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2006/10/07

「正しい街」

飛ぶ劇場「正しい街」 
 日時:2006年10月7日(土)18:00開演
 会場:西鉄ホール

2007年2月10~11日に東京公演あり。

 宗教の話、みたいに宣伝されているけれど、これは集団の話なんだな、と思った。
 泊さん自身もTHEATER View FUKUOKA にそう書かれていますね。

 集団を維持するために、イベントを仕掛けたり、イケニエを出してみたりって、実際私たちが、地域社会や会社をはじめ、いろんな集団を維持するためによくやっていることで。今回はたまたま舞台が、宗教の団体だった、というだけで。
 仕事柄、うまく集団を形成したり維持したりする仕掛けをしなければいけない立場にいる私ですが、そもそも自分の人生において、そういう集団からはじかれたり、ついていけなくて自らドロップアウトすることが多かったので、集団大嫌いなくせに集団に強烈な憧れを抱いています。だからたぶん学生の頃、わけもわからないままに社会学なんてものを勉強することにしたのでした。今もわかってないけど、まあ方向性は間違ってなかったと思います。

 飯根戸は、日本という社会からおちこぼれたひとたちの住む街。
 おちこぼれてもなお、人は集団を求めてしまうのだ。飯根戸の住民たちは、あまりにも正しすぎる人たちと、あんまり正しくない人たちばっかりだったけど、それでもたぶん、本当に神を信じていた。絶対に正しい、はずの、神を信じていた。信じることで何とか生き抜こうとしていた。
 なのに。いや、だから。
 
 学生時代、先生が「宗教でなくてもよいから、何か自分の生きる指針となるものを持っていたほうがよい」とおっしゃっていた。多分それが“地図”なのだと思う。自分にとってだけ、絶対なもの。多数決には負けてしまう“1”。恵子は「私は私の地図を作ります」と言った。私自身も、生まれてから今日までの間に、いろいろと変わってはおりますが、私が自分で作った地図を持っていると思っています。

 こんなふうにいろいろと考えるきっかけにはなったけれど、芝居については、なんかガツンと心に響くものがなかった、というのが正直な感想。役者さんたちはみんな上手だし、演出もおもしろい。いろんな場面で笑わせてももらった。効果音や照明も絶妙。なのになんでだろう、何か物足りなさが残った。
 それは「集団大嫌い」な私は、結局のところ自分自身が「やっぱり集団なんてどうでもいい」と思いこんでいて、集団を維持したり創造することの素晴らしさからわざと目をそむけ、それに伴う痛みや苦しみもまた切り捨ててしまっているからかもしれません。私はこの先もたぶん、集団に強烈な憧れを持ちながら、自分の地図だけを頼りに、集団に距離を置いて生きていくのでしょう。

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