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「コリオレイナス」

彩の国さいたま芸術劇場シェイクスピアシリーズ「コリオレイナス」
 日時:2007年2月26日(月)18:30開演
 会場:メルパルクホール福岡

 幕が上がる。と、そこにはなんと観客席がきれいに映し出されていた。
 蜷川さん得意技の一つ:鏡の演出は、いつも観客達を舞台に巻き込む仕掛け。客席から民衆達が舞台に上がり、客席に一礼したところで芝居は始まった。舞台に明かりが入ると,鏡の向こう側にはローマの街・・・。

 舞台上に組まれた階段は結構な高さで、一番上には四天王像。四天王はインドにおける方位の守護神だという。そのむこうは襖のように開く仕掛け。このセットがまたすばらしい。ローマの街なのに、和のテイスト。衣装も袴あり、脇差しありで和風だけれど、羽織る上着はローマ風。こりゃあイギリスで受けるだろうなぁ。

 冒頭は早いせりふがほとんど聴き取れなくて(そうでなくともメルパルクは声が届きにくい)、作品に関する知識も全くなかったので、話も全くわからなかった。中盤から何となく見えてきて、第二幕くらいになると最後の展開までをある程度予想して見ることができた。そういう意味では、うまいなぁとかすごいなぁという戯曲ではない。なんというか、どいつもこいつも馬鹿だよねぇ。
 なかでも蜷川さんは民衆がこの芝居の鍵だと思ったのだろう。
 一番面白かったのは、慣習に従ってコリオレイナスが民衆に投票を乞う場面。そのあと護民官たちにあおられてあっさり意見を翻すじゃないですか。だまされてるなぁ、民衆。もっと自分の頭で考えないとなぁ。だめだよ、社会の気分に流されちゃ。

 役者さん。
 唐沢さんは相変わらず顔がちっちゃくてかっこいい。わがまま傲慢な貴族は、ご本人の日頃の毒舌ぶりからもぴったりだったと思いますが、その毒舌とは裏腹に、意外と細やかな感性の持ち主だと勝手に思っているのですが、どうでしょう。すごくせりふも多くて、声も嗄れていて大変そうでしたが、最後まできっちりやりとげるあたりはさすがです。
 白石加世子さんはじつはあまり好きではないのです。すごい役者さんだとは思うのですが,あくが強すぎてどうも苦手。
 勝村さんはそつなくこなしている。吉田鋼太郎さんはさすがです。そのあたりも含めて、カンパニーのレベルの高さを感じました。

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