して煙に巻き、あげく捻じ切れてばらばらに組み合わされた、そんな素直じゃない表現。誰かの目にさらされたときに、誤解されたり、理解されなかったりするのは、たぶん当然のこと。
 私もよく他人から「謎なひと」とか「何考えてるかわからん」とか言われます。本人は全く気が付いていませんが、たぶんおんなじような事をしていて、だからあなピグモ捕獲団の表現に、こんなにも共感してしまうのかもしれません。
 それでも、こころからの、本気のおもいは、何かの形で表現をし続ける限り、届いて欲しい人に絶対に届く。
 そんなことを夢想して、今日も僕らはここではないどこかへとあてどない旅を続けるのです。

 ものがたり。
 1997年。芝居の稽古場。
 ぽつりぽつりと役者が集まり、稽古が始まる。
 夢野役のあいつはいつまでたっても現れない。
 作・演出のフクナガも、姿を見せない。“2007年から”脚本を送りつけてくるだけ。

 演じられる芝居は『東京ハニロボ』
 東京タワーを目指して東京駅に降り立った夢野(石井亜矢)。鞄を盗まれ、そのまま東京駅のキオスクで、朝比奈(遠藤咲子)と秦(若林史子)と働き始める。ついでに自作の小説“東京タワー”をキオスクに置く。男・国木田(為平康規)がそれを買う。小説の内容は、「東京タワーを目指しているのに、いつまで経ってもたどり着かない女の話」。とはいえそれは、荒唐無稽で意味不明なモノガタリ。いつしか夢野は小説の中の世界へ。
 
 空港の手荷物検査場、いろんな人と出会う。
 手荷物検査場の姉妹(生見詩織・深見七菜子)、正気の国のアリス(神崎ゆり)、鞄を運ぶ男(久米靖馬)、作家を探す女(ますだようこ)。
 東京にたどり着くまでには、いくつものゲートをくぐらなきゃいけない。
 鞄の中身を暴かれ、金属探知機をくぐるのに、靴を脱がされ。
 ・・・旗揚げ、賞を取り、仲間とはぐれ、東京。次は東京。
 それは、1997年から2007年への道のり。

 1997年の稽古場では、福岡の役者たちが芝居『東京ハニロボ』の稽古をする。
 稽古場の世界と東京ハニロボの世界は、時に重なり合い、一つの役を二人の役者が演じることになり、しかも舞台上に二人同時に立っていたりもする。1997年の稽古場は、『東京ハニロボ』の世界と重なりもする。

 「ハニってる?」「ロボってる?」意味不明。
 意味なんてない。だから馬鹿になんてできっこない。
 意味がなくっちゃだめですか?
 わからないですか。
 でも、意味なんてない。意味をつけるのは、あなた自身じゃないですか?

 アリスは言う「ピクニックに出かけよう」
 男と、女と、桶川と。
 ピクニックの最中、誰かとはぐれてもきっと大丈夫。

 ラストシーン。
 取り戻した鞄で、本を買ってくれた、鞄を見つけてくれた親切な男をぶん殴り、ピクニックに出かける。ここは、東京。
 ホンと鞄があれば大丈夫。はぐれても、ピクニックを続けている限り、いつかまたどこかで出会えるはず。
 だから。東京。

 お元気で。また、お会いしましょう。

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