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「SISTERS」

パルコプロデュース「SISTERS」
 日時:2008年8月8日(金)19:00開演
 会場:北九州芸術劇場中劇場

 先週と同じ中劇場。今日のお客さんは、先週と打って変わってかなり高め。

 長塚圭史作・演出、出演者は松たか子・鈴木杏・吉田鋼太郎・田中哲司・中村まこと・梅沢昌代。あ~なんかシェイクスピア芝居みたいなキャスティングですね。
 実際、なんだか翻訳劇っぽい芝居でした。

 ものがたり。
 シェフ・信介(田中哲司)と新婚の妻・馨(松たか子)はいとこ(中村まこと)のホテルに料理指導にやってくる。いとこの妻・操子の自殺ですさむホテルには、操子の兄の作家(吉田鋼太郎)と娘・美鳥(鈴木杏)が住む。やがて見えてくる父と娘の関係、馨の過去、操子の自殺の原因…。

 見終わった直後は「う~ん」と思ったのです。わけがわからなかったというか、心に響かなかったというか。

 扱われている題材はヘビーなんだけれど、そんなにへビーなシーンはありません。そのせいか現実感があまりない感じ。それは舞台上のものがたりが“ありえないこと”のように思えたということではなく、あまりに舞台上の景色が美しすぎて、夢の中のオハナシのような感じに思えたとでも言えばいいでしょうか。
 それでも数日かけて、一つ一つの場面を思い出すうちに、そこに凝縮されていた数々のイメージがほどけて見えてくる感じがしたのです。

 父と娘の間にあったことや、このホテルであったことの真実は、イメージとしては語られるけれども、はっきりと述べられているわけではない。具体的なシーンもないので、すべては観客の想像で補われます。
 装置、壁の向こうの洗濯物、壁の裂け目、そこから滲みだす水、彼岸花、それらが想像のイメージを強化する。ものすごい量のイメージが凝縮されていたように思います。

 あふれる水の流れは、川?
 あちら側とこちら側。あの世とこの世を分ける。

 馨は美鳥に妹を重ね、「助ける」と言う。“助ける”ことで自分が救われたかったような気がします。父親に対する愛情、一方での嫌悪・憎悪、捨てられてしまうことへの恐怖、そんな複雑な気持ちをうまく処理できずに、現実世界からちょっとずれた感じに存在している馨。
 妹を想う気持ち、そしてほんの少しの嫉妬。取り残された孤独感。
 松たか子さんはそんな複雑な心情を持つ馨を見事に演じきっていて、素晴らしかった。見終わった直後に、現実感のなさを感じてしまったのは、松さんのそういう現実感のない演技のせいもあったかものしれません。

 中村まことさんも多彩な表情を見せてくれる。いいかげんそうで、ずるくて抜け目のないおとな。

 年齢層の高いお客さんたちはこの芝居をどう見たのか、ちょっと気になるところです。

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