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2007/10/14

「あーさんと動物の話」(北九州)

飛ぶ劇場「あーさんと動物の話」
 日時:2007年10月14日(日)18:00開演
 会場:北九州芸術劇場小劇場

 結成20周年を迎える飛ぶ劇場の新作。いろいろとすごいことになってます。
 「あーさんと動物の話」はかなり私好み。号泣。
 今日の18時の公演は、北九州公演千秋楽ということで、アンコールには音楽担当の泊達夫さんが特別に登場。『カズクン旅に出る』の劇中歌「旅に出るんだ」を披露。

 そんなわけで飛ぶ劇場はこれから旅公演に出ます。
 11月 3日~ 4日 生活支援型文化施設コンカリーニョ(札幌)
 11月10日~11日 西鉄ホール(福岡)
 お正月をはさんで、高松、東京、広島、宮崎と全国ツアー。
 詳細はこっちで確認してください。

 で、この話題はこっちに続く

 (ここから感想)

 あーさんは38歳。高校時代に演劇部に入部し、それからずっと演劇をやってきたけれど、2年前に劇団を解散して、今はいわゆるひきこもり。あーさんが猫山さんと暮らす部屋には、家族や親戚が訪ねて来て、何かとあーさんを部屋から連れ出そうとする。かつての演劇仲間や初恋の女の子もやってくる。
 外では激しい雨が降り続いている。

 「タイトルにある『あーさん』とは、まあ、私の事である」と、作・演出の泊篤志さんは、チラシに書いている。泊さんのことをそんなに詳しく知っているわけではないけれど、それでも私が飛ぶ劇場を初めて見てから12年、いろんなところで見たり聞いたりした泊篤志さんのエピソードが、あちこちにちりばめられているのがわかった。でもそれは、すべてが事実というわけではなくて、微妙に変えてある、ということもわかった。そこにあるのは、「あったかもしれないもうひとつの人生」。そして、そんなパラレルワールドがどこか現実世界とクロスする。

 自分は孤独だ、自分はひとりぼっちだ、とひきこもるあーさん。
 ほんとうはだれもが決してひとりなんかではなくて、いや、あーさんは確かにひとりぼっちかもしれないけれど、それでも、誰かが必ず、どこかでちゃんと見守ってくれている。
 だけど、こんなふうに雨が降る日には、そんな見えない誰かを信じることなんかできなくて、どうしたって孤独感にさいなまれてしまう。そうだよね。
 
 たくさん歌が歌われる。あーさんを演じる寺田剛史さんは終始ギターを抱えて歌いっぱなし。そんなあーさんに付かず離れず寄り添う猫山さん=宗像秀幸さんの優しい視線がいい。
 このところずっと飛ぶ劇場の舞台美術を担当している柴田隆弘さんの装置がすごい!仕掛けも満載。
 ただ、大きすぎて東京公演の会場・アゴラ劇場には入りきらないらしい・・・。

 楽しい場面も多いのだけれど、3分の2くらいは、なんだかもうくら~い雰囲気が漂っていて、このまま最後まで行くんかいな、と不安になった。そんなはずはない!と信じさせてくれた爬虫類の鳴き声。最後にはちゃんと元気になれた。幸運を信じることができた。

 ラストシーン、降り続く雨の音は、割れんばかりの拍手の音にも聞こえた。
 大丈夫、そこにあーさんの歌を聞く人がいる。
 激しい雨の中、拍手喝采の中、
 あーさん、どこまでもゆけ!

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