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「東京物語」

Picnic Presents「東京物語」
 日時:2005年7月10日(日)14:00開演
 場所:イムズホール

竹内銃一郎の戯曲。飛ぶ劇場の泊篤志が演出を手がけ、ギンギラ太陽’Sの大塚ムネトとあんみつ姫のとまとママのふたり芝居。

 竹内戯曲の芝居は今まで2度見たことがある。ひとつは「ひまわり」,もうひとつは、タイトルは忘れてしまったが、いずれもシェイクスピアだのチェーホフだの、その他諸々(正確にはなんだかわかりません)を下敷きにした芝居だった。もちろん、「これは『リア王』のあのせりふね」とほくそえみながら見るのも一興だけれど、残念ながらすべてのせりふの出典をたどれるほどの知識は持ち合わせておらず、それでも十分楽しめる芝居だった。舞台上で本当にすき焼き食べたりして。

 この「東京物語」はおかまのオリーブが監獄の中で革命家ブレーキに話して聞かせる映画「東京物語」がひとつの軸になっている。たぶんそのほかにもいろんな映画がモチーフになっているのだろう(私にはひとっつもわかりませんでしたが) が、「元ネタがある」というのは、竹内戯曲の罠かもしれない。
 元ネタなんか全く知らなくても十分に楽しめる。ネタは本質を見えやすくするためのものだと思うのだけれど、ネタを理解しようとして、むしろ本質が見えにくくなってしまうのだ。

 役者さん
 大塚さんはうまい。むしろうますぎて・・・。もう1枚脱げそうな気がするんだけどな。
 とまとさんはほぼ初見だった(ギンギラ嘉穂劇場では見たけど)。前説では「けっこう男っぽいひとだなー」という印象だった。けれど、エンディングで出てきたとまとさんは、まぎれもなくかわゆい女性だった。すごい・・・。クライマックスのシーンもよかったと思う。(余談だけれど、あのシーンを見て私は鴻上尚史・作「トランス」に登場するおかま・参三が雅人への思いを礼子にぶつけるシーンを思い出した。女たるもの、あれくらいでなくっちゃと思う)

 あちこちで議論の種になっているアンサンブルの扱いだけれど、私個人としては正直言ってあまりいけてなかったと思った。けれども同時に、演出上必要だから入れたのだろうということもじゅうぶん理解できた。なければないでまた、つまんなかっただろうな、と。演出上の意図があったということは泊さんも明言されているし、その意図が何かについては高崎さんたにせさんも言及されている。私はまたちょっと違ったことを考えたのだけれど、それはここには書きません。ごめんなさい。

 ともあれ。
 この企画は福岡演劇界活性化のための大きなきっかけになったと思う。
 大塚ムネト・とまと・泊篤志の3人が集まって芝居をしたこと。
 そこに、若手が参加したこと。
 参加した人たちの日記やブログからも、それがいかに刺激的なことだったかが伺える。
 これをきっかけに、また新しい何かが始まることを期待したい。

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