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2005年3月

パルコ+サードステージPresents「お父さんの恋」

パルコ+サードステージPresents「お父さんの恋」
 日時:2005年3月30日(水)19:30開演
 会場:福岡サンパレス

 引越した。
 手伝いに両親を呼びつけた。年金&アルバイト暮らしの両親は、「安いから」という理由で、朝8時に福岡に着く飛行機で1000キロの距離をやってきた。着いたそばから休むまもなく片付け、掃除をした。私はうろうろと、粗大ゴミを捨てに行ったり、コンピュータを梱包したりするだけだった。
 3月30日、私が仕事に行っている間に、両親は新しい部屋を片付け、様々なものを買い込んで並べてくれていた。「何でこんなものまで買ってきたわけ!?」とけんかになった。夕方、両親の旧友の家で一緒に夕食をいただき、青春18切符を片手に夜のムーンライト九州号で帰路に着く両親を残して、わたしはひとり福岡サンパレスに向かった。ちょっと泣きそうになりながら。

 地震のため、会場をももちパレスから、福岡サンパレスに、2日間の日程を1日に変更してのこの公演。
 中谷まゆみさんの脚本は、誰もが抱える光と闇の部分を、時に笑いを交えながら見せてくれる。
 いつもぼろぼろに泣かされてしまうのだが、今回もやっぱりそうだった。
 寝たきりの父親。それぞれにわけありの子どもたち、介護人、医者。
 それぞれの事情、それぞれの想いに、最初から最後まで、涙が止まらなかった。

 1000キロの距離を離れて暮らす両親が、寝たきりになったりしたらどうするのかな。
 私もきっと周囲から見れば、好き勝手なことばかりしている親不孝者で。うーん・・・これでも結構親孝行してるつもりなんだけど。
 親子であること、家族であることは変えられず、そこには確実に血のつながりやある時間を共に過ごしたからこそある暖かさと確かな関係がある。でも結局のところ、家族であろうと他人であろうと、どれだけ人を想うことができるか、それが一番大切な気がする。だって、夫婦は血はつながっていない、他人なんだから。
 
 もうひとつ。
 人はいつでも、何度でも、人生をリセットできる。
 引越しをする。職場を変える。離婚する。結婚する。人の家に忍び込む。大学再入学。化粧する。ピアスをあける・・・。
 リセットボタンを押すことは、時につらいことでもあるけれど、ボタンを押したあとに今までよりも楽になれるのならば、押してみるのもいい。押しても楽にならなかったなら、また押せばいい。

 そんなわけで、私もリセットボタンを押してみた、春です。

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熊本市現代美術館

 初めて熊本現代美術館に行ったきっかけは、八谷和彦の展示会だった。
 主に現代美術を扱うこの美術館は、熊本の繁華街・通町筋に位置し、利便性抜群。
 ロビーにも数々の作品が展示されている。
 オープンな雰囲気の図書室もロビーにあり、この図書室自体が作品である。
 図書室の天井に、ジェイムズ・タレルの作品はある。

 吸い込まれそうな青い光。
 四角く開けられた窓のようにも見えるのだけれど。
 この青い光が、毎日19:30から15分間、色が変化するのだ。
 馬刺し&焼酎の夕食を済ませて店を出て、熊本駅方面に向かっていた私は、このことをふと思い出した。時計は19:15。間に合う!

 図書室ではピアノの生演奏が行われていた。
 流れてきた曲は「花の街」。
 この曲を聴いたとき、なぜか涙があふれてきた。
 ピアノの演奏が終わり、図書室の明かりが消され、天井の明かりが色を変えはじめる。
 泣きながら、変わりゆく光を見ていた。青い光がだんだん薄くなり、やがてピンクに変わっていく。
 やわらかく、暖かく、一日の終わりを告げる。
 
 余談ですが。
 ここの美術館併設のカフェレストランは、とてもおしゃれでおいしい。ランチ・ディナー・ティータイム、それぞれ楽しめます。お値段もリーズナブル。美術館の展示を見なくてもレストランには入れるので、熊本観光の折には是非立ち寄ってください。窓からは熊本の繁華街が一望できます。

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劇作家大会in熊本

 日時:2005年3月20日(日)
 会場:熊本県立劇場

 過去3回の劇作家大会。
 北九州大会は行こうとも思わず、さらにその1年後に自分が北九州市民になるとも思っていなかった。
 盛岡大会と札幌大会は、パソコン通信を経由して、「パソコン通信と演劇」とか「地方と演劇」みたいなシンポジウムに参加したような記憶がある(あいまい)。
 こんなこんなで久しぶりの劇作家大会は熊本で。うちから特急で約1時間。住んでいたこともある熊本。住んでいたときは、暑いし、寒いし、閉鎖的だし、あまり好きではなかったけれど、最近では熊本現代美術館や下通りの呉服屋さん(安いんだよ)や、素敵なカフェなどお気に入りがたくさんある熊本。

 「劇作家大会が熊本である」と聞いたときから、とても楽しみにしていたにもかかわらず、個人的な事情でぎりぎりになって「行きたくないなあ」と思ってしまい、予定より2時間ほど遅れて家を出た。ビニールハウス(おそらくスイカのものと思われる)が一面に広がる壮大な景色を眺めていたら、友人からメール。「大地震?」。へ?電車走ってますけど。と、返信したら、電車は徐々に徐行運転となり、やがて停車。そうです。福岡市内では震度6の地震が起こっていました。

 電車は遅れて熊本駅に到着し、市電(路面電車)で熊本県立劇場へ。
 「九州演劇人サミット」を傍聴。参加者は20名くらい。
 飛ぶ劇場の泊篤志さんを司会に、パネリストの自己紹介、各地域の演劇事情、「どうやって食べてますか?」、といった話題で約2時間。

 個人的には「いま、地方にいて不利を感じますか?」ということを聞いてみたかった。轍の日下部さんは東京に行きたい(行きたかった)みたいだけど、その他の人はそう思ってなさそうだったから。日下部さんは「なるべく多くの人に見て欲しい」「評価が欲しい」と言っていた。それは地方ではできないことなのでしょうか。泊さんが「福岡って、時々劇団ごと東京に行っちゃいますよね。あれ、何ででしょう?」と言っていた。

 あと、泊さんが「今こそ劇団!って思ってる」「今は演出に興味がある」とおっしゃっていたのも印象的だった。要するに、「役者を育てる」ことが大事だと思っている、ということではないかと思う。演出のしごとは役者を育てることだろう。岡部耕大さんが「いい脚本もいい役者もいくらでもある。大事なのは演出」と言われていたし、松田正隆さんも「演出がやりたい」と言われていた。

 レセプションは予約なしでは入れず、地震後の自宅も気になったので、帰宅することに。
 馬刺し&焼酎で夕食を済ませた頃にはJRも博多まで開通していたので、リレーつばめで帰路に。通常の倍の時間がかかりましたが、無事その日のうちに帰宅。自宅は写真立て1個が落ちて破損していた以外は変わりありませんでした。

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最新旧型機クロックアップ・サイリックスプロデュース公演「三者三様」

最新旧型機クロックアップ・サイリックスプロデュース「三者三様」
 日時:2005年3月19日(土) 20:00開演
 会場:シアターポケット

 出演:岩瀬 幹基(あなピグモ捕獲団)
     藤  裕美(フリー)
     上瀧 昭吾(最新旧型機クロックアップ・サイリックス)

 「三者三様」のタイトルどおり、食パンには何を塗るか、日曜8時はどのテレビ番組を見るか、賛成・反対・どちらでもない・・・「三者三様」
 代替わりするドラえもんの声優。
 家を追い出される。
 そんなハナシがくるりくるり。

 「三者三様」で、なんだかまとまりがない感じ。これも狙いでしょうか。
 ごあいさつにあったとおり、3つのばらばらな高級素材をクロサイドレッシングであえてみた感じ。
 食べてみたら、「なんだこれー!」っていう、おいしいんだかおいしくないんだか、びみょーな感じ。 
 役者さんたちはそれぞれまだまだ課題があるように見えた。岩瀬さんは昨年末のあなぴ公演ではかなりよくなっていたと思ったけれど、やっぱり岩瀬さんだった。上瀧くんももう長いことやってるんだから、もっと成長して欲しいところ。

 セットがすごい。
 立ち位置によっては役者が見えなくなってしまうのは難点だけれど、下からいろんなものが出てきておもしろい。
 ラストでバリバリと解体されるのも。投げたものがちゃんと屋根の上に当たった時の音も気持ちよい。

 こちらは地震にも負けずに公演を決行。決行までの経緯はHPで報告されていますが、これだけきちんとした手続きを踏んでできることがすごい。この規模のカンパニーでは、意外になかなかできないことではないだろうか。
 地震に負けずに観に行ったお客さんにも拍手。

 

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ギンギラ太陽'S「翼をくださいっ!さらばYS-11」 

ギンギラ太陽'S「翼をくださいっ!さらばYS-11」
 日時:2005年3月18日 19:30開演
 会場:西鉄ホール

 再演。
 空港の内情を描いたこの作品、とても好きだったのだけれど、「さらばYS-11」というサブタイトルをつけている通り、YS-11がからんでくる。でも、YS-11を出そうとして、物語がうまくつながらなかった気がした。むしろ、雁ノ巣さんの最期を入れて欲しかったなあ。

 新しい役者さんがたくさんでいたけれど、やはりギンギラ太陽'Sの役者陣が安定していてうまい。杉山さんが完全に泣かせおばちゃんキャラになっているけど、これはこれでいいと思います。
 
 DVDおまけのリーフレットに過去の公演が載っていたけれど、結構再演が多いんですね。流通モノから始まって、空港モノ、お菓子モノ、ときたギンギラ太陽'Sがこれからどこへ行くのか、ちょっと気になるところです。まあ、大塚さんはまだまだネタを持っていそうですが。

 ところで。
 地震のため、3月20日と21日の公演は中止されました。
 公演中に地震があって、途中で中止になったり、事故が起こらなかったことは不幸中の幸いと思いますが、お見舞い申し上げます。

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うずめ劇場「ねずみ狩り」

うずめ劇場「ねずみ狩り」
 日時:2005年3月5日(土)19:30開演
 会場:ぽんプラザホール

 この後、北九州・東京・名古屋と公演が続きます。
 とりあえず、今、日本で、こういうものが観られるところは他にないと思うので、観ておいて損はないです。
 
 『福岡演劇のひろば』ですでに議論の対象となっているこの芝居。私としては珍しく、知人と一緒に観に行ったので、終演後に知人が延々と芝居の感想や解釈を述べるのも聞きました。『ひろば』の皆様の意見を読ませていただいて、いろいろと思うところがありました。「意見があるならあっちに書けよ」とも思うのですが、自分なりのルールでこっちに書かせてもらいます。
 
 私としては珍しく、大ネタばれで書くので、これから見る方はご注意あれ。

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 夜。
 人気のないゴミ捨て場。
 知り合ったばかりの男女。
 となれば、やることはひとつ。
 「私、あなたのことをまだ何も知らないし」
 そしてはじまる『プレイ』
 『お互いのことを知る』ために。

 中高生以下は入場お断りの問題作、となれば行き着く先は大体見えてしまう。
 だから、普段セックスとか裸とか暴力とかをほとんど受け付けない私も、ある程度展開を予想して、覚悟して観た。予想していなかったらびっくりしたかもしれないけれど、特にびっくりもしなかったし、嫌な気分にもならなかった。
 この芝居の本質は過激な描写ではなく、もっと別のところに、しかも多重にあると感じた。
 たとえば「コミュニケーション」あるいは「お互いを知ること」
 だからセックスはあくまでもコミュニケーション手段として描かれていて、『性』とは切り離された感じがした。
 それから「自己」。ラストシーン近くに言われる「名前、なんだっけ?」というせりふが、いかにもかなしい。
 すべてを脱ぎ捨てて体でつながりあったって、お互いの何がわかる、何を知ったというのだ。
 そして「国家」。アイデンティティ。
 パンフレットによれば、この芝居は演じられるものが普段使っている話しことばで演じられることが台本指定らしい。
 それから、オーストリアという国の事情。
 
  うまく説明できないけれど、ひとつには自分はなにものであるかということを考え、おまえは何者であるかということを問いたかった芝居なんじゃないか、と今思う。
 そういう意味ではとてもシンプルで、わかりやすい構造だった。

 他にも、「消費社会」とか「アメリカ」とか、気になったキーワードはあったし、それは上に書いたこととリンクしているとも思ったけど、そこまで私には解釈できません・・・。
 
 芝居を作る上でもラストシーンにたどり着くまでに役者もいろいろなものを捨てなければならなかったと思う。ペーター・ゲスナーはいつも、演出家として、芝居を通じて役者を育てようとしていると思う。その意味で、彼がこの芝居をやりたかったというのもわかる気がした。
 そして、そこが私がうずめ劇場、そしてペーター・ゲスナーはすごいと思うゆえんである。
 日本の感覚じゃない。そりゃペーターさんはドイツ人だから。
 毎回のワインサービスも、いかにもヨーロッパ的だと思うわけです。

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『福岡演劇のひろば』関連発言(ツリーになっているので、コメント発言もあわせて読まれたし)
 http://groups.yahoo.co.jp/group/fukuoka-engeki/message/2228
 http://groups.yahoo.co.jp/group/fukuoka-engeki/message/2249

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