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2007年7月

「イチゴ畑で靴紐を結ぶ」

あなピグモ捕獲団「イチゴ畑で靴紐を結ぶ」
 日時:2007年7月29日(日)14:00開演
 会場:中野スタジオあくとれ

 白い空間。
 床にカラフルなハニカム模様。
 衣装もいつもながらかわいくて素敵。
 オープニング。ナイロンみたいな映写使いがかっこいい。

 石井亜矢さんが終盤きっちり引き締める。
 ああ、くやしいけどこんな石井さんが見たかった。

 あなピグモ捕獲団に対しては、個人的な思い入れが強すぎてしまって、もうなんだかちゃんと客観的に芝居を観ることも出来なくなってしまっているみたいなのだけれど、今回の芝居に私はものすごくマイナスなオーラを受け取ってしまった。本当ならあのラストシーンに、もっと高く、もっと遠くへ、進んでいこうという前向きな姿勢を感じるものなのに。
 思えばそれは、初めて見たときからずっとずっと同じである気がする。
 不安や弱さや孤独を抱えながら、もっとこっちを見てほしいとか、もっと甘えさせてよとか、もっと愛してほしいとか、そんな匂いをぷんぷんさせて、そのくせちゃんと手の内を見せてはくれないから、誤解されることばかり。癒しとか、安心とかを嫌って、ぬるい日常からここではないどこかへと行きたがる。振り上げた拳は空回り、差し延べられた手を振りほどき、優しい言葉にも背を向けて、開かない扉の向こうを目指す。イチゴ畑を踏み荒らし、靴をはき、きつく紐を締めて走り出す。振りほどいた手も、犠牲にした何かも、やがて忘れてみせようと、これまた意固地な決意をして。
 そんなひねくれたメッセージを送りつけてくる芝居に、どういうわけか私は強烈に惹かれてしまっている。不安や孤独を抱えている人を見ていると、なにかできないかと甚だ余計なお節介を思う。励ます、批判する、諭す。そんなやり方じゃどうやったって歯が立たない。むしろますますの反撃を食らう。ただそばにいることもかなえられず、結局のところ、ここで見守るしかないのかと思う。自分の無力さを知り、それでもしつこくあきらめきれず、私は劇場に通い続けているのだと思う。

 他の方のレビューはさすが。
 キティさん研究所にゅーす 
 休むに似たり。

 次回公演は11月下旬「東京ハニロボ」。
 そして12月には芝居屋コロシアムで福岡凱旋、ぽんプラザに登場!

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「THE BEE(ロンドン版)」

NODA・MAP番外公演「THE BEE(ロンドン版)」
 日時:2007年7月28日(土)16:00開演
 会場:シアタートラム

 昨年イギリスで初演され、大絶賛されたという本作。
 イギリス人俳優と野田秀樹によって英語で演じられ、舞台両脇に日本語字幕がつく。しかし、字幕に目が行ってしまうと、舞台から集中が途切れてかなりつらかった。日本版は観ていないし、ネタバレが嫌でまったく情報を仕入れていなかったのだけれど、脚本を読んでから行けばよかったかも。もともと英語版が先にあったとのことなので、英語版の脚本も読んでみたい。
 特に、劇中に蜂が登場する場面では、何がなにやらさっぱりわからず。蜂がいるということも、蜂に恐怖していたということすらも、戯曲を読んでやっとわかった。そもそも、タイトルが「蜂」だということすら意識の外だった・・・。家に帰って辞書を引いたら、「勤勉な人」という意味があるんだね。あちこちで拾った劇評に”他者を攻撃することが自己破滅につながる”“自爆テロを連想させる”というのがあって、なるほどと思う。
 私は終盤、郵便物のやり取りをする場面にようやく報復合戦の構図を見ました。

 でも、よくわからなかったなりに、すごく濃密な舞台だという印象を持った。
 警察やマスコミの問題、家庭における男女の役割、日常に潜む暴力、暴力の連鎖・・・。
 ちょっとした小道具にも、たくさんのイメージが込められていたように思う。オルゴールの“白鳥の湖”や息子への誕生日プレゼント、まな板のとんとんという音が象徴する日常の幸福。

 冒頭のキャサリン・ハンターには、あれ?男?女?と戸惑ってしまった。
 オゴロの妻役である野田さんがきれい・・・。
 イドとオゴロの妻の男女入れ替えキャストは、印象を抽象的にしていて、あまり生々しい感じがなく、良かったと思う。
 イギリス人俳優たち、特にキャサリン・ハンターとグリン・ブチャードの身体表現の美しさに感動。イギリス人って、そういう身体表現が苦手というイメージがあったので、なおさら驚いた。

 あーやっぱり日本語版も観たかった・・・。
 しかし、あれから1週間経ってなお、頭の中では「剣の舞」が、がんがん流れてます。

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「若者の生態」

劇団Hole Brothers「若者の生態」
 日時:2007年7月10日(火)20:00開演
 会場:ぽんプラザホール
 
 11月にぽんプラザホールで行われるロングランシアターへの参加が決定している劇団Hole Brothers。ロングランシアターの前に平日のみ5日間の公演にチャレンジ。行ってびっくり!平日だというのに満席。すごいなぁ。

 “どこにでもいる若者”ではないのでは、という感想も多く見かけたけれど、天神の街を歩いている若者たちに順番にスポットを当て、「若者の生態」を丁寧に描写していたと思います。
 まあ、ひとりぐらい公務員とか会社員とかいう働き方をしている人を選んでも良かったのかも。おもしろくはないかもしれませんが、そういう人だって、社会的・経済的には安定してい(るように見え)ても同じ悩みを抱えていると思うから。いや、何も若者に限ったことではなくて、30代でも40代でも、似たような閉塞感を抱えているのではないかと思います。だからこそ、「若者の生態」の中に普遍性が見えておもしろかった。

 ひとつひとつのネタについて言えば、そりゃあもう若者専門家の私としては一晩中語っても語り尽くせないほどに、言いたいことは山のようにあるのですが、それは芝居とはあまり関係ないのでやめておきます。

 基本的にあまり笑いがない劇団というイメージがありましたが、今回は劇団の女優・わだちよさんと萩原あやさんの掛け合いに笑った笑った。筑紫野市あたりの何とかが丘の一戸建てで、三食昼寝とお稽古事つきの主婦生活!ああ、憧れます。現実はシングルマザーか独身貴族か、まあどっちにしろ理想までは遥か遠~~い~~。

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「越境する蝸牛」

劇団太陽族「越境する蝸牛」
 日時:2007年7月7日(土)19:00開演
 会場:西鉄ホール

 20年後の日本。とある韓国料理店を舞台に、起こる出来事。
 最初は格差社会の話になる予定だったとか。だからこそのコリアンレストランだったり、高校3年生の妊娠だったり、ひきこもりだったりしたのだろうな。
 昨今の政治の流れに緊急動議を申し立てるかのような芝居。そのせいか、残念ながらものがたりとしては、ばらけてしまった感じが否めなかった。

 だから、この芝居がどれだけ伝わったのかを考えると、ちょっと絶望的な気はする。
 ああ、だからカタツムリなのか。その大変さが伝わるのは、ゆっくりゆっくり。カタツムリの家が火事になっても、“早く”水をかけたくても、その歩みはゆっくりゆっくり。

 このものがたりの中の日本を、多くの人がソウゾウすることができていないのではないかと思います。でも、「ありえない」のひとことで片付けられない、そんな気がします。だから今すぐどうしろ、というわけでもないのですが、せめて危機感は持っていなければ、と思うのです。
 子どもを戦争に差し出す親についても「本当にあんな親いるの?」という声も聞かれましたが、自分のわがままを通すために子どもを殺す親がこれだけいる今の世の中、私は大ありだと思います。現実に今だって、食い物にしている親はいます。
 劇中の「誘拐」がお遊びで終わるのは、なんだかほっとできて好きでした。深刻な問題に対してこそ、あんなふうに笑い飛ばせるのが素敵だと思います。本気だとシャレにならない。ラストシーンの、アボジみたいに。

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「ミクシィ」

不健康ランドセルフプロデュース やかべさとし一人芝居
「ミクシィ」
 日時:2007年7月6日(金)20:00開演
 会場:ぽんプラザホール

 「本当はひとりじゃない」「嘘つき探偵真実子」に続く、矢ヶ部哲さんの一人芝居シリーズ。
 自作自演だった前2作から、今回は脚本に非・売れ線系ビーナスの田坂哲郎氏を迎えての完結編。

 まあともかく、矢ヶ部哲くんをたっぷり堪能する1時間。
 相変わらずいい声だなぁ~、かっこいいな~、細いし!絵もうまいな~・・・。とか思っているうちに終わりました。役の演じ分けとか、相変わらず全然出来てませんでしたが、許す。

 一人芝居って、同じ空間に複数を配して、それをひとりが演じ分ける必要はないと思うのですが、矢ヶ部くんはそういうのがやりたいのかなぁ。うまくはまればおもしろいけど、うまくはまらなかったら子どものひとりでごっこ遊びみたいになってしまう。もっとも、子どものひとりごっこ遊びみたいなところは彼の魅力の一つでもあるのですが。

 次回出演は劇団ぎゃ「無題」だそうです。
 また違った矢ヶ部くんが見られるといいなぁ。

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