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2005年9月

circulate-安部貴住個展

circulate-安部貴住個展
 日時:2005年9月18日(日)
 会場:art space tetra

トイレットペーパーやガーゼの包帯などで作られた四角い部屋の中にガラスの天板が乗ったテーブル。テーブルの上にはスプーンやフォークをかたどった(ガーゼ包帯をスプーンやフォークの上に置き、上からロウを薄く流したものだそうな)白い布が散らばる。

 別の空間には、ステンレス製のワゴンの上にガラスの破片が積み上げられ、その上に古びたナイフやフォークなどのカトラリーが散らばる。壁には白黒の写真、写真、写真。

 なんだかちょっと寒い感じがした。それは、tetraに導入されたばかりというエアコンのせいではなくて。
 トイレットペーパーや包帯で構成された真白い空間。透明なガラス。銀色に光るカトラリー。尖った破片。
 どれも、とても冷ややかな感じ。
 
 4週間かけて、作っては壊し、作っては壊しを繰り返した末に完成したという作品。つまりは、最初からここへたどり着くことは予想していなかったという。ならばなおさら。そこに在るのは、今の安部さんそのものとはいえないだろうか。それがこんなふうに冷たいものだったことを、少し悲しく感じた。別に、嬉しさとか楽しさとかを感じたいから作品を見に行くわけではないけれど、少なくとも「今の」安部さんからは暖かい感じのする作品を見たかったし、見られるのではないかと思っていたのだ。
 
 10月2日まで。
 10月1日にはクロージングパーティーが催される予定。

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第3回福岡アジア美術トリエンナーレ2005

第3回福岡アジア美術トリエンナーレ2005
 日時:2005年9月18日(日)
 会場:福岡アジア美術館

 私が現代美術と出会うきっかけになった展覧会でもある。
 美術館といえば、静かに絵や彫刻を見るところ、という先入観を粉砕。実にヘンなもの満載。いずこからか雄たけびは聞こえてくるわ、虫眼鏡片手に床に這いつくばって見る展示はあるわ、いろいろ作ったり操作したりもできる。
 もちろん、絵も彫刻?もあるけど、今回はビデオインスタレーションが多い。

 私が現代美術を好きなのは、それがどこかで現実とつながっていることがわかりやすいからだ。そして、ダイレクトに私の心を打つ。
 
 たとえばパキスタンのバニ・アビディのビデオ作品。インドとパキスタンの関係を垣間見ることができる。
 もっと個人的なものを表現するものありだな、と思わされたのはピウス・シギット・クンチョローの「パパ」。家族関係についての作品を作り続けていた人らしい。それからチャン・ユン・ティアの、死亡記事の写真を刺繍する作品。ビョー・ジーの母と子。
 あと気に入ったのは、ヤン・ジャンジョンの360度マルチスクリーンの映像。チャックリット・チムノークのバナナの皮で作られた衣装やバッグ。
 ツァオ・フェイの作品は実際に着てコスプレが可能。 

 無料で見られる・参加できる展示もたくさんある。
 今となってはメジャーになってしまったオタク文化が満載『不思議博物館・展示室A』!「メイドカフェではありません」が、「不思議子ちゃん」というメイドキャラがいて、お駄賃をもらってお茶を運んでくれるらしい(主として土日祝)。館長(制作者・角孝政氏)が実に嬉しそうに会場にいたのが印象的。この人、私と誕生日が同じなんだぁ。ちょっと複雑・・・。

 5階アナトリウムガーデンでは、3月20日に行われる予定で、福岡西方沖地震のため開始7分前に中止になった「アジア楽市楽座」が『リターンズ』と銘打って開催されていた。この日は、アーティストたちも多数参加していて、会場はかなり雑多な雰囲気に包まれていた。

 カフェもリニューアルオープン。アジア麺などもあって、おいしそう。(不思議子ちゃんはここからお茶を運んでくれる)

 11月27日まで。会期中は天神に行くたびにあじ美に寄ってしまいそうだ。
 この展示会はロビーだけでもかなり楽しめるので、リバレインでランチやお茶などはいかが。天神よりも空いていて、ゆったりしたセレブ気分が味わえます。地下2階のアートリエもお薦めのカフェです。

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演劇集団キャラメルボックス「スケッチブック・ボイジャー」

演劇集団キャラメルボックス「スケッチブック・ボイジャー」
 日時:2005年9月17日(土)19:00開演
 会場:メルパルクホール福岡

 キャラメルボックスは、劇団設立20周年なんですね。
 私が初めてキャラメルを見たのは、キャラメルにとっても初・福岡公演だった「また会おうと竜馬は言った」@ももちパレス。約10年前のことです。行こうかどうしようかと迷って、最終的に友人を誘って見に行きました。公演直前に手に入れたチケットはなんと最前列。端っこだったけど、竜馬の立ち位置の正面で、3人揃ってヤラレました。上川隆也に。『大地の子』が放映される直前のことでした。
 開演前に浄水通りのケーキ屋さんでお茶していたところ、斜め向かいに、このとき一緒に見た友人が。それまで劇団四季しか見たことがなかったという友人は、あの日をきっかけに立派な小劇場ファンになりました。キャラメルボックスサポーター歴も10年となり、今公演はジェミニとアポロとトークショーを堪能したようです。

1988年初演というこの作品。
 ストーリーは、フィクションの世界と現実の世界がクロスする、成井さんの得意のパターン。土地の買占めとか、若貴・相撲ブームとか、時代を感じさせるせりふも多数ちりばめられていて、それでもあまり古臭さは感じなかった。むしろ、最近のあまいキャラメルよりもこっちの方が好き。

 サッカー大好きな大空牧場のカケルとか、ライバルの小次郎とかは「キャプテン翼」へのオマージュ。そして同時にメンバーたちが子どもの頃に抱いていた夢にも重なっているようで。成井さんはこの作品を教師を辞めて劇団一本にしたときに書いたのだという。そう。これからまた夢を追いかけるぞ!という勢いに満ちた作品だった。これを今やるというのも、ひとつのけじめなんだろうな。大森・西川がタッグを組み、真柴が支えるジェミニキャストを見ながらつくづくそう感じた。

 途中に日替わりのゲストあり。この日は成井豊氏。成井さん、喋りすぎ。しかもおもしろくなかった・・・(失礼)。

 たくさん並んだグッズや、おなじみのグッズ宣伝を兼ねた前説。だめな人にはだめなのでしょうが、これがあってこそキャラメルボックスはここまで来られたんだよなあということを痛感。行きすぎなところはあるものの、小劇場の制作としては見習うところも大きいのではないかと思う。
 劇団☆新感線然り、20年続けてこられたことの奇跡と幸福に涙。

 当日パンフの中で、小川江利子嬢が退団したことを知る。入団からずっと見ていて、特に「カレッジ オブ ザ ウインド」での彼女が印象に残っていたので、ちょっぴり残念。しかし、若い人から辞めていくね。さみしいなあ。

 次回、年末の公演「クロノス」には、菅野良一が出る!出る、っていうか、センターだ。あんまりうまい役者ではないけれど、この人の笑顔を見るとどきどきする。ああ、会いたい・・・。

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劇団、本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

劇団、本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

 『自意識に絡め取られた妄想過多な人間を主人公に、独特の劇世界を展開する』という「劇団、本谷有希子」の芝居。
 前々から噂には聞いていたけれど、東京まで見に行くのは何かのついでがない限り難しそうだったので、DVDを衝動買いして初見。

 私はよく他人に「自意識過剰」とか「傲慢」とか言われる。しかし大変困ったことに、自覚がない。自覚はないけど人からそう言われるってことはそうなんだろうなあ、それにそれってよくないことなんだよねーと思って、そうじゃないように振舞ってみるのだけれど、なにせ自覚がないがために自意識過剰じゃなかったり傲慢じゃなかったりするのがどういう状態なのか分かっておらず、妙な行動に出ているらしい。あげく「謎なひと」とか「ヘンなひと」とか、最近では「キモイ」とか言われている。一方で本人は「異常」であることを極度に恐れながら、「普通」であることにコンプレックスを抱いていて、「ヘンなひと」なんて最高の褒めことばじゃん、と判断してしまう。
 我ながら、手におえない人ではある、みたいだ(自覚はない)。
 
 こんな自分と本谷の芝居を重ねてしまうあたりが「自意識過剰」。
 小説もちょこっと読んでみたけれど、ついていけなくて途中で挫折。
 DVDの方も、照明が暗い場面が多くて、画像が悪く、音声もかなり聞き取りづらい。
 我慢して最後まで見たけれど、これはちょっとあんまりじゃないかと思う。まあ、それをひっくるめてのお値段なのでしょうが。

 なんつーか、感想が述べにくいが、まあ登場人物の誰もがヘンで、でも誰もに共感できてしまった。あー、そうだよねって。でも現実にはなかなかそろいもそろってああいうふうにはいられないでしょう。いや、現実はもっと複雑怪奇かもしれないな。でも私はなかなかああはいられない。だから憧れる世界であって。

 この芝居のタイトル、誰に向けて誰が発していることばなのだろう、と思っていた。
 ラストシーンにちょっと泣けてしまいながら、観終わって、私自身が世の中に向けてこの言葉を発してやりたいと思った。
 人形に釘を打ちつけつつ。
 何かが動き出すことを期待して。
 
 こんなことだからいかんのだ。
 なにせ平凡であることを嫌いながら、世間に望まれる人生をはみ出さないように細心の注意を払って生きている、ねじまがって一周して普通の人な私としては、せめてここにこんな文章でも書きながら、明日からもできるだけ正しいおとなとして暮らしていく。そして、今日みたいな日には、そんな自分の情けなさを棚に上げて叫ぶ。
 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」と。

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最新旧型機クロックアップ・サイリックス「水先案内」

最新旧型機クロックアップ・サイリックス「水先案内」
 日時:2005年9月3日(土) 20:00開演
 会場:ゆめアール大橋

セーラー服姿の濱崎さんや、喋らない森久さん、いつもの上瀧さんや長岡さん、それから豪華なゲスト陣が見られた。セットも豪華だった。

 でも、なんだか散漫な印象を受けてしまった。
 客演の役者さんたちもばらばらな感じだった。田坂くんはひとりで動いて喋って気を吐いていたし、工藤さんは抜群にうまかった。もちろんその他の客演の人たちも安心して観ていられた。その一方でなんだかおとなしい感じがしてしまった。軸になるべきクロサイのメンバーが別空間にいたり、せりふが全くなかったりしたせいもあるかもしれない。
 
 それでも。
 10回目を迎える最新旧型機クロックアップ・サイリックスの公演。
 私とクロサイとの付き合いも、前身の針穴写真館時代を含めて10年になる。
 なんだかんだと身辺は変化し、いろんな事情が絡み合って、若かりし日々と同じように芝居を作れなくなっているであろうことは感じる。もちろん、あの頃はあの頃で様々な事情を乗り越えてきたはずだ。けれど、そんな様々な事情の中でも、常に進化しながら続けていこうという気概は感じられた。
 そうなのだ。
 創る側・観る側と立場は違っても、同じ野望を持っていると思っている。いつか野望をかなえるためにも、クロサイの皆さんには頑張ってもらわねばならんのだ。
 「水先案内」とは、福岡の演劇の先頭に立つものとしての決意表明とみた。
 考えすぎかもしれないけれど、クロサイはそういう立場なのだ。
 船長、艦長、甲板長、機関長、操舵長・・・たくさんの長が力をあわせてこの船は未来へと進む。
 私は港で船を待つ。
 様々なトラブルを乗り越えて、無事に、いつまでも、この航海が続きますように。

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