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「有限サーフライダー」

飛ぶ劇場「有限サーフライダー」
 日時:2008年10月25日(土)19:00開演
 会場:北九州芸術劇場小劇場

 笑って泣いて大満足。
 俳優たちのあんな姿やこんな姿、あんなシーンにこんなシーンなどなど見どころたっぷり。
 2次元世界好きな人も、最近生きるのにあきている人も、平均年齢33歳、いい大人だけど大人になりきれない感じの人たちが繰り広げるフシギ世界。

 ひさびさに元気を注入される芝居を見た気がします。
 くそ~逃げるもんか、立ち向かってやる。かかってこい!てな感じです。

 ものがたり
 ゲーム制作を下請けしているちっちゃな会社の社員5人(木村健二・寺田剛史・葉山太司・加賀田浩二・大畑佳子)は、社員旅行でサーフィンを体験しに海にやってきた。海の家の家族(宗像秀行・内山ナオミ・上野詩織)はなんだか怪しげ。そもそも、津波警報が出て、海には入れないらしい…。

 ネタばれありありなので、これから見る人はこっから先を読まないように。

 誰もがいつか命尽きる、次々に襲いかかる人生の荒波を乗り越えたい、“有限サーフライダー”。
 平均年齢33歳。
 不安・行き詰まり、なんだかやる気なく、楽しかったはずの毎日が楽しくなくなり、現実(=家族・結婚・会社・恋愛・年齢・etc.)に負けっぱなし。ああ、全くどうして身につまされる。

 私はいつもの飛ぶ劇テイストだと思いました。
 現実世界と異世界とのはざまのちょっとした隙間にこっそり存在する世界で、繰り広げられるものがたり。

 役名はそれぞれの役者の実名ですが、しゃべっていることは役者の実像とはちょっと離れているような。でも、役名を実名にすることで、セリフにリアリティが生まれているような。というのも、すごく本音をがんがん出している感じがしました。普段の生活の中ではそんなこと言えないだろ、言っちゃいかんだろ(私は言うけど)っていうセリフが、じゃんじゃん出てくる。ことばが生きていて、勢いがある。笑わせどころも満載。だから、役者たちもせりふをしゃべって、あるいは演じていて気持ちいいだろうなぁと思いました。(もっとも、その域に達するまでには、振り切らないといけないものもたくさんあっただろうと思いますが)
 お色気シーンも満載。だいたいしょっぱなから半裸だよ。大畑さんも水着姿を披露。らぶらぶなシーンもあったりして。
 しかし、木村さんひどい。最低。最悪。
 よんさんがかわいそう。
 (あ、脚本上です。けっして木村健二さんの芝居がひどいわけではありません)
 ほんと、やめたいのにやめられない。いつか殺してやる、絶対に。
 そう思ってる。だけどやめられない、のだ。
 だからこの二人のシーンは、ほんとせつなかった。

 海の家の家族3人は、随分とわざとらしくヘン。照明も変わって、え、この人たち現実ですか?っていう感じ。私はそのズレた感じに結構笑わされました。サイコ様が登場してからは、いっそうデタラメ。
 人肉を食らうとか、戦争とか、自爆テロとか、大地震のち津波、ついでに世界恐慌?みたいな、ありえないことばっか、だけどそれらは世界のどこかで確かに起こっている現実。言っちゃ悪いけど、こいつらホントおもしれえ。バーチャル2次元ゲームやらちっちゃな劇場の中で繰り広げられる嘘っぱちの物語よりも。だからかなりの強敵。だけど負けたくない。勝ちたい。負けられない。

 ラスト近く。
 スクワットして、体あっためて、乗り越えたい、でっかい波を。逃げない。立ち向かいたい。
 毎日の生活の中では、ほんとにもう、いろんなものからひたすら逃げまくっている自分としては、あああ、いかんなぁと思わされました。

 ただ。
 最後の最後、お客さんの場面は、なぜあの場面があるのかわかんなかったのです。
 でも、今思えば、シオリちゃんもちゃんといたし、あの海の家はぐるりんRPGなゲームの世界なのかなぁとか。5人は神様と対決して、徳を積んで、今頃はまた別のステージで別の神様と対決している。ぐるりんRPGは、人生とおなじで終わりのないゲーム。人生は意外に、ゲームと同じで何度でもやり直しはきく。死なない限り。

 今私は生きていてここにいる、という実感は、誰かと関わることで確かに確認できることだけれど、誰かと関わりながら、取っ組み合いながら、どうにか折り合いつけながら生きていくのは正直しんどい。現代社会では、そんなめんどくさいこと抜きに、部屋で携帯電話片手にパソコンに向かう、みたいな、バーチャル2次元の世界でぬくぬく日々を過ごすことだってできる。だけど、ときどき自分がちゃんとここにいるのか不安になる。確かめたくなる。抱き合うことで、自分を切りつけることで得られる“生”の実感。めんどくさくてどうにもならない現実や他者とちゃんと取っ組み合うよりもずっとお手軽で簡単だからね。それでも、いやそんなお手軽に手に入れちゃえるものだから、やっぱりまだ不安なのだ。だから死体だったのだと思う。

 あとはわりとどうでもいいネタ。
 大会社の名前“エイジズ”って、年齢だよねぇ。寄る年波には勝てません、ってか?
 どうでもいいけど、AGESをひっくり返すとSEGAになるね。
 涼宮ハルヒとか、綾波レイとかは、聞いたことがあったものの、どういうものだかよく知らなかったので調べてみました。なるほどね、よくわかります、涼宮さんのその感覚。ちりばめられたオタクネタにはそれぞれなんだかウラがありそうで、いやないのかもしれないけれど、深読みするのも面白かったです。

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