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2006年2月

「労働者M」

「労働者M」
 日時:2006年2月19日(日) 14:00開演
 会場:シアターコクーン

 すみません、じぇんじぇんわかりませんでした。
 こういうのを“不条理演劇”っていうんですか?(終演後に近くの席の人がそう言ってた)たぶんそういう芝居だったと思うので、わかろうとも思いませんが。
 最近の“わかりやすい”方向、あるいは既存の芝居そのものへのアンチテーゼなのでしょうか?

 冒頭、せりふの映し出されるスクリーンの前で、堤真一と小泉今日子、のお面をかぶった男女が前説。
 いろいろと芝居に対する言い訳?とか構成のネタばらしなど。なぜか蜷川さんの名前が出てきたり。
 続くオープニングはいつもながらものすごくかっこいい!映像は劇中でもかなりおもしろく使われていた。暗転につながる“砂の嵐”や“墨塗り”とか、巻き戻し/早送りとか。
 戦争・労働・セックス・暴力・階層・逆転・詐欺・自殺・鬱病・マルチ商法・・・
 とにかくありとあらゆるモチーフをぶち込み、ありとあらゆる演出手法を駆使し、3つの場面を回転する豪華舞台上でばらばらとシーンがつながれていく。ストーリーがありそうでなさそうで。二つの世界はつながっていそうでいなさそうで。休憩をはさんで2幕になっても、舞台上ではただだらだらと流れる芝居。そうそう、夜中のテレビみたいに。そんなどうでもいい流れの中で時には笑わされたり、ひやひやしたり。

 これでお客さんを集められるのはやっぱり堤真一パワー?(えー、私もそのクチです)
 個人的には松尾スズキも目当て。秋山菜津子さんもいつもながらかっこいいし、二つの世界に登場する犬山犬子さんもおもしろい。
 キョンキョンはまあ・・・キョンキョンでした。(キョンキョンの思い出も語りたいんだけど、時間がないのでパス)彼女は戦略の人だよなあ。それこそまさにこの芝居を象徴している気がする。

 ケラさんの芝居はどっちかというとあんまり好きなタイプじゃないんですが、次の「カラフルメリィでオハヨ」も見に行っちゃうと思う。まあ再演だし、ナイロンの芝居のほうがここまで前衛的じゃないだろうから。

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阿佐ヶ谷スパイダース「桜飛沫」

阿佐ヶ谷スパイダース「桜飛沫」
 日時:2006年2月18日(土) 19:00開演
 会場:世田谷パブリックシアター

 いや〜おもしろかった!
 第1部「蟒蛇如(うわばみのごとく)」、第2部「桜飛沫(さくらしぶき)」の2部構成、というよりも2本立て上演という感じ。2部のラストにほんの一瞬、二つの物語が交差する。

 オープニングの映像が、往年の時代劇映画のようでなかなかかっこいい。
 今回の舞台、絵もストーリーもかなり映画的だったと思う。もともと長塚さんは映画がお好きだということですし。

 橋本じゅんさんがめちゃめちゃかっこいい!
 橋本じゅんさんて、轟天シリーズが真髄だと思うのだけれど、素顔はすごくまじめで熱くて釣りをこよなく愛する優しいひとらしい。今回はそんな素のじゅんさんを思わせる医者だった。それでいて、びしっと殺気のオーラが出るの。ほんとに素敵でした。タネじゃなくても惚れます。
 2幕に登場・山本亨さんもぼろぼろになった乞食ジジイなのに、ちゃんと殺気立つんだよね。ああ、確かに強い(強かった)、と思わせる力が十分にあった。オープニングで2人の侍をだましてお金を巻き上げるシーンとか、うまいんだよなあ。ああいう会話の流れで立場がころっと逆転していくあたり、長塚さんの本もうまいと思う。ハチャメチャな設定のなかで、ちゃんと人間ドラマが進行していく。しかもそのドラマが、ちゃんとせりふで流れていく。それでいてちっとも古臭くなく、むしろ時代劇であってもそのドラマは現代的だ。

 タネ役の水野美紀さんは「うざい女」。ちょっぴり身につまされる。
 やっぱり声が好き・伊達暁さん。いい感じにいっちゃってる中山祐一朗さん。長塚さんは役者としてもいいよねー。
 ほかにも、吉本菜穂子さん、猫背椿さん、峯村リエさんなど実力のある役者がずらり、この物語を支える。あ、真木よう子さんもかっこかわいかったです。
 山内圭哉さんは、ううーん、なんか惜しい感じ。もちろんうまいんですけどね。

 そんなわけで全体としてはもう大満足だったのだけれど。
 第一部の蛇の扱いは、日本古来の蛇信仰について知識がないとちょっとつらいかも。私自身大学の一般教養日本史の時間にちょこっと聞いた覚えがあるだけで、それほど詳しいわけではない。一幕ラストの巨大蛇は、1幕の種明かしだったのか(あの村にじゃんじゃん子どもが生まれるのは蛇の仕業だったとか?)あるいは2幕に続くのか、と思わせたが、結局どうつながっていたのかはよくわからなかった。
 2幕では、蛇に対して“桜”が人を狂わせる象徴だったのかな?
 まあ、そんなことどうでもいいです。おもしろかったから。

 1階席から見た方々は、とても見づらかったという感想が多いようだけれど、私は2階の最前列センター近くで観劇したため、とっても見やすかった。北海道にお住まいの方から譲っていただいたチケットだった。手に入っただけでもラッキー。どうもありがとうございました。

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「三鷹の森ジブリ美術館」

三鷹の森ジブリ美術館
 日時:2006年2月18日(土) 10:00入場

 大学時代の友人と吉祥寺駅で待ち合わせ。
 井の頭公園をとことこ歩いて20分足らず、西の端っこに美術館はある。

 美術館、というよりおしゃれな洋館。
 外観はスペインかエーゲ海あたり?を思わせるコンクリ造り。中はカントリー風で、インテリアも凝っている。

jibri

 展示物はといえば、1階に映画やアニメーションの仕組みを紹介する展示と、ミニシアター(←オリジナルのジブリショートムービーが見られる) 2階はアニメ製作の過程を展示室ごとに紹介。といっても、それほど詳しい説明があるわけでもない。あとは絵コンテとか、いろんなイラストがたくさん。3階はショップ・図書館・猫バス。屋上は庭になっていて、「守り神」がいる。

 あんまり美術館ぽくなかったです。
 ジブリ映画が大好きな人は楽しいかもしれませんが、私はそうでもないので、展示物よりもむしろ建物やインテリアのほうに興味津々でした。映画の中にいるみたいな気分になれます。

 入場するために並ぶんですが、列整理のお兄さんは私のチケットを見て
 「これ、なにけんですか?」
 ???
 「入場券です!」
 「そうじゃなくて、どこの県?」
 ああ、チケットには”ローソン上川端”の文字。
 福岡県です。
 お兄さんも九州出身だということでした。

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あなピグモ捕獲団「ウガルバランス」

あなピグモ捕獲団「ウガルバランス」
 日時:2006年2月17日(金)19:00開演
 会場:阿佐ヶ谷アルシェ

 ちょっぴり懐かしい感じのする、いつものわけわかんない世界(←褒め言葉!)が展開。
 前半はちょっと???な感じだったけれど、後半は面白かった。

 衣装がとにかく素敵。
 黒なんだけど、ヨージ・ヤマモトかコム・デ・ギャルソンみたいな感じで、どれもこれもが着てみたい衣装だった。スカートみたいなボトムスも手が込んでいた。

 役者さん。
 今回は為平さんがセンターを取る。
 役者って、『演じる』技術というのもたぶんあって、でも、それだけではどうにもならない人柄とか、その人が生きてきたなかで身につけてきたものが出てくると思うのね。為平さんは技術的にうまい役者じゃないけれど、彼のまじめさとかやさしさとかひたむきさがよく出ていた。それは彼のひとつの魅力なわけで、これから技術を身につけて、どう化けてくれるのかが楽しみだと思った。
 遠藤咲子さん。私は彼女の気風のいいアネゴっぷりが大好きである。今回はひつじさん。かわいらしい面を見せてくれた。
 増田陽子さんが久々の登場。私は彼女のぼけっぷりも大好きである。あれは天然なのかなぁ。天然なんだろうなぁ。
 石井亜矢さんは怒ると怖い人らしい。ならば彼女のそういう感情の爆発とかパワフルな面も舞台上で見てみたい。
 ゲストの役者陣もそれぞれ楽しい。さらさら前髪をかき上げるしぐさがかっこいい田部くん。陽気な折尾くん。ぬーっとした長野くん。

ここの感想が秀逸。あああ、そうかあ・・・。
 私はどっちかというと不安とか弱さを感じてしまったのだけれど。んでもって、そのネガティブな部分が、私があなぴに強力に惹かれる理由だと思っているのだけど。
 ちきしょー、もいっかい見たくなっちゃったよ。
 次に会える日まで生き延びなくては。

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劇団轍WaDaChi公演「福博桜館」

ぽんプラザホールロングランシアター
劇団轍WaDaChi公演「福博桜館」
 日時:2006年2月12日(日)18:00開演
 会場:ぽんプラザホール

 楽日も観劇。
 10日間の公演でこの芝居は日々成長していったと思うし、この企画がこういった形で終わったことがなによりとても嬉しい。
 福岡で、地元劇団が、10日間の公演。
 その意義はとても大きかったと思う。これからもこういった企画がどんどん出てきて、福岡の演劇を育てていけたらいいなと思う。

 ところで。
 芝居やアフタートークを見て、日下部さんて真面目な人なんだなーと思った。
 でも、人の引き出しを開けるのがあまり上手じゃないなーという印象を受けた。
 もちろん"引き出しをあける"ことだけが演出家の仕事ではないけれど。
 たとえば野田秀樹という人はそこらへんが天才的な演出家だと思う。彼の演出した芝居において、特に女優たちは今まで見せたことのないすがたを見せる。斉藤由貴も深津絵里も天海祐希も宮沢りえもみんなそうだった。ああいう引き出しのあけられ方をしちゃったら、もうたまんないだろうなーと思うよ。
 まあ、野田秀樹は特別だとしても、演出家さんは人の引き出しをあける手法をたくさん持っていたほうがいいと思うし、役者さんには演出家が開けたくなる引き出しをいっぱい持っていて欲しい。そこからまた、おもしろい芝居が生まれるんじゃないかな。
 でもこれは別に演劇に限ったことではなく、私自身が人の引き出しをあけられる人になりたいし、引き出しをいっぱい持った人間でありたいと思っています。

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「先生のための演劇ワークショップ」

PETA「先生のための演劇ワークショップ」
 日時:2006年2月12日(日)10:00~17:00
 会場:福岡市民会館練習室C

“先生のための”と銘打ってはいたけれど、本当の先生は半分くらいか? それも幼稚園から高校までいろいろ。あとは地元の芝居で見かける役者さん数名。中には演劇ワークショップのファシリテーターとして活躍している方もいるそうだ。その他も数名。もっとも、自己紹介のようなものもまったくなかったので、実際のところは不明。でも、名前も知らない(お互いに呼び合う名前は自己申告のニックネームのみ)人たちとみんなで、和気藹々と楽しい雰囲気の中、いろんなグループワークをやった一日だった。

 10年ほど前、仕事もそこそこに劇場へ通う私に、「あなたの趣味とあなたの仕事がどうつながっているのかまったくわからない」と言った人がいる。そのとき私は、趣味と仕事がつながっている必要なんてまったくないし、むしろまったく別でいいんじゃないかと思った。
 ただ、先日もある人から言われたが、私の仕事は24時間その「役割」を背負わされている商売らしい。すんません、自覚なくて。まあ、どんな仕事をしていても、たぶんみんな24時間その役割を背負っているだろうし、仕事をしていなくても「母親」とか「高校生」とか、何らかの役割を背負わされているから、せめて適当な別の名前を持ってネット上に存在したいと願ったりするわけで。

 私は、演劇好きゆえに過去いくつかの演劇ワークショップに参加したこともあるし、なにしろ鴻上尚史の信奉者なので、鴻上さんの書籍は演劇論関係を含めてすべて読み漁っている。そのほかにもキャラメルボックスの成井さんや野田秀樹のワークショップの様子なども見聞きしてきた。
 それと同時に、もともとコミュニケーションとかカウンセリングに興味があり、そっち方面の研修会にもいくつか参加したことがある。

 今回のワークショップでは、これまで演劇訓練本で読んだり、演劇・カウンセリング両方のワークショップや研修会で体験したことのある手法がたくさん出てきた。
 こういった手法は、さまざまな場でもっと導入されてもいいと思う。たとえば今回、あるテーマ(「子どもたちに望むこと」等)で替え歌を作って発表するワークがあったのだが、ある問題を扱った研修会の場などで問題を焦点化する際に、この方法なら楽しみながら次々と問題点を出して、みんなで共有できる。歌詞なので、言葉が足りないという欠点はあるものの、むしろ短い言葉で的確に表さなければいけないぶん問題ははっきりするだろう。

 「演劇ワークショップ」というと、役者さん向けのものというイメージがあるけれど、舞台に立つ人達だけのものにしておくのはあまりにももったいないものが多い。総合芸術である演劇の手法は、表現の技術やコミュニケーションの技術を含む。誰もが人と付き合わなければいけないし、他人に自分の思いを伝えたり、一緒に何かのタスクをやっていかなければいけない。それが社会生活を送るということだ。だから、社会生活を送る上で、演劇の手法はけっこう役に立つ、と私は思っている。
 「ひきこもり」という言葉を聞くたびに、私はとてもかなしくなる。
傷つかないようにするために人とのかかわりを避けるという戦略は大ありだと思っている。むしろ私の生きるうえでの志向はこっちに傾いているくらいだ。
 でも、人とかかわることで得られる喜びや楽しさも少しは知っている。
 だから、人とかかわりつつも傷つかずにすむ、別の戦略や技術を持ちたいと思っている。
 演劇の手法が、その戦略のひとつとなればいい。
 この社会で「生きにくい」と感じている人たちに、その戦略や手法を伝えていきたいと思っている。

 こんなふうに私の仕事と趣味は、ちゃんとつながっている。
 ばらばらのパズルピースがつながってひとつの絵になるように、演劇も仕事も私の人生をかたちづくる不可欠なピースなのです。

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劇団轍WaDaChi公演「福博桜館」 

ぽんプラザホールロングランシアター
劇団轍WaDaChi公演「福博桜館」
 日時:2006年2月7日(火)19:00開演
 会場:ぽんプラザホール

 わけあって2度目の観劇。
 1度目は福岡の歴史に関わる部分がちんぷんかんぷんであまり楽しめなかったけれど、2度目の今回はこっそりはられた伏線や役者の細かい演技を楽しむことができた。せっかくのロングランですから、2度目を楽しむのもよいかも。12日まで。

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「二月博多座大歌舞伎」

中村鴈治郎改め坂田藤十郎襲名披露「二月博多座大歌舞伎」
 日時:2006年2月5日(日)16:30開演
 会場:博多座

 今回もまた、たなぼたチケットでの観劇。
 なんと2列目から。

 歌舞伎って、特に舞踊ではいつも眠くなってしまうのだけれど、今回は眠くなる暇がなく、楽しかった。
 まずは中村富十郎・翫雀・扇雀による舞踊「鶴亀」。衣装が素敵。
 続いて「毛抜」。”歌舞伎十八番”のひとつだからきっとおもしろいだろうと思ったけれど、期待にたがわずおもしろい演目だった。オチもおかしいし。
 そしていよいよ坂田藤十郎の登場、「大津絵道成寺」。口上も折り込まれ、あっというまの早変りもあり、衣装も豪華で楽しかった。
 最後は「源氏店」。私の頭の中では、春日八郎の「お富さん」がえんえん流れた。2番以降は知らないんですけど、きっとあのお話にちゃんと沿っているのでしょうね。

 歌舞伎の歌舞伎らしい荒事和事・衣装・化粧を堪能できた舞台でした。
 ただ、昼の部を見た人たちは口をそろえて藤十郎の乳人政岡を絶賛。
 ええ~、17850円払ってまた見に行くのはちょっと・・・考えます。

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「オリバー・ツイスト」

オリバー・ツイスト
 日時:2006年2月3日(金)
 場所:ユナイテッドシネマズ福岡

 チャールズ・ディケンズ原作の小説を映画化。原作は未読。
 その昔、ミュージカル化されてたっけ。こちらも未見。
 私は基本的にこういう名作が原作になっているドラマ映画が大好きなので、迷わず見に行く。好きな理由は、名作であればあるほど原作に手が入れにくく、原作に忠実に映画化されることが多いから。

 しかし。
 最初から最後まで胃が痛い映画だった。オリバーがかわいそうでかわいそうで・・・。彼は何も悪くないのだ。それなのに大人たちの身勝手や都合などなどに振り回されている。そしてどんなに振り回され、ひどい目に遭っても、彼は決して親切にされたことへの感謝の気持ちを忘れず、きちんとそれを言葉にして相手に伝え、最終的に悪いことにも手を出さず、はっきりと大きな声で「助けて」と叫ぶ。
 悪いことをしたり、いうことを聞かなかったり、人を傷つけたりする人たちのことを、「親の育て方が悪い」とか言ったりするけれど、オリバーに親はいない。周りのおとなたちはどいつもこいつもあきれたやつらばかり。なのにオリバーはまっすぐだ。彼は神様の子どもなんだろうね。

19世紀のロンドンを忠実に表現した映像もとてもいい。あー、ロンドン行きたい!
 英文学を学ぶ人は必見。

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