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2005年12月

2005年総決算!

 今年はたくさん観すぎました。
 観劇本数は46本ぐらい。たぶん自分史上最高本数だと思います。もう昔のことはよく覚えてないけど。
 で、ベストテンとかやってみようと思ったのですが、どうも今年は見た本数のわりに、これといってピンときた作品がない。しょうがないので、思いついたことだけ箇条書きにして、2005年を振り返ってみようと思います。

○役者
 今年気になった役者はまず川口大樹さん。きちんと笑いが取れる役者というのはそうそういない。ヘンな人とかお茶目な人もいいけど、もっとシリアスな役どころなども見てみたいところ。作・演出家としても期待大。
 あと、矢ヶ部哲さん。細くてちっちゃいけれど、体も切れるし、笑いも取れる。どっかイッちゃった人がとても似合う。
 中川浩三さん。「背くらべ」で見てかなり好みだと思ったけれど、その前に「空の絵の具」「砂の絵の具」であの情けない稲垣を演じた役者ではないか!ああ、モロ好みです。

○装置
 クロックアップサイリックス「水先案内」の装置は、最近の小劇場では類を見ないほどに豪華なセットだった。数々の「兄弟船」の仕事の中でも出色の出来。
 あなピグモ捕獲団「服部の城」のセットも素敵だった。特に中央にあった、黒い筒?みたいなやつ。中にいる服部が透けて見える(仕組みがわからないのでこれ以上説明できません)。

○脚本
 「服部の城」は、初演も非常におもしろかったけれど、再演はすっきりしていてさらによくなっていたと思う。これ、どこかの戯曲賞が取れないかと思っているのだけれど、どうでしょう。
 あと、E-1グランプリ番外編 非・売れ線系ビーナス×万能グローブガラパゴスダイナモス「況わんや、百年振りの粗捜し」。田坂哲郎さんが昔書いた戯曲の改訂版?とのことだったけれど、おもしろかった。作品の完成度でいえば、これはかなりバランスのよい出来だった。田坂さんといえば「世界で一番悲しい唇」もよかったです。その他あちこちに書き下ろしたものも面白かったと思うのですが、彼はどうやら全部自分でやっちゃうほうが性にあっているみたいです。

○NGT=北九州芸術劇場Next Generation Theatre
 劇団二番目の庭・飛ぶ劇場オフシアター・のこされ劇場≡が参加した、次世代の劇場を支える人材育成を目指すシリーズ。飛ぶ劇とのこ劇しか見ていないけれど、どちらもかなりおもしろかった。2006年も4月に同じ3劇団がやります。期待大。

○事件
 「東京物語」で泊篤志・大塚ムネト・とまとの3人、そして福岡の若手演劇人が出会ったこと。ここからまだまだいろんなことがはじまるのではないかという予感。
 ギンギラ太陽’Sのパルコ劇場進出。これは、週刊Stage Powerの年間ニュースでも大きく取り上げていただきました(私が頼んだわけではなく、編集長の判断です)。

○やっぱりチケット代が高い公演はいい、けど・・・
 地元の劇団をほとんど見なかった昨年とは裏腹に、今年はあまり大劇場の公演に行かなかった。「吉原御免状」と年末に見た「エビ大王」「贋作・罪と罰」くらいか。(あと、「モーツァルト!」もだけど、ミュージカルは私の中では別扱い・・・)どれもそれなりに満足した。でも、それだけお金を出さないといい芝居は見られないのか?さらに、それだけお金を出してもチケットを手に入れることがなんと困難だったことか。
 ちなみに現時点で「桜飛沫」「労働者M」を見るつもりですが、どちらも現在チケット未入手。なんだそれ。飛行機は取っちゃったので、何が何でも行くんです。飛行機のキャンセルできないので、いざとなったら当日券だ!

 んでは皆様、2006年も楽しい観劇を。

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NODA・MAP「贋作・罪と罰」 

NODA・MAP「贋作・罪と罰」
 日時:2005年12月29日(木) 14:00開演
 会場:シアターコクーン

 ああ、たくさん泣きました。もいっかい観たいです。
 これをもちまして、2005年の私の観劇スケジュールはすべて終了です。
 「12人の優しい日本人」見たかったけどなあ。

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初演はビデオでのみ。
 まあ、ビデオでしか見てないのにこういうのもなんなんですけど、私は初演のキャストのほうが好きだったなー。

 野田さんは学生時代に目撃した理不尽な殺人をきっかけにこの芝居を書いたのだという。自分の理想とか目的達成を楯に正々堂々と間違った方向に突き進む、というのは「エビ大王」とも似ている。「金と名誉」「知識と理想」・・・繰り出される、数々の問いに答えるのは本当に難しい。みんな自分の正しいもののために前へ進もうとする。時には一線を超えても。でもそれは許されることじゃない。

 松たか子さんは、とにかくまっすぐで。「取り付く島がない」とはまさにこのこと。周囲は見ないようにして、ひたすらひたすら突き進む。
 古田新太が才谷をやるであろうということで、かっこいい古田が見られる!と、とても楽しみにしていたのだけれど・・・ちょっと難しかったかも。
 初演のすっごくかっこいい才谷=筧俊夫が印象に残っている私にとって、古田はちょっと三の線だった。古田は見かけは3枚目だけど、舞台上では2枚目になる男なのだ。だけど今回は見た目の3から抜けだけないまま終わっちゃった。
 ただ、パンフレットの中で古田は「(自分は坂本竜馬の大ファンだけど)ま、でも竜馬としての心の動きよりも、英の親友である才谷の気持ちのほうが優先ですね。英は笑わないでしょう。才谷だけが英の笑った顔が見たいと思って接しているんじゃないかな。こいつ、笑ったらかわいいのにな、とか。(中略)カッコ良さは無視しようかと(笑)」と言っていた。ううう・・・。この言葉に惚れました。三の線の古田でいいです。そんなあなたが英には必要です。なのになんで死んじゃうんだよ~。あ、それが英への罰なのか。

 舞台の段田さんはなんと初見。その昔、お受験ドラマで見てからずーーっと気になっていたのだけれど。舞台でもきちんとした芝居をする人なんだなー。
 小松和重さんは、昨年の「走れメルス」がすごくよくて期待していたのだけれど、ちょっと見せ場が少なくて残念。
 中村まことさんのお父さんはいかにもなお父さんで好きでした。 

 そして野田秀樹さんも再婚だそうですよ。
 おめでとうございます。

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Team ARAGOTO「エビ大王」

Team ARAGOTO vol.1 「エビ大王」
 日時:2005年12月28日 19:00開演
 会場:シアターBRAVA!

“エビ”って“海老”じゃないんだって。
 韓国語で「父親」あるいは「怖いもの」をさす言葉で、子どもが悪いことをしたときに「ほら、そんなことだとエビが来るよ」と、子どもを脅すときにも使うような言葉らしい。

 脚本が圧倒的に面白い。
 「いや、ありえないだろそれ」という強引さもありながら勢いがあるし、いくつかのサブストーリーが絡み合う展開は、オチはある程度わかっているものの最後まで飽きさせない。
 徹底した父権社会だったり、ひとつの国を赤派と青派にわけて、やがてその二つの国が争い始めるといった韓国社会への風刺とも取れる話や、途中「リア王」やギリシャ悲劇を思わせる場面があったりもする。
登場する人物の役名はすべて「立場」をあらわす言葉。登場人物は個人ではないのだ。そこもまた、物語を幾重にも解釈可能にしていておもしろい。

 この芝居をひとことで言うなら、佐藤アツヒロがパンフレットの中で言っている
「必死に生きるために、人が間違ったことをするという、そこが切ないなと思います」
という言葉だと思う。
 エビ大王はどう見ても間違ったことをしている、なのにあそこまで必死なのだ。
 それを演じる筧俊夫は、いい意味で筧俊夫らしくない!
 なんていうんだろう、男の子が欲しくて村中の女を集めてやりまくる「ケダモノ」なんだけど、今までの「ケダモノ」な筧さんとはぜんぜん違う。筧さん自身は笑いの要素を排除していて、いやらしさみたいなものもなく、とにかく生きて種を残すことだけに必死になる男の悲しさが良く表現されていた。

 他の役者さんたちも周りのアンサンブルまで含めてみんないい。
 こぐれ修さん。わがまま爺をやらせたら天下一品。この舞台にぴったりはまっている。
 サエコさん。「ドラゴン桜」に出てたギャルなんですね。アニメキャラみたいな特徴のある声で、声優さんかと思いました。今回が初舞台とのことだけれど、小柄ながら体もよく動くし、せりふもしゃべれるし、なかなかでした。
 佐田真由美さん、男として生きることを決意した末娘の凛とした雰囲気がいい感じ。
 伊達暁さん、後半はせりふがなくなってしまう。私はこの人の声が好きなので、声が聞けないなんて残念。
 河原雅彦&橋本じゅんのコンビもちょっとお笑いは抑え目で、でも笑わせるところは真面目に!?しっかり笑わせてくれる。河原さんて・・・いいですね。私は、「トランス」以来この人がすっごく嫌いだったのですが、昨年の「走れメルス」もよかったし、嫌いじゃなくなってきました。
 佐藤あっくん、もっと見たかったなー。私のイメージでは彼は「バカ大将」なのだが、いや、これはまじめな芝居だから・・・。
 アンサンブルの面々もみんな踊れる、動ける、せりふも通る、一人一人がきちんとした芝居をする。ほとんどが無名の役者さんであるにもかかわらず、どの人もどの人も「あれは誰だ?」とかなり気になりました。(で、パンフレットを買ってしまった。読み応えあったけど、高いよ・・・)
 でも、すべての役者たちをここまでのレベルにしたのは、座長・筧を中心としたのteamの力だったのではないかと思った。

 演出がいかにも岡村俊一らしい。
 音楽は基本的に韓流っぽいのだけれど、エビ大王が女の人たちとやりまくるイメージのダンスシーンでは“現代音楽”(by橋本じゅん)を使ったり、じゅんさんが突然美空ひばりと化して「川の流れのように」を歌い上げたり、その傍らで河原さんがテレサ・テンを歌いながらフライングをしたり、つか芝居を思わせる暑苦しくもエンタメ要素もたっぷりな演出。
 岡村さん、藤谷美和子とご結婚ですってよ。
 いやはや。おめでとうございます。

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リホスタ「だんすバカ一代」

リホスタ「だんすバカ一代」
 日時:2005年12月27日(火) 19:30開演
 会場:ぽんプラザホール 

訳あってゲネを見学。公演自体は見てない。
よってレビューを書く資格はないのだが、あえて書かせてください。

 「バレエによって鍛え上げられた肉体を駆使した」「コンテンポラリーダンスの公演」と聞いていたのだけれど、幕が開いてみれば「中村卓二歌謡劇場」。中村卓二さんが『よせばいいのに』を歌い上げる・・・
 一方、舞台上に置かれた段ボール箱の中からはche carino! / che carina!のメンバー。
 あれれ?中村さんもケカのメンバーも「受付をする」と聞いてたのに、しっかり出てるじゃん!

 「巨人の星」「マジックショー」「二人でお酒を」「蕎麦屋」「第九」(タイトルは私が勝手に命名)などなどの、“ダンス”というよりも日常の風景を鍛え上げられた肉体で表現。なるほどそこからいろんな場面が見えてくる。

 そんなダンス?の合間合間に中村卓二が登場して「よせばいいのに~」と熱唱。

 開演前にロビーでコンビニ弁当を手に赤いウインナーについて語り合う、ケカの酒瀬川さん&砂川さんや電話で蕎麦屋と喧嘩するコガキョさんにはじまり、ステージ奥の壁に「バカ」と映写されるラスト(←「バカの壁」)まで、隅々まで念入りに仕込まれた数々の“バカ”。気付いたお客さんはどれほどいたのかわからないけれど、「いいの。気がついた人がこっそりくすっと笑ってくれれば」とおっしゃるバカ大将(失礼。でもほめ言葉よ)・大内田さん。
ダンスを始める前は「妄想癖のある子どもだった」とおっしゃる。
数々のバカのその奥には、ちゃんと彼女の姿が見える。
 それは「巨人の星」だったり「花形満」だったり「よせばいいのに」だったり、真面目で一途でだからこそ“バカ”と呼ばれる、「ダンスバカ」の一代記にちゃんとなっていたと思う。「カテゴリー:演劇」にしちゃおうかと思ったくらい”演劇的”なダンス公演でした。

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平塚サンダーバードプロデュース「三代目、りちゃあど」

福岡女学院大学人文学部表現学科第二期卒業公演
平塚サンダーバードプロデュース「三代目、りちゃあど」
 日時:2005年12月18日(日) 14:00開演
 会場:福岡女学院大学 ハウイ館2階ホール

 シェイクスピアをちょこっとだけ勉強する大学生だった頃、テレビで偶然「野田秀樹のから騒ぎ」を観た。斉藤由貴とか希木樹林が出ていた。相撲部屋の話で、「から騒ぎ」なのに途中から「オセロ」になってた。その後、「野田秀樹の夏の夜の夢」も観た。唐沢寿明が出ていて、なんか板前のライさんだー、デミさんだーとかそんな話だった。これがかの有名な“野田秀樹の芝居”か、なるほど世の中にこんなにおもしろいものがあるんだと思った。
 思えばこれが私と「演劇」の初めての出会いだったのかもしれない。

 これら2作を含む戯曲集『廻しをしめたシェイクスピア』は私の手元にあり、そのなかに「三代目、りちゃあど」は収録されている。シェイクスピアの『リチャード三世』も、ものすごくおもしろい戯曲であり、それをさらに研究し尽くして書かれたこの戯曲、おもしろくないわけがない。逆にいえば、これでおもしろくなかったらはっきりと役者・演出の責任ということになる。
 あらためて、押入れの中から『廻しをしめたシェイクスピア』を引っ張り出して読んでみた。脚本の中に、演出の指定がかなり多い戯曲だった。けれども、今回の公演はそれを忠実に守っていたわけではなく、オリジナルの演出が多かった。それでもきちんと戯曲のおもしろさを伝えていた。
 ラスト近く、裁判の判決が出て、シャイロクの長台詞のあと、殺されなかった少年たちと、りちゃあどとシェイクスピアの兄弟が対比して描かれている場面など、野田秀樹らしくてかなり難しかったと思う(実際、戯曲を読んだだけでは、私には理解不可能)けど、うまく処理されていた。

 役者たちがみんな安心して観ていられる。
 川口くん・田坂くん・松野尾くんは、ほんっとに見て楽しい役者なので嬉しい。もちろん、課題も多いんだけどね。早いせりふとか、テンションが低い時の表現なんかも、やっぱり難しいんだろうなと思う。どの役者にとっても。
 今回、上瀧くんがよかった。上瀧くんが良いと嬉しい。

 これ、福岡女学院大学人文学部表現学科の卒業公演なのですが、メインのキャストがこれだけ外部の人間で、「卒業公演」というのもどうなんだろう。まあ、観客としてはおもしろかったからいいんですけど。難しいよね、「表現学科」。でも、女学院の学費が福大並みに安かったら、私は通いたいです。まじで。

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劇団四季「美女と野獣」

劇団四季「美女と野獣」
 日時:2005年12月14日(水) 18:30開演
 会場:福岡シティー劇場

 訳あって観劇することに。
 もう、観たくてしょうがなかったのに、ひとりでシティー劇場に行く勇気がなくてさあ・・・(なんだそれ?)。

 シティー劇場に来るのは本当に久しぶり。
 柿落としの「オペラ座の怪人」から「ライオンキング」ほぼ全演目を見ているはずだけれど。
 「美女と野獣」はその中でもいちばんのお気に入りだった。オリジナルのディズニーアニメを妹がいたく気に入っており、仕事に使えるかも、と二カ国語版のビデオも購入して持っている。ミュージカル版はそれを忠実に舞台に再現しており、初めて見たときは、魔法のような仕掛けの数々や豪華なセット、楽しい歌と踊りに魅了された。
 しかし、どうしてももう一度観たかった最大の理由は、前回見たときには、クライマックスのあのシーンで、野獣が王子にうまく変わらなかったからである!いや、最終的にはちゃんと変わったのだけれど、どうも???という不思議な間があったのだ。その後も何度か観た友人によれば、やはり私の見た回はおかしかったらしい。

 そんなわけでリベンジ。
 私が好きなのは、ガストンが酒場にいるシーンのビアマグを使ったダンスと、「ビー・アワ・ゲスト」のど派手な演出。アニメのヘンなCG(当時は画期的だった)による食器のオンパレードをあそこまで忠実に表現するのは本当にすごい。

 そして、問題のシーン。
 ちゃんと変わりました。しかも回ってました。へぇ~!

 余談。
 開演前に腹ごしらえをしようと行った先は、昔ダイエーがあったところの地下フードコート。
 前々から気になっていた「ケロムレスト」のオムライスを食す。これが!おいしかった!ふわっふわとろっとろのたまご、ちょっと甘いケチャップ、ジューシーなチキン・・・。ちょっとだけご飯が食べたいときに最適。お値段もリーズナブル。今後、ぽんプラザに行くときもここまで食べに行くかも。

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