「キル」
NODA MAP「キル」
日時:2007年12月29日(土)14:00開演
会場:シアターコクーン
1994年初演。夢の遊眠社を解散してイギリスに研修に出かけた野田秀樹が日本に帰ってきて新たに立ち上げたNODA・MAP第1回公演。私はこの公演をシアターコクーンの2階バルコニー席の最前列、一番端っこで、友人と一緒に見た。ラストシーン、舞台一面に広がる青に体が震えた。
1998年の再演も、もちろん観た。
初演・再演とテムジンを演じていた堤真一から妻夫木聡にバトンタッチ。ワイルドな堤さんから優しい雰囲気の妻夫木君へ。どうなんだろうという不安と、野田さんマジックによってどんな風になるんだろうという期待を胸に、劇場へ。
果たして。
妻夫木くん、大健闘。特に2幕がとてもいい。
野田さんの舞台を見るといつも思うのだけれど、野田芝居において役者は野田さんの言葉を伝える媒体なのだ。これまで妻夫木君はいろんなドラマや映画に出ているけれど、どんな作品に出ても、ちゃんとその作品に染まれる柔軟さを持ち合わせているように思う。そういう意味での抜擢だったのかなぁという気がします。
広末さんは意外に声が高い。歴代のシルクもそうだったけど。旅人シルクのスリット深いドレスから覗く足がきれい。
妻夫木テムジンと広末シルク、若い二人を見守る母トワ、人形、結髪。という対比がよりいっそうはっきりと。
舞台セットや衣装、演出、音楽も初演から大きくは変わらず。もちろん脚本も変わっていません。この芝居の完成度の高さが伺えます。
好きなせりふに「ロッテリアで食う」というのがあるのですが、○クドナルドじゃないのはやっぱり野田さんのこだわりなんだろうなぁ。
旅人たちにロウがついて、ロウ人形になっていく、というあたりが、初演以来良く理解できなくて、なんで「ロウ人形」なんだろうと思っていたのだけれど、今回やっと“ロウ”は“老”なのだと思いました。“老い”に対する不安。それは、テムジンの父イマダが、テムジンが感じた不安。そして焦り。
これは世代交代の物語でもあるのですものね。
初演から14年。私もそういうことを感じ取れるくらい年をとったということなのでしょう。
終演後、初演を一緒に見た友人も含めて、大学時代の友人たちと飲みに行きました。出会ってから20年近く経とうとしているのに、私たちはこんなにもあの頃と変わらない、としみじみしてしまいました。いや、そんなはずはないのに。友人は会うたびに「あの時、野田さんが壁を走ったよねぇ」と言います。野田さんはさすがにもう壁を走っていませんでした。やっぱり14年経ったんです。
でもね、野田さんの芝居は全然老いていない。「富士山を太平洋にぶん投げる」最近減っているらしい一派を、私は支持します。
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